井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

北海道の花・エゾゴゼンタチバナ

2019年12月31日 | 日記


エゾゴゼンタチバナの群落。ミズキ科ゴぜンタチバナ属。
ゴゼンタチバナ同様、常緑の多年草。「エゾ○○」と「○○」がある場合、どちらかが変種、品種であることが多いが、エゾゴゼンタチバナとゴゼンタチバナとは別種である。
道東、道北の原野、湿原に生育し、高山に見られることもある。



エゾゴゼンタチバナの葉と花。
エゾゴゼンタチバナとゴゼンタチバナとの相違点。
ゴゼンタチバナの葉が輪生状につけるのに対してエゾゴゼンタチバナの葉は十字対生し、葉脈はゴゼンタチバナの羽状脈に対して、エゾゴゼンタチバナの葉は並行脈。
花の色は、ゴゼンタチバナのの白色に対してエゾゴゼンタチバナの花は暗紫色。全体的によく似ているが、相違点ははっきりしている。



エゾゴゼンタチバナの果実。
ゴゼンタチバナと同じ核果で赤く熟す。
ゴゼンタチバナ属をミズキ属とする見解もあるが、ミズキ属の木本、ハナミズキやサンシュユの果実と似ている所があり、成程と思う部分がある。
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北海道の花・ゴゼンタチバナ

2019年12月30日 | 日記


ゴゼンタチバナの群落。ミズキ科ゴゼンタチバナ属。
亜高山帯の針葉樹林下に生える常緑の多年草。
ミズキ科の多くは木本(ミズキ、ヤマボウシ、ハナミズキなど)。ウィキペディアではミズキ属(ゴゼンタチバナ亜属)としている。
地下茎を伸ばして群落をつくる。ゴゼンタチバナは「御前橘」と書き、白山の最高峰・御前峰で発見され、赤い果実がカラタチバナに似ているところからの命名であるという。



ゴゼンタチバナの葉と花。
1対の頂葉はそれぞれ1対の葉をもつ短枝を腋生するので、6個の葉が輪生するように見えるが、花をつけない茎には、4個の葉が輪生状につく。
花は、中央部には頭状に小花が集まり、その周りに花弁状の総苞片4個がつき、ハナミズキやヤマボウシに似る。



ゴゼンタチバナの果実。
果実は球形の石果で赤く熟す。イヌイット(エスキモー)の人たちはこれを食料にするという。
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北海道の花・タニギキョウ

2019年12月29日 | 日記


タニギキョウの群落。キキョウ科タニギキョウ属。
タニギキョウは「谷桔梗」と書く。谷間の湿った草地~林床に生える多年草。
茎は細くて地を這い、上部で立ち上がる。葉は卵円形で低い鋸歯があり、切り口から白い乳液をだす。
特徴的で見分けやすい。



タニギキョウの花。
上部の葉腋からでる長い柄の先に1花をつける。
花冠はロート形で先は5裂し、裂片は三角形で淡い色の筋が入る。雌しべの柱頭は3裂し、5本の雄しべは花柱の下部を囲む。



タニギキョウの幼果実。
果実は蒴果。キキョウ科の蒴果、キキョウやツルニンジンの場合は上部で裂開し、ツリガネニンジンの場合は側面で裂開する。これに対して、タニギキョウの蒴果は側壁が薄くてほとんど裂開しない。
熟すと、細長い種子が数個から10個近く出来る。
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北海道の花・マツムシソウ

2019年12月28日 | 日記


マツムシソウの群落。マツムシソウ科マツムシソウ属。
日本のマツムシソウ科は2属2種とされるが、北海道ではマツムシソウの1属1種のみ。
海岸~山地の礫地、草地に生育するとされ、この株は日高の海岸(エンルム岬)のもの。
蕾状態の頭状花の周辺部につく葉状のものは総苞片で、開花すると見えにくくなる。



マツムシソウの葉は羽状に裂け、対生する。
鋸歯のある長楕円形の葉があって、これをマツムシソウの葉と見間違えそうだが、これは別種。
花後、種から発芽し、ロゼット葉で越冬する越年草。巡礼が布施を乞うときに使った「松虫鐘」に果実
が似ているところから「松虫草」の名で呼ばれるようになったという。



マツムシソウの花。
頭状花序に2種類の小花をつける。中心部には放射相称の小花、周辺部には左右相称の小花をつける。
キク科の花に似るが、細部に相違点があり、むしろオミナエシ科に近いという。
雌雄異熟の花で、雄しべが先に熟し機能する「雄性先熟」の花。マツムシソウの学名はスカビオサで、その学名をつけて園芸種が売られている。
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北海道の花・テシオコザクラ

2019年12月27日 | 日記


テシオコザクラの群落。サクラソウ科サクラソウ属。
北海道北部、稚内に近い幌延町に「日本の最北に位置する」とされる北大手塩研究林がある。
手塩川の支流の問寒別川、その流域に研究林はあり、ここの固有種としてテシオコザクラ
の群落を見せる。
木質化した地下茎を伸ばして群落をつくる。



テシオコザクラの葉。
長い柄をもち、葉身は円形で掌状に裂ける。一見オオサクラソウの葉にも似るが、裂け方や鋸歯のつきかたに違いがある。
橄欖岩・蛇紋岩地帯は、植物の生育を阻害するニッケルやクロムを多く含み、カルシュウムの吸収を阻害するマグネシュウムも多く含むため、普通の植物は生育できず、そういう場所に耐えられる植物が固有種となる。(アポイ岳や夕張岳などに多い。)



テシオコザクラの花。
高さ15cmほどの花茎を伸ばし、先端に2~3個のをつける。
花冠は白色で5中裂、全開せずロート状に開く。
しべ(蕊)の見え方など、普通のサクラソウと違った感じもあるが、長花柱花と短長花柱の2型が存在する異形花柱花である点は変わらないという。
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