井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

手稲ひだまり公園の春・エンレイソウ3

2018年04月30日 | 日記


開花株と未開花株。
3枚葉になっても葉が小さいうちは開花株にはなれない。充分大きくなった葉をもつものでも開花しないものがある。根茎への栄養分の蓄積が不十分なのだと考えられる。
エンレイソウは「延齢草」と書く。何やら不老長寿のイメージがあるが特別な効能ななさそう。
根茎は「延齢草根」と呼び胃腸薬になるという。胃腸を丈夫にすれば長生き出来るということらしい。



エンレイソウの芽出し。ユリ科エンレイソウ属。
エンレイソウの芽だし、葉を丸めてストレートに出てくる。



エンレイソウの研究園。
日本のエンレイソウ属、エンレイソウ、ミヤマエンレイソウ、オオバナノエンレイソウの3種が代表種とされる。前2者は全国に分布するが「オオバナ」は岩手県以北で、北海道に多い。
種間雑種も出来やすく、基本種、交雑種を併せてすべてが見られるのは北海道が一番。
そんなことからエンレイソウの研究は北大で盛んに行われ、北大植物園の一角にエンレイソウの研究園が設けられている。
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手稲ひだまり公園の春・エンレイソウ2

2018年04月29日 | 日記


エンレイソウの果実と種子。ユリ科エンレイソウ属。
液果に多数の種子を入れる。果実には若干甘みがあり食べられる。



エンレイソウの種子。
種子にはエライオソームがついていて「アリ散布」になる。
ただし、このエライオソームを狙うのはアリに限らず、オサムシやゴミムシなど地上歩行性の甲虫もこれを食べる。彼等の場合、その場で食べるだけで種子を運ぶことをしないので種子散布に寄与しない。
実生が1ヶ所に固まって生じるのは甲虫たちの仕業とされる。



エンレイソウの実生。
エンレイソウの実生、1年目は小さく披針形の葉が1枚。翌年からやや幅の広い心形の葉となるが、4~5年間は1枚葉の状態が続く。
その後3枚葉になり、開花株になるには更に4~5年要するという。
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手稲ひだまり公園の春・エンレイソウ1

2018年04月28日 | 日記


エンレイソウ。ユリ科エンレイソウ属。
エンレイソウ属を示す学名「トリリウム」はエンレイソウの仲間が3数性であることを示す。
萼片(外花被)が3個、花弁(内花被)も3個、雄しべは内外それぞれ3本、雌しべの柱頭は3裂、子房も3室、葉は3枚が輪生。
ただし、エンレイソウの内花被はゼロ。



エンレイソウの果実。
果実は液果、稜のある球形で色は緑~黒など変化がある。
この写真のように黒いものを「クロミノエンレイソウ」として変種扱いする考え方がある。



子房が緑色のエンレイソウ。
子房が黒い花はそのまま黒い果実になり、緑色の子房は緑色の果実になる。黒い果実の「クロミノエンレイソウ」に対して「アオミノエンレイソウ」とよぶ。
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手稲ひだまり公園の春・ナニワズ3

2018年04月27日 | 日記


ナニワズ雄花の断面。ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属。
ナニワズは雌雄異株とされるが、形は両性花。
オレンジ色の葯をもつ雄しべ、長短2列に配され、雌しべの子房と柱頭は下部に。
雄しべは機能し、雌しべは機能的に退化しているとされるが、不確かとも言われる。図鑑(日本の野生植物:平凡社)でも「はっきりしない雌雄異株」としている。



ナニワズ雌花の断面。
雄しべと雌しべが揃っている点は雄花と同じ。
葯の色が薄く、花粉を出さないので雌花の働きをするとされる。
雄花も雌花も「機能的に退化」といわれる部分があってはっきりしないが、果実のならない株があるのは確かである。



ナニワズの冬芽
秋に芽吹いて、冬を前に冬芽(花芽)を用意し、葉をつけたまま越冬する。
靭皮繊維(じんぴせんい:形成層の外側に形成される繊維)が強いので「鬼でも縛れる」ということで「オニシバリ」の別名があるが、オニシバリは基本種として存在するので、ナニワズの場合は「エゾオニシバリ」と呼ぶ。
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手稲ひだまり公園の春・ナニワズ2

2018年04月26日 | 日記


ナニワズの果実。ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属。
果実は液果、普通8月に赤く熟す。
夏に果実は熟すが、葉も落としてしまう。夏に落葉するので「ナツボウズ(夏坊主)」とも呼ばれる。
基本種のオニシバリの別名も「ナツボウズ」なので、ナニワズの別名は「エゾナスボウズ」と「エゾ」をつけて呼ぶという。



ナニワズの夏芽。
ナニワズは夏に落葉して休眠状態にはいる。一般の樹木の休眠芽は冬芽であるが、ナニワズは夏に休眠するので休眠芽は「夏芽」ということになる。休眠芽が夏芽になるのは余り例がない。



ナニワズの芽ぶき。
7月末~8月初旬に落葉するナニワズ、8月下旬ころから芽ぶきを見せる。
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