井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

ブタナの頭花とセイヨウタンポポの頭花

2023年08月31日 | 日記
セイヨウタンポポとエゾタンポポぽなど在来タンポポを見分けるポイントは総苞にある。
             セイヨウタンポポの総苞           エゾタンポポの総苞
セイヨウタンポポの総苞は反り返るのに対してエゾタンポポなど在来タンポポの総苞は反り返らない、この点が両者を見分けるポイントとなるので、タンポポのような花を見ると総苞を確認する観察者も多い。
では、ブタナの総苞はどうか。
在来タンポポと同じで総苞は反り返らない。

では、総苞の反り返らないエゾタンポポとブタナをどう見分けるか。
葉の違いもあるが慣れないと結構難しい。普段から見比べておくとよい。
両者を見分ける一番のポイントは、茎と頭花の数。タンポポ類の茎は枝分かれせず、頭花はその先に1個のみ。
ブタナの茎は普通枝分かれして、それぞれの先端に頭花をつける。

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ブタナはタンポポに似るがタンポポ属に非ず

2023年08月29日 | 日記

これがブタナの花、タンポポによく似ている。しかし、セイヨウタンポポなどはタンポポ属であるのに対してブタナはエゾコウゾリナ属。
近縁にコウゾリナ属というのもあるが、コウゾリナ属の花床には鱗片がないのに対してエゾコウゾリナ属の花床には鱗片がつく。ただし、その辺のところを観察することは先ずない。
エゾコウゾリナ属の自生種であるエゾコウゾリナは北海道日高のアポイ岳の特産種、カンラン岩地という特殊なエリアでひっそりと咲いている。

同じエゾコウゾリナ属でありながらブタナはヨーロッパ原産の帰化種。道端や荒れ地など所謂「撹乱地」と呼ばれる厳しい条件のところでも平気で飛び込んで行く。
タンポポ属との違い、タンポポ属は花茎に頭花を1個しかつけないがエゾコウゾリナ属(ブタナなど)は花茎が枝分かれして頭花を2個以上つける。
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ブタナの茎とセイヨウタンポポの茎

2023年08月27日 | 日記

上:ブタナ  下:セイヨウタンポポ
ブタナの茎は枝分かれして、それぞれの茎頂に頭花を1個ずつつける。セイヨウタンポポの茎は枝別れせず、1花茎につける頭花は1個のみ。
左:ブタナ  右:セイヨウタンポポ
ブタナの茎は緑色でセイヨウタンポポより細く充実。セイヨウタンポポの茎は褐色で中空。
セイヨウタンポポの茎が中空なのは「花後に茎は一度倒れ、果実が出来ると再び立ち上がる」という動きのためで、ブタナの茎が充実なのはセイヨウタンポポのような動きをしないから、と考えられる。
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ブタナの葉とセイヨウタンポポの葉

2023年08月26日 | 日記

上:ブタナ  下:セイヨウタンポポ
ブタナの葉もセイヨウタンポポの葉も羽状に裂ける「羽状裂葉」。ブタナの方が裂け方が浅く「羽状中裂」、セイヨウタンポポの方は裂け方が深く「羽状深裂」と言われる。

サクラの葉のように裂け目の入らない葉は「不裂葉」、裂け目の入る葉は「分裂葉」と呼ばれる。
分裂葉にも分裂の仕方が違うものがある。掌状に裂けるものと鳥の羽状に裂けるものがあり、夫々「掌状裂葉」、「羽状裂葉」という。裂け方の程度で「浅裂」「中裂」「深裂」と区別する。
ということで、ブタナの葉は「羽状中裂」で、セイヨウタンポポの葉は「羽状深裂」となる。

分裂葉の裂け方が「深裂」より更に進むと、裂葉から複葉に変わる。そして裂片は「小葉」と呼ばれるようになろ。
裂け方により「掌状複葉」と「羽状複葉」の違いとなる。
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ジス・イズ・ブタナ

2023年08月24日 | 日記
先日道端で見かけたブタナ、草丈が例年と比べてずっと小さくて一寸変だと言いました。
では、本来のブタナはどんなでしょうか。
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これがブタナ、ジス・イズ・ブタナです。草丈は60cmほどあり、セイヨウタンポポの2~3倍はあります。
花はタンポポに似ています、「新北海道の花」という図鑑には「しばらくタンポポモドキとも呼ばれていたが、この名はすでに他の植物に使われているので、別名として使用すべきでない」と書かれています。
しかし、タンポポモドキと呼ばれる植物は別に存在しません。
ブタナはヨーロッパ原産の帰化種で、最初に札幌で発見されたとき「タンポポモドキ」と命名されたのですが、翌年神戸で同じものが発見され「ブタナ」と命名されました。
学名の場合は「命名の先取権」と言い、先に発表された学名が有効とされるが、標準和名の場合は必ずしもそうならない。「タンポポモドキ」ではなく「ブタナ」が標準和名になったのは、そちらの命名者の方が高名であったからかもしれない。
ただ、学名(属名)の「Hypochoeris」は「豚のため」を意味するといい、ブタナのフランス語名も「豚のサラダ」だという。「ブタナ」の和名もその辺に由来するとされる。ちなみにブタナの根を豚が好んで食べるという。
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