クシロワチガイソウ。ナデシコ科ワチガイソウ属。
湿原や山地の林縁~林内に生える多年草。個体数は少なく、大雪山や黄金山(浜増富士と呼ばれる)などで見られるが札幌周辺では見られない。クシロワチガイソウは「釧路輪違い草」と書き、釧路で発見されたワチガイソウの仲間ということ。昔、新種登録の是非をチェック中、無名であることのしるしとして「輪違い(2個のずれた輪)」の符号を鉢植えにつけ、それがそのままこの仲間の名前になったという。
標本は普通押し花にするが、鉢植えにしたこともあったらしい。
クシロワチガイソウの葉。
茎は細く、対生する葉は無柄で、葉身は線形~被針形で全縁、先は垂れがち。
草丈は15~30cmで、地下に芋状の塊根をもつ。
クシロワチガイソウの花。
花の径は8mmほど、萼片、花弁はともに5個、萼片は花弁よりずっと小さく、花弁の先は浅く2裂する。
その普通の花の他に、茎の下部の葉腋に閉鎖花もつける。ワチガイソウ属の学名はプソイドテラリア」で「偽のハコベ属」の意味で、閉鎖花をつける点がハコベ属と大きく異なるからだという。
この株はいずれも黄金山産。