井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

北海道の花・チシマアザミ2

2020年11月30日 | 日記

チシマアザミの葉。キク科アザミ属。

葉は全縁のもの(裂けめがない)から羽状に深裂したものまで変化が大きい。

個体差が大きいというだけでなく、同じ個体でも葉のつく場所によって形が大きく変わるものもある。

「異形葉」といい、樹木ではオヒョウやヤマグワなどが良く知られている。

チシマアザミでも、上部につく葉は全縁で、下部につく葉には羽状に中~深裂する、そんな株もある。

チシマアザミの蕾。

チシマアザミの花、総苞は球鐘形で、総苞片は6~7列、外片と中片の上部は開出する。

チシマアザミの花。

キク科の花には、筒状花と舌状花の2種類の花がある。ヒマワリやコスモスのように両方の花が揃っているものもあり、タンポポの仲間のように舌状花だけのものもある。そしてチシマアザミなどアザミの仲間は筒状花のみの花である。アザミの仲間、上向きに咲くものもあるが、チシマアザミは普通下向きに花をつける。

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北海道の花・北海道の花・チシマアザミ1

2020年11月29日 | 日記

チシマアザミ。キク科アザミ属。

低山~山地の林縁~草地などに生える多年草。

北海道から千島にかけて最も普通なアザミで「エゾアザミ」の別名もある。

チシマアザミの越冬葉。

花後に新葉を出し、ロゼット葉で越冬する。

葉は羽状に裂け縁にトゲがある、などチシマアザミの特徴をみせる。翌春、中心部から茎を立ち上げ、

花時にはロゼット葉は消える「偽ロゼット型」。

チシマアザミの芽出し。

越冬の仕方には、ロゼット葉によるものの他に、地下に冬芽を用意して越冬するものもある。

雪解け後に芽出しするものは、葉に新鮮さがある。

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北海道の花・ヒヨドリバナ

2020年11月28日 | 日記

ヒヨドリバナ1。キク科ヒヨドリバナ属。

山地の林縁~草原に生える多年草で、属を代表する花だが北海道では個体数が少ない。

対生する葉をもち、サワヒヨドリと違って葉柄をもつグループ。

ヒヨドリバナ2。

秋の七草に数えられるフジバカマは北海道には分布しないが、このヒヨドリバナが一番の近縁。

葉はフジバカマより薄く、葉裏にはフジバカマにはない腺点がある。

フジバカマの葉はサワヒヨドリのように対生する葉が3深裂するものがあるが、ヒヨドリバナの葉は普通3裂しない。フジバカマの葉にはクマリンが含まれていて良い香りがするが、ヒヨドリバナの葉にはクマリンは含まれない。

昔は、ヒヨドリバナ属のことを「フジバカマ属」と呼んでいたという。

ヒヨドリバナ3。

ヒヨドリバナ属の花はみな良く似ている。

花の色は白~淡紅紫色で、ヒヨドリバナには白花が多いとされるが同定の決め手にはならない。

 

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北海道の花・サワヒヨドリ

2020年11月27日 | 日記

サワヒヨドリ1。キク科ヒヨドリソウ属。

ヒヨドリソウ属は葉が輪生するグループと対生するグループとに分けられ、ヨツバヒヨドリは前者、サワヒヨドリは後者。

対生する葉の仲間は、葉柄のないグループと有柄のグループに分けられ、サワヒヨドリは前者。

水辺や湿地に生えるところから「沢ヒヨドリ」の名がつけられる。

サワヒヨドリ2。

頭花は茎や枝の先の散房花序にやや密につく。

葉は一見6枚が輪生しているように見えるが、対生する2枚の葉が3深裂したもの。

輪生する葉の根元ににはそれぞれに芽をもつが、3裂した小片の根元には芽がない。

サワヒヨドリ3。

花は形も色もヨツバヒヨドリによく似る。

「対生する葉はときに3深裂し、3行脈が目立つ」と紹介される。3裂した中央裂片は確かに3行脈が目立つが、両サイドの裂片では主脈だけが目立つ。

サワヒヨドリの茎には軟毛があってビロードの感触がある。

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北海道の花・ヨツバヒヨドリ3

2020年11月26日 | 日記

ヨツバヒヨドリの花に蝶。キク科ヒヨドリバナ属。

ヒョウモン蝶の仲間、シジミ蝶の仲間がヨツバヒヨドリの花の蜜を吸っている。ヨツバヒヨドリも花蜜には毒性の強いアルカロイドが含まれる。アサギマダラはヨツバヒヨドリやフジバカマの花の蜜を吸って、その強い毒成分を貯め込んで、外敵から身を守るという。

ヒョウモン蝶、シジミ蝶がアサギマダラと同じように毒性を身に貯め込んでいるかどうかは分からない。

ヨツバヒヨドリの果実。

果実は瘦果、5角柱で冠毛はほぼ同長。

ヨツバヒヨドリの虫コブ。

虫コブ名はヒヨドリバナハナフクレフシ。タマバエの仲間によってヨツバヒヨドリの花に形成される。表面は黄緑色で白い毛が密生する。大きいものだと内部に20個以上の幼虫室をつくり、各室で幼虫が育つ。成熟した幼虫は秋に側面に孔をあけて抜け出し、落ちて地中で越冬する。

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