井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

北海道の花・ノブキ1

2020年09月30日 | 日記

ノブキの群落。キク科ノブキ属。

山地の木陰など湿った所に生える多年草、地下茎を伸ばして群落をつくる。

地下水位の高い所を好み、地下水位を知るのに有効な指標植物とも言われる。「野蕗(のぶき)」の名はあるが、

野原では先ず見られない。

ノブキの芽出し。

丸まった葉をひろげ、しわを伸ばすようにして芽出しする。

山菜として食べるとき、フキの場合は「フキノトウ」と呼ばれる花芽を食べるが、ノブキの場合は若芽を食べる。

ノブキの葉。

フキの葉に似るが、ノブキ場合葉柄に翼(ひれ)がつくことで見分けられる。もっとも、フキの葉柄は円筒状で山菜として食べる機会も多いから見間違う恐れはない。

アイヌの人たちは、この葉を炙って腫れものやウルシかぶれの治療に用いたという。

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北海道の花・トウゲブキ

2020年09月29日 | 日記

トウゲブキの群落。キク科メタカラコウ属。

高山の草原や林縁~林内に生える多年草。メタカラコウ属で北海道に多いというので「蝦夷タカラコウ」の別名がある。「タカラコウ」は「宝香」と書き、漢方の竜脳香のこと、根がその香りに似るからだという。その仲間で大きいものが「雄タカラコウ」、小さいものが「雌タカラコウ」と呼ばれる。

トウゲブキの葉。

根生葉には長い柄があって、葉身は腎円形、基部は心形でフキの葉に似る。

山地に生え、葉がフキに似るところから「峠ブキ」の名がついたという。

トウゲブキの頭花。

茎頂に散房花序をだし、頭花を5~9個つける。頭花の径は4~5cm、舌状花は7~12個、総苞は鐘形で基部に小苞が2個つく。

メタカラコウ属はハンゴンソウのキオン属と近縁で花は良く似ている。相違点は葉柄基部で、トウゲブキの場合は基部が茎を取り巻いて鞘になる。キオン属は茎を抱かない。

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北海道の花・ヨブスマソウ2

2020年09月28日 | 日記

ヨブスマソウの花序。キク科コウモリソウ属。

頭花は大きな円錐花序に多数つく。ミミコウモリやモミジガサの花序によく似る。

茎は枝分かれせず大きいものは3mにもなり、茎はオオイタドリに似る。アイヌの人たちはオオイタドリを「クッタル」と呼び、ヨブスマソウを「ワッカクッタル」と呼んだという。オオイタドリには節があるが、ヨブスマソウには節が無く、茎を切って太目のストローにして水を飲むのに利用したという。

ヨブスマソウの頭花。

総苞は筒状で長さは10~12mmほど、総苞片は5~8個で小花は筒状花のみで6~9個。

雌しべを雄しべが囲み、最初に花粉を出し始める(雄性期の花)。花粉を出し終えた後、代わりに雌しべが伸び出し、他の花から運ばれる花粉を待つ状態になる。(雌性期の花)。

ヨブスマソウは関東~西日本には分布しないところから、全国区の図鑑には載らないケースもある。

 

ヨブスマソウの果実。

果実は瘦果で、萼由来の冠毛がつく。熟すと風に乗って種子散布が行われる。風散布。

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北海道の花・ヨブスマソウ1

2020年09月27日 | 日記

ヨブスマソウの群落。キク科コウモリソウ属。

寒地(北関東~北海道)の湿り気のある草原~林縁・林内に生える大型の多年草。

草丈は大きいものだと3mほどになる。

ヨブスマソウの芽出し。

コウモリソウ属の仲間すべてが山菜になる訳ではないが、ヨブスマソウは「ボウナ」・「ボンナ」の山菜名をもつ人気の高い山菜である。

20~30cmのものは根元から切り取り、それ以上のものは手で折れるところから採取するといい、そう言われる。

ヨブスマソウの葉。

茎中部につく葉は三角状鉾形で属を代表するコウモリソウに良く似る。コウモリソウの方を「小ブスマ」と呼んでいたこともあるという。

ヨブスマは「夜衾」と書き、夜の衣(寝間着)の意味、葉の形がらそう呼ばれる。

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北海道の花・モミジガサ2

2020年09月26日 | 日記

モミジガサの花序。キク科コウモリソウ属。

モミジガサの頭花は円錐花序に多数つく。

モミジガサの頭花。

総苞は淡緑白色の筒状で、総苞片は5個。

小花(筒状花のみ)は5個で、白色で僅かに紫色を帯びる。花粉を出し終え、代わりに雌しべが伸び出し柱頭を開いて他の花から運ばれる花粉を待つ態勢となる。(雌性期の花)。

モミジガサの果実。

モミジガサの花後、細長い筒状の総苞の中で幼果実が育つ。種子に冠毛がついた瘦果、熟せば風に乗って散布される。

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