井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

北海道の樹木ウォッチング・クロビイタヤ2

2021年12月30日 | 日記

クロビイタヤの芽吹き。カエデ科カエデ属。
イタヤカエデの芽ぶきの場合は開葉に先だって開花するが、クロビイタヤの場合は開葉の方が先になっている。
クロビイタヤの葉。
「掌状に5裂し、裂片は更に羽状に切れ込む」と説明されるが、その説明だけで葉の姿をイメージするのは難しい。全体の形は北米原産のサトウカエデに似るが、裂片の様子に違いがある。
「裂片の歯牙状の鋸歯」、サトウカエデでは先端が鋭く尖るが、クロビイタヤでは丸みを帯びて鋭く尖らない。
クロビイタヤの果実。写真はインターネットからの拝借。
2個の翼果が繋がった形の「分離翼果」である点はカエデ属共通の特徴。2個の翼果の作る角度はクロビイタヤの場合、水平に開くことが多いとされる(ブーメランに似る)が、個体差も結構あるようだ。
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北海道の樹木ウォッチング・クロビイタヤ1

2021年12月29日 | 日記

クロビイタヤの樹形。カエデ科カエデ属。
川沿いの湿ったところを好む落葉高木、樹高は15~20m。日本の固有種であるが、分布は割と偏っていて、北海道では日高・胆振など太平洋側の限られ、日本海側では、植物園や北大キャンパスなど植樹されたものが見られる。
クロビイタヤの冬芽。
頂芽は比較的大きく側芽は小さい。頂芽には頂生側芽をともない、芽鱗は暗褐色で縁には毛が目立つ。
葉痕はV字形~三日月形で3個の維管束痕が見える。
クロビイタヤの樹皮。
クロビイタヤの樹皮は縦裂け型でコルク質は剥がれやすい。
クロビイタヤは「黒皮イタヤ」で、樹皮は黒ずんだ灰色というのが普通のようだが、この写真の個体は「黒」のイメージはない。この若木が成木になっていくにつれ黒ずんでいくのが、単なる個体差なのか、その辺はよく分らない。
クロビイタヤの学名(種名)の「ミヤベイ」は宮部金吾博士が発見したことから命名されたもの。宮部金吾博士は、新渡戸稲造(前の5000札の人)、内村鑑三と並んで「札幌農学校(現北大)の3賢人」と呼ばれた人、北大植物園の初代園長でもあった人。
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北海道の樹木ウォッチング・アカイタヤ3

2021年12月28日 | 日記

アカイタヤの雄花。カエデ科カエデ属。
花序は複総状で有花枝に頂生する。
雄しべは8個で雌しべは退化している。5数性の花で、萼片も花弁も5個で、形はヘラ形で良く似ている。
アカイタヤの両性花。
花柱は渦巻き状に巻き、子房は赤褐色の翼を伸ばし、分離翼果をつくり始めている。
雄しべは小さく実際には機能していない可能性があり、形は両性花であるが実質的には雌花ということになる。
アカイタヤの果実。
果実は分離翼果でイタヤカエデによく似る。2個の翼果のつくる角度には個体差があるが、150度前後のものが多く見える。
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北海道の樹木ウォッチング・アカイタヤ2

2021年12月27日 | 日記

アカイタヤの葉。カエデ科カエデ属。
アカイタヤの葉は5個に浅~中裂し、基部は浅心形~切り形。縁には鋸歯がつかない(全縁)。
カエデ属でヤマモミジやハウチワカエデには鋸歯がつくが、アカイタヤやイタヤカエデの葉には鋸歯はつかない。
イタヤカエデの葉との対比。
左:アカイタヤ  右:イタヤカエデ
イタヤカエデの葉は普通7裂で基部は浅い心形になるが、アカイタヤの葉は5裂で、基部は切り形になることが多く、心形になっても浅い。鋸歯がつかない点は共通。
イタヤカエデには葉の毛のつき方などで7個の変種が考えられているが、違いを見分けるのはむずかしい。アカイタヤの場合ははっきりした違いがあって見分けやすい。
アカイタヤの鱗片葉。
葉柄基部に托葉状のものが見える。カエデ属の葉には托葉はつかず、葉柄基部に見えているのは、内側の芽鱗が伸び出して鱗片葉となったもので、やがて落ちる。
鱗片葉の先に葉を小型にしたような小片がつくのはイタヤカエデの仲間の特徴となっている。
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北海道の樹木ウォッチング・アカイタヤ1

2021年12月26日 | 日記

アカイタヤの冬芽。カエデ科カエデ属。
アカイタヤはイタヤカエデの1変種で、北海道~東北・北陸の日本海が側に分布する落葉高木。樹高は20~25m。
冬芽はイタヤカエデによく似る(頂芽+頂生側芽)が、冬芽や若枝が赤みを帯びる。

アカイタヤの芽吹き。
アカイタヤの芽吹きは新葉も新枝も赤く色づく。「赤イタヤ」の名前はそこからつけられたという。

アカイタヤの新葉。
芽吹きの時期からずれての新葉の展開でも、アカイタヤの葉は赤く色づく。
芽吹き、新葉は赤く色づくが、落葉前には黄葉する。
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