井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

北海道の花・ヌカイトナデシコ1

2023年06月30日 | 日記

ヌカイトナデシコの群落。ナデシコ科カスミソウ属。
道端や空き地などに生育する1年草、ヨーロッパ原産の帰化種。1997年に初確認という割と新しい帰化種dが、札幌周辺では結構普通に見られ、2007年発刊の「新・北海道の花(梅沢俊著)」には既に紹介されている。
ヌカイトナデシコの草姿。
ヌカイトナデシコは盛んに分枝して草丈は5~25cmになる。「逸出帰化植物」という説明もあるから、かつて園芸種として栽培されていたものと考えられる。
ヌカイトナデシコの葉。
ヌカイトナデシコの葉は糸状で基部は合着して短い鞘をつくる。細い糸状の葉から「糠糸ナデシコ」と名付けられたという。「糸状」というのは分かるが「糠糸」と言葉は広辞苑にも載っていない。
属を代表するカスミソウは仏花用に栽培される園芸種で、野生種がないことから「日本の野生植物(平凡社)」の検索表にはカスミソウ属の名はない。
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北海道の花・オオヤマフスマ2

2023年06月28日 | 日記

オオヤマフスマの花。ナデシコ科オオヤマフスマ属。
オオヤマフスマは5数性の花、萼片、花弁ともに5個、雄しべは10本。萼片は花弁よりずっと短い。
近縁のノミノツヅリでは萼片の方が逆に花弁より長い。花柱は2~3個となっており、この株では2個。
ナデシコ科の花は花弁が裂けるものが多いが、オオヤマフスマの花弁は全縁で裂けないので、花を見分ける上での良いポイントいなる。
オオヤマフスマの果実。
オオヤマフスマの果実は蒴果、熟すと縦に裂けて小さい種子をこぼす。
オオヤマフスマの種子。(写真はネットからの借用)。
オオヤマフスマの種子はへそ部に膜質の付属物「種枕(しゅちん)」がつく。カタクリやフクジュソウの種子につくエライオソームも種枕である。
図鑑「日本の野生植物(平凡社)」では種子に種枕がつくことでノミノツヅリ属とは別のオオヤマフスマ属としているが、ノミノツヅリ属とする考え方もある。ということでオオヤマフスマには属が複数あることになるが、そういう複数ある学名のことを「シノニム」と呼んでいる。
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北海道の花・オオヤマフスマ1

2023年06月28日 | 日記

マの群落。ナデシコ科オオヤマフスマ属。
山地の草原~林縁などに生育する多年草、根茎を伸ばして群落を拡げる。
オオヤマフスマは「大山衾」書く。「ヤマフスマ」という種があれば、それの大型のものという意味にもとれるが、そう言う種はない。となれば「大山の衾」と言う事になる。衾は夜具の意味だが「大山」が何を表わすのかはっきりしない。牧野富太郎博士も「語源は不明」としている。
オオヤマフスマの草姿。
近縁の「ノミノツヅリ」は茎を斜上して横に広がるが、オオヤマフスマは茎を直立させる。
オオヤマフスマの葉。
オオヤマフスマの葉は広楕円形~倒披針形で無柄。図鑑などには葉序(葉のつきかた)の説明はないが、はっきりした互生の部分と対生に近い部分とがある。
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北海道の花・ノミノツヅリ2

2023年06月27日 | 日記
ノミノツヅリの花序。ナデシコ科ノミノツヅリ属。
茎は細かく枝をだし、茎頂に集散花序をつける。近縁のタカネツメクサ(タカネツメクサ属)には有花茎と無花茎の区別があるが、ノミノツヅリにはそれが無い。
ノミノツヅリの花。
5数性の花で、萼片が5個で花弁も5個、雄しべは10本。ノミノツヅリの花では、萼片>花弁で萼片の方が大きい。近縁のオオヤマフスマの場合は逆で萼片<花弁で花弁の方が大きい。
この写真でははっきりしないがノミノツヅリの花柱は3個。
ノミノツヅリの果実。
ノミノツヅリの果実は蒴果で残存萼に包まれ、先は6裂し小さな種子をこぼす。
花柱が3個で、蒴果の裂片は花柱の2倍数の6個。蒴果の裂片が花柱と同数なのが「センノウ型」、蒴果の裂片が花柱の2倍数になるのが「マンテマ型」、ノミノツヅリはマンテマ型ということになる。
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北海道の花・ノミノツヅリ1

2023年06月26日 | 日記

ノミノツヅリの群落。ナデシコ科ノミノツヅリ属。
道端や空き地などに生育する人里植物、2年草。茎は根元から多く枝を分け広がる。
分布は広く、「世界の耕地雑草」とも言われる。
ノミノツヅリの草姿。
茎はよく分枝して株状になる。稲作と同時に日本に入ってきた古い帰化植物で「史前帰化植物」と呼ばれる。
近縁のタカネツメクサ(タカネツメクサ属)には有花茎と無花茎の区別があるが、ノミノツヅリにはそれが無い。
ノミノツヅリの茎と葉。
ノミノツヅリの葉には柄がなく幅広(広卵形~長卵形)、先はとがり対生につく。両面に毛があり、縁にも毛が目立つ。茎にも毛が多い。
ノミノツヅリは「ノミの綴り」と書く。「綴り」は「つぎはぎの多い粗末な衣服」のことで、小さな葉を「ノミの着る綴りに見立てたもの。
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