カバノキ科の果苞(アサダ)
ブナ科の殻斗(ミズナラ)
門綱目科属種、生物の分類体系は階層構造になっている。
ブナ科もカバノキ科も「ブナ目」で、両者が近縁であることを示している。
カバノキ科の雌花序には多くの雌花があって一つ一つに小苞があって、果期にはそれが「果苞」となって風散布のための翼になる。
ブナ科の雌花は数が少なく、苞葉は「総苞」で、果期には殻斗となって幼果実を保護する。堅果は比べ物にならないくらいに大きく、哺乳動物の大事な餌となり、「動物の貯食散布」になる。
堅果は動物の餌になるだけでなく、昆虫にも狙われる。その完熟する前の堅果を保護するのが殻斗で、数少ない堅果を大事に育てようとする。
ドングリやトチノ実など大型の堅果は動物の重要な餌となるが、植物側の立場では「食べられ放題」は困る訳で、トチノ実は「サポニン」という毒成分をもち、ドングリの多くは「タンニン」という渋み成分で食べられるのを防ごうとする。
タンニンをもつドングリの殻斗は成長期には幼果実を保護するが、完熟期には成長を止め堅果の先端は裸状態になり保護の役割を放棄する。
クリ、ブナ、シイ(スダジイ、ツブラジイ)などはタンニンを殆ど含まないので、動物にとっては食べやすくなる.。それで、これらのドングリの殻斗は完熟期にも堅果全体を覆い、堅果を保護する。