井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

北海道の樹木ウォッチング・リョウブ1

2023年02月28日 | 日記

リョウブの樹形。リョウブ科リョウブ属。
山地の尾根など乾燥した落葉樹林でよく見られる落葉小高木、樹高は3~6m。
リョウブ科はリョウブ属のみからなる小さな科、日本に自生するのはリョウブ1種のみ。
地際から多数の枝(幹)をだし株立ち状になる。
リョウブの冬芽。
頂芽は円錐形で先は尖る。芽鱗は葉身起源で1~2枚。側芽は2/5のラセン生につくが余り発達しない。
葉痕は隆起せず、心形で維管束痕は1個。
芽鱗の脱落。
リョウブの最外側の芽鱗は本格的な冬を迎える前に脱落してしまう事が多い。芽鱗が脱落して裸芽状態になるので「半裸芽」と呼ばれる。
オニグルミの場合は裸芽で、最外側の葉が芽鱗の役割をもち、本格的な冬を迎える前に脱落してしまう事がある。リョウブの冬芽と似たところがあるが、鱗芽(リョウブ)と裸芽(オニグルミ)というベースの違いがある。
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北海道の樹木ウォッチング・ムクゲ4

2023年02月27日 | 日記

ムクゲの白花。アオイ科フヨウ属。
多くの園芸種がつくられ、八重咲きのものもあり、白い花弁の赤い中心部(蜜腺へのガイドと言われる)をもつ花には「日の丸」の名が付けられている。
漢字では「槿」一字だけで「ムクゲ」と読むが、「木槿」と書くこともある。早朝に咲き午後にはしぼむ「一日花」で、「槿花一朝の栄」という言葉は儚いものの喩えに使われるが、花の寿命はそれほど短くはない。
韓国では国花になっていて、「無窮花」と書いて「ムグンファ」と読む。この字は「ムキュウカ」「ムキュウゲ」とも読め、それが変化して「ムクゲ」になったという語源説もある。
ムクゲの果実。
ムクゲの果実は蒴果、5個の果皮片の中央部に縦の線が見えるが、その反対側は壁になっていて果実を5室に分けている。熟すと上部が5裂して種子をこぼす。線形の副萼は果時まで残る。
ムクゲの種子。
ムクゲの種子は腎臓形で周囲に淡褐色の長毛がつく。ムクゲの種子には胚乳はなく、子葉が折り畳まれた形になっている。
毛をつけた種子は、風に乗せて種子を運ぶ「風散布」のように見える。

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北海道の樹木ウォッチング・ムクゲ3

2023年02月26日 | 日記

ムクゲの萼と副萼。アオイ科フヨウ属。
花を包む緑色の萼は5裂し、その外側に線形の副萼片5個が見えている。
萼片と花弁とは多くの場合互生につく(花弁と花弁の間に萼片がつく、互い違いにつく)が、ムクゲ野花では対生している(同じ位置についている)。副萼片は花弁、萼片に対し互生についている。
ムクゲの花。
ムクゲの花はハイビスカスに良く似ている。それもその筈、フヨウ属の学名は「Hibiscus(ハイビスカス)」で、同属の仲間である。種小名の「syriacus(シリアカス)」は「シリア原産の」の意味。原産地については不明説もあるが、実際の原産地は中国であるという。
学名が付けられた際にシリアで見つかった訳で、それだけ栽培エリアが広がっていたと考えられる。
花弁基部の濃い色の部分は蜜腺のガイドと見られる。
ムクゲの雄しべと雌しべ。
ムクゲが花の中央から長い棒状の雌しべ(花柱)を伸ばし、その周りを癒着して筒状になった雄しべが包んでいる。筒状の花糸から多数の葯が立ち上がる。
この形、ハイビスカスでも見られるようにアオイ科の特徴になっている。
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北海道の樹木ウォッチング・ムクゲ2

2023年02月25日 | 日記

ムクゲの葉。アオイ科フヨウ属。
ムクゲの葉、葉身は菱状卵形~広卵形で長さは数cm~10cm。
縁は浅く3裂し基部はくさび形、長枝では互生し、短枝では束生する。

ムクゲの葉裏,葉表。
葉身基部から3本伸びる葉脈(3行脈)が目立つ。裏面で3行脈が突き出ている。そういう葉の表面は葉脈部分が凹むのが普通だが、ムクゲの場合は葉脈の両側が凹んだ形になって、葉脈自体は表面でも突き出る形になっている。
ムクゲの蕾。
ムクゲの芽ぶきは遅い。元々南方系であるものが耐寒性を獲得して北進してきたが、遅霜には弱いところがあって芽吹きは遅く、開花も8~9月になるのが普通。
蕾(雌しべ、雄しべ、花弁、萼)の外側をカバーしている線形状のものは副萼。
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北海道の樹木ウォッチング・ムクゲ1

2023年02月24日 | 日記

ムクゲの樹形。アオイ科フヨウ属。
中国原産の園芸種で古い時代に輸入され栽培されてきた。落葉低木で樹高は2~3mが普通。
札幌周辺では地際から多くの枝を伸ばす叢生状の樹形が多いが、韓国には立派な幹をもつ5mほどの樹もあるという。
ムクゲの冬芽1(頂芽)。
ムクゲは元々南方系の木本で、冬芽は裸芽で星状毛をまといコブ状に盛り上がる。
ムクゲの花は普通8~9月に開花するので花芽はない。裸芽ではあるが、ムラサキシキブやオニグルミのように葉脈がはっきり見える典型的な裸芽にはならない。
ムクゲの冬芽2(側芽)。
冬芽そのものは小さくはっきりしない。葉痕は半円形で維管束痕は楕円状に並ぶ。
葉痕の右上に見えるのは花のついた跡。両脇に見える円形のものは托葉痕。
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