井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

北海道の樹木ウォッチング・ヤマウルシ5

2021年11月30日 | 日記


{ヤマウルシ4」(11月29日ば分)について誤りの御指摘がありました。
「ヤマウルシの果実2」について、「白いのは脂肪で栄養値が高く、シジュウカラ、アオガラなどカラ類が好んでたべる。」と言う部分について、次のような御指摘がありました。

1 アオゲラは、普通分類上はキツツキ類に属し、カラ類ではありません。
2 アオゲラは北海道には分布しません。アオゲラの分布は本州以南、北海道ではア
オゲラの近似種「ヤマゲラ」です。両者は非常によく似ていて間違えられることが多い
ようです。鳥仲間に聞いた話では、北海道では「シマアオゲラ」と別称されてことも
ある由。この場合の「シマ」は、シマフクロウの「シマ」と同じで北海道を意味します。

ご指摘、有難うございました。

「アオゲラ」を「アオガラ」と書き間違えたとことから「カラ類」などと余計なことを書きました。
何れにしても「野鳥のことについては弱い」ということで弁解の余地はありません。

ついで、と言ってはなんですが、ウルシの仲間について少し書きたします。

シジュウカラやアオゲラはウルシの核果を食べますが、人間もウルシの仲間の核果を食べます。
ウルシの仲間は熱帯・亜熱帯地方に多く、マンゴー等は4000年以上前から栽培され、生食したり、料理に使ったりしたと言います。
ウルシの仲間ですが、「かぶれ成分」は弱く、普通はかぶれる事はありません。ただ、弱いとはいえゼロではなく、顔中腫れあがったという人もいるという話です。
ちなみに、「ピスタチオ」や「カシューナッツ」などのナッツ類もウルシの仲間です。
マンゴーは果肉状の中果皮部分を食べ、ピスタチオやカシューナッツの場合は内側の核の中に収められている種の部分(梅干しの種の中の天神様と呼ばれる部分)を食することになります。アーモンドはバラ科の種ですが、構造的には同じものです。
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北海道の樹木ウォッチング・ヤマウルシ4

2021年11月29日 | 日記

ヤマウルシの果実2。ウルシ科ウルシ属。
ヤマウルシの果実、淡黄色に色づいた外果皮は薄くやがて剥がれ落ち、白っぽい中果皮に包まれた種が現われる。
白いのは脂肪で栄養値が高く、シジュウカラ、アオガラなどカラ類が好んでたべる。ロウ物質を含むが「和ローソク」の原料となる木蝋は同じウルシ属のハゼノキから採る。
ヤマウルシの紅葉。
ヤマウルシは他の木々より一足早く色づき、それも大変鮮やかな赤で目立つ。
ヤマウルシ、落葉直前の茎頂部。
赤い葉柄の葉が6個、今年枝の先についている。
葉序はラセン生であるが、節間がつまって輪生に近い形。ヤマウルシの葉は大型の方で、その分茎につく部分も大きく膨らんでいて、葉が落ちた跡(葉痕)も大きくなる。茎頂には冬芽が用意されている。
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北海道の樹木ウォッチング・ヤマウルシ3

2021年11月28日 | 日記

ヤマウルシの雄花。ウルシ科ウルシ属。
ヤマウルシは雌雄異株。こちらは雄花。
円錐花序に黄緑色の小さな花を多数つける。5数性の花で萼片、花弁は普通5個。雄しべも5個で黄色い葯をつき出して目立つ。
ヤマウルシの雌花。
小さい萼片と花弁、退化した雄しべが夫々5個、雌しべは1個で、楕円形の子房(1室)が見え、花柱の先は3裂。
ヤマウルシの果実1。
ヤマウルシの果実は核果、淡黄色に熟す。
外果皮の淡黄色は剛毛によるもの。漆液を採るために栽培するウルシの果実は無毛。
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北海道の樹木ウォッチング・ヤマウルシ2

2021年11月27日 | 日記

ヤマウルシの芽吹き2。ウルシ科ウルシ属。
新枝や葉柄部分の赤色は残しているが、小葉の赤はあせて緑色に変わっていく。
新葉は枝先に集まってつく。
ウルシ液の成分ウルシオールは人にとって「かぶれ成分」でもある。揮発性で芽ぶきの時期が一番かぶれやすいと言われる。アレルギー反応で体質的に弱い人は近くを通っただけでかぶれるという。
ウルシは不思議なことに、湿度が80%程ないと乾燥しない。乾燥したものでは普通かぶれないが、稀にかぶれることもある。ウルシ職人はやっているうちに耐性ができるが、最初はやはりかぶれるという。
若芽をテンプラにして食べるという話もあるが、試してみる気にはなれない。
ヤマウルシの葉。
ヤマウルシの葉は奇数羽状複葉、長さは25~40cmで小葉は3~7対(7~15個)。
小葉は長楕円形で先は鋭く尖る。互生(ラセン生)につくが、節間がつまって輪生に近い形になる。
ヤマウルシの蕾(花序)。
葉腋から円錐花序を伸ばし、多数の花をつける。
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北海道の樹木ウォッチング・ヤマウルシ1

2021年11月26日 | 日記

ヤマウルシの冬芽。ウルシ科ウルシ属。
ヤマウルシの冬芽は裸芽。頂芽は球状卵形で大きく、褐色の毛が密生する。
葉痕はハート形~三角形で維管束痕はV字形に並ぶ。上部に小さな球形の側芽がつく。
1年生枝は太く(径1cmほど)、白い短軟毛が密生する。長楕円形の皮目が目立つ。
ヤマウルシの樹形。
山地~丘陵に生える落葉低木で樹高は3~5m。
ウルシ(漆液を採るために栽培される)に似て山に生えるので「山ウルシ」の名がある。
ヤマウルシからも漆液はとれるが、樹高も幹径も3分の1ほどと小さく、採れる量が少なく経済性が低い。ウルシは中国から輸入されたとされるが、縄文時代には既に利用されていたといい、それが中国から輸入されたものなのか、元々日本にあったものなのかはイマイチ定かではない。
ウルシ液は塗料としてだけでなく、接着剤(矢尻を矢柄の固定するため)として利用されていたという。
ヤマウルシの芽吹き。
ヤマウルシの芽吹きは赤く色づき目立つ。
裸芽であるから、落ちる芽鱗はなく開いて普通葉となる。
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