井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

春の花・ヒメオドリコソウ

2018年05月31日 | 日記


ヒメオドリコソウの花序。シソ科オドリコソウ属。
「姫」の名の通り、同属のオドリコソウと比べてずっと小さく、段状につく花の節間がつまっていて、花が葉の上にせり出す様子など、印象は大きく異なる。
違いは花の大きさや色だけでなく、あまり「踊り子」のイメージはない。



ヒメオドリコソウの果実と種子。
シソ科の果実は4分果になる。ヒメオドリコソウの分果には3稜があり、平滑でエライオソームがつき、アリ散布となる。
オドリコソウ属の花には剣状に5裂した萼がつき、オドリコソウでは花時でも目立つがヒメオドリコソウでは余り目立たない。その萼が果時に残る。



ヒメオドリコソウの群落。
オドリコソウは在来種でヒメオドリコソウはヨーロッパ原産の帰化種。
2年草で、早い時期には他家受粉を期待するが、後半には雄しべが雌しべに近づき同家受粉で確実に種子をつくる。その繁殖力の強さでしばしば大きな群落をつくる。
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春の花・タチイヌノフグリ

2018年05月30日 | 日記


タチイヌノフグリ。ゴマノハグサ科クワガタソウ属。
オオイヌノフグリ同様、明治初年に入ってきた帰化種。
オオイヌノフグリの茎が横に這い先の方が立ち上がるのに対して、全体が直立する形になるところから「立ち」イヌノフグリと名付けられる。



タチイヌノフグリの花。
下部の葉には柄があり対生し、上部の葉は無柄で互生する。
オオイヌノフグリが茎上部の葉腋に1花をつけるのに対して、タチイヌノフグリは上部の葉腋ごとに殆ど無柄の花をつける。
花は開花して2~3時間しかもたないので、多くは自家受粉で種子を作ると言う。



タチイヌノフグリの果実。
オオイヌノフグリの果実には長い柄がつくが、タチイヌノフグリの果実は無柄。4裂した萼が残ってついている。
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春の花・オオイヌノフグリ

2018年05月29日 | 日記


オオイヌノフグリ。ゴマノハグサ科クワガタソウ属。
明治初年に入ってきた西アジア原産の帰化種。在来種イヌノフグリは北海道には分布しない。
オオイヌノフグリの茎、よく分枝して横に拡がる。
葉は茎の下部では対生し、上部では互生する。卵円形で低い鋸歯があり両面に毛が散生する。



オオイヌノフグリの花。
花は上部の葉腋に1花をつける。在来種イヌノフグリの花は径が5mmほど、「大」イヌノフグリの花は文字通り大きく径が10mmほどになる。
開花した花は1日しかもたない。花冠は4枚で下の1枚が若干小さくなる。雄しべが2本、花の中で数が一番少ない。開花した午前中は離れているが夕方近くなると雌しべに近寄ってきて自家受粉する。
開花して数時間は他家受粉を期待するが、それがダメだったとき自家受粉でも種子を作ろうとする。



オオイヌノフグリの果実。
果実は蒴果で柄の先に膨らんだ2個の球をくっつけた形になる。これを犬に睾丸に見立てて「犬のふぐり」と名付けられる。
在来種イヌノフグリの果実が一番丸くて、一番「犬の睾丸」に似ているという。
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春の花・ヒトリシズカ2

2018年05月28日 | 日記


ヒトリシズカの開花。センリョウ科チャラン属。
葉を縦に折り畳んで花序を包むようにしていたものを、解くようにして開花する。



ヒトリシズカの花のつくり。
ヒトリシズカの花は一寸変わった形をしていて、通常の花とはつくりが異なる。
花弁も萼片もない雄しべ、雌しべだけの裸花で、雄しべも普通の花とは違っている。
普通の花では花糸の先に花粉をいれる葯がつくが、ヒトリシズカでは3本の花糸の基部が合着して雌しべの横腹につき、葯は花糸の基部近くにつく。



ヒトリシズカの果実。
果実は核果で、果序は花後葉の蔭に隠れるように折れ曲がる。未熟な果実を守るためともかんがえられるが、はっきりしたことは分からない。
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春の花・ヒトリシズカ1

2018年05月27日 | 日記

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ヒトリシズカの芽出し。
ヒトリシズカは茎頂に花序をつけ、その直ぐ下に4枚の葉をつける。
芽出し時にはその4枚の葉で花序を包むようにして伸びだしてくる。幼い葉はUV対策で赤く染まる。

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ヒトリシズカの葉。
対生する葉の節間がつまっていて、4枚が輪生しているように見える。このような葉のつき方を「偽輪生(ぎりんせい)」という。ちなみに、互生の葉が輪生のように見える場合は「輪生状」という言い方がされる。

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