井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

北海道の花・ノビネチドリ2

2020年02月29日 | 日記


ノビネチドリの花。ラン科テガタチドリ属。
一つ一つの花を千鳥に見立てての「チドリ」のネーミング。
唇弁は3裂して、中裂片は丸みを帯び、側裂片の先は尖る。よく比較されるハクサンチドリの場合は、
中裂片の先が尖り、側裂片は丸みをおびて逆になる。側花弁と背萼片はカブト状になって「蕊柱(ずいちゅう)」を囲む。



ノビネチドリの白花。
本来は淡紅紫色の花であるのに白い花をつける、「白花変種」という。「変種」というが、分類学上は品種扱いである。赤の色素・アントシアニンの発現に関わる遺伝子の異常から生じるという。



ノビネチドリの果実。
果実は蒴果で、熟すと裂開してホコリのような微細な種子を風に乗せて散布する。
種子はラン菌の助けを得て発芽する。
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北海道の花・ノビネチドリ1

2020年02月28日 | 日記


ノビネチドリの群落。ラン科テガタチドリ属。
山地~亜高山の林縁などに生える多年草。ノビネは「延根」と書く。根を横に伸ばして群落を作るところからノビネの名がつけられる。
属名のテガタチドリは「手形千鳥」と書く。根茎が掌状になるからのネーミングなのだが、ノビネチドリの根はそうならないので、「ノビネチドリ属」とすべきである、という見解もある。



ノビネチドリの葉。
葉は長楕円形で4~10枚つける。葉面には縦に折り目があり、縁は波状に縮れる。上の方の葉は細く小さくなり、苞へと移行していく。



ノビネチドリの花序。
茎頂に淡紅紫色の花を穂状につける。札幌周辺で見られる野生ランの中では大型で豪華な雰囲気をもつ花である。
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北海道の花・ハクサンチドリ2

2020年02月27日 | 日記


ハクサンチドリの花。ラン科ハクサンチドリ属。
ハクサンチドリ属、ヒナラン属、テガタチドリ属の3属の花は良く似ており、オルキス属としてまとめる見解も
あるという。
ハクサンチドリの特徴は唇弁に現われ、3裂した中裂片が鋭尖形になり、側裂片は大きく楕円形。



ハクサンチドリの白花。
基準種は紅紫色だが、白花になるものもある。
シロバナハクサンチドリと呼ばれることもあり、1品種扱いになる。



ウズラバハクサンチドリ。ラン科ハクサンチドリ属。
葉に暗紫色の斑点の出るものがあり、「ウズラバハクサンチドリ」と呼ばれ、こちらも1変種扱いである。
ラン科には「チドリ」の名をもつ植物は26種あるとされ、北海道にはそのうち16種自生するという。
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北海道の花・ハクサンチドリ

2020年02月26日 | 日記


ハクサンチドリの群落。ラン科ハクサンチドリ属。
亜高山~高山の湿った草地に生える多年草、北海道では低山から出現する。
ハクサンは「白山」、石川県と岐阜県にまたがる山で、富士山、立山と並ぶ「三大霊山」の一つ。
その白山で発見されたことから「ハクサン」の名がつく。



ハクサンチドリの芽出し。
根は掌状に肥厚し、葉は倒披針形で3~6個、基部は茎を抱く。
白山は、深田久弥の「百名山」にも選ばれ(87座目)、また田中澄江の「花の百名山」にも選ばれている。田中澄江は白山について「高山植物の名を覚えはじめた時から気になっていた」と書いている。



ハクサンチドリの花序。
花は紅紫色で、多数の花を総状につける。
白山は「花の山」「高山植物の山」として知られ、「ハクサン」の名をもつ花は大凡高山植物とされる。
「日本の野生植物(平凡社)」には「ハクサン」の名をもつ植物が17種載っている。
チドリは花の一つ一つを千鳥に見立てたもの。
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北海道の花・クゲヌマランとユウシュンラン

2020年02月25日 | 日記


クゲヌマラン。ラン科キンラン属。
ギンランによく似るが、ギンランの花につく距がつかない。
クゲヌマランの名前は、神奈川県藤沢市鵠沼(くげぬま)で発見されたことから付けられたという。



クゲヌマランの花。
花は半開で、ラン科の花の特徴は中々見せない。
ギンランの唇弁につく距はクゲヌマランにはつかない。子房は細く捻じれて、まるで花柄のように見える。



ユウシュンラン。ラン科キンラン属。
草丈15cm以下という小型、葉は退化してずっと小型になり、あるいは鱗片状になる。また、花被片相互の間に少し隙間が見える。
宮部金吾博士(初代北大植物園園長)の弟子で札幌農学校(現北大)の教授に、工藤祐舜博士と言う植物学者がいて、その工藤博士が発見したとうことで、「祐舜ラン」の名が付けられたという。
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