井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

北海道の花・ナワシロイチゴ1

2019年08月31日 | 日記
ヒメゴヨウイチゴ、コガネイチゴ、ホロムイイチゴはキイチゴ属ながら草本扱い。
これから紹介するのは木本のキイチゴ属、木本とはいえ草本に近いのでここで紹介する。



ナワシロイチゴ。バラ科キイチゴ属。
ヒメゴヨウイチゴやコガネイチゴと同じキイチゴ属ながらこちらは木本。
木本植物、「地上部が多年生存し、繰り返し開花・結実し、二次組織は肥大成長する植物」と定義される。
キイチゴの仲間は木本の要素ももつが、限りなく草本に近い。
キイチゴ属の枝の多くは1年半程の寿命しかなく、1年目の枝には花をつけない。2年目に花を咲かせ実をつけて枯れてしまう。年輪の積み上げもなく、キイチゴ属は木本と草本の中間的存在といえる。



ナワシロイチゴも葉1.
ナワシロイチゴの葉は普通3出複葉。キイチゴ属の葉の小葉、先が尖るものが多いがナワシロイチゴの場合は先がとがらず菱形状倒卵形。裏面には白い綿毛が密生する。



ナワシロイチゴの葉2.
1年目の枝(花をつけない)の葉は、2年生のものより普通大きく、5小葉のものが混じる。
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北海道の花・ホロムイイチゴ

2019年08月30日 | 日記


ホロムイイチゴの芽出し。バラ科キイチゴ属。
泥炭地など湿原に生育する草本性のキイチゴ属。
葡蔔性の枝を伸ばし、その先で根を下ろし、葉と花茎を立ち上げる。
札幌市東方の幌向湿原で発見されたことから「幌向イチゴ」と名付けられた。その幌向湿原、現在は畑と住宅地になっている。



ホロムイイチゴの雄花。
花弁は4個のものと5個のものとがある。
ホロムイイチゴは雌雄異株。雌しべを欠く雄花と、雄しべ・雌しべの揃った両性花とがある。



ホロムイイチゴの花。
花弁が開き切っておらず、雌しべがあるかどうか確認できない。
雌雄異株であることは、多様性のある子孫を残すために有効な筈だが、泥炭質の湿原以外に分布を拡げる様子は見られず、雌雄異株が必ずしも成功(分布を拡げる)につながっていない。
元々北方型で、温暖化が進む中で北海道でも分布を拡げられないとも言われる。
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北海道の花・コガネイチゴ

2019年08月29日 | 日記


コガネイチゴの葉。バラ科キイチゴ属。
亜高山~高山帯の樹林下~林縁の半日陰地で生育する。
葉は3出複葉ながら側小葉が2裂するといい、その裂け方に個体差がある(3小葉に近いものから5小葉に近いものまで)という。 



コガネイチゴの花。
地上を這う茎から、1~2葉をつける枝を立ち上げ、その先に1花をつける。
花の径1cmほどで色は白。
萼片は4個で反り返り、花弁は4個で白色。雄しべ多数で、雌しべ(心皮)も多数。



コガネイチゴの果実。
果実はキイチゴ果(液質・核果の集合果)。
コガネイチゴは「黄金苺」と書く。分果(核果)が小判形で光沢があることから「黄金」の名がついたとされるが、説得力はイマイチ。
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北海道の花・ヒメゴヨウイチゴ

2019年08月28日 | 日記


ヒメゴヨウイチゴの群落。バラ科キイチゴ属。
ヒメゴヨウイチゴは草本ながらキイチゴ属。キイチゴ属は「小低木、稀に草本」となっていて、「日本の野生植物」(平凡社)では草本の部に収録されている。
葉は鳥足状の5小葉からなり、小葉に柄はない。つる性で茎は地上を這い、枝を伸ばして群落をつくる。



ヒメゴヨウイチゴの花。
萼片は7個で反曲し、花弁7枚は白色で上向きに咲く。
山地~亜高山の林内に生える。



ヒメゴヨウイチゴの果実。
イチゴ果(オランダイチゴ属やヘビイチゴ属の果実)は、花托が膨らんで、複数の雌しべ(心皮)は夫々が痩果をつくり膨らんだ花托の上にのる。キイチゴ属の仲間は、花托が膨らむことなく、複数の雌しべ(心皮)は夫々が液質の核果をつくり、核果の集合体になる。「キイチゴ果」という。
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北海道の花・ヒメヘビイチゴ

2019年08月27日 | 日記


ヒメヘビイチゴの葉。バラ科キジムシロ属。
山地の木陰に生える小型の多年草。茎はつる状に伸び地を這い、分枝する。
葉は3出複葉、薄質で鋸歯縁、裏面は粉白を帯びる。



ヒメヘビイチゴの花。
茎上に花柄と葉柄を対生させ花柄の先に1花をつける。花の径は7mmほど、ヘビイチゴよりは小さい。
黄色の花弁が5個、花弁の間から覗いて見えるのが萼片5個で、上からは見えないが萼片と萼片の間に副萼片5個がある。その萼片と副萼片、幅に若干の違いはあるが、形は余り変わらない。ヘビイチゴの萼片と副萼片では形・大きさに違いがある。



ヒメヘビイチゴの果実。
果実は痩果、キジムシロ属の果実はヘビイチゴ属のように花托が膨らまない。赤く色づくイチゴ果をつくらない。花弁が落ちて、萼片と萼片の間に副萼片が見えている。
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