やや北方型・大型のオオバミゾホオズキ２

オオバミゾホオズキの花１。ゴマノハグサ科ミゾホオズキ属。

オオバミゾホオズキの花はミゾホオズキに似て２唇形、上唇は２裂し下唇は３裂する。

オオバミゾホオズキの花２。

オオバミゾホオズキは上部の葉腋に１花をつける。この点はミゾホオズキと同じ。

花柄は長く、萼は筒形で先は三角状の５裂片に裂ける。萼の形がミゾホオズキとは異なる。

こちらはミゾホオズキの花（萼の対比のため）。

ミゾホオズキの萼の先は切り形で５個の小さな突起状になる。

やや北方型・大型のオオバミゾホオズキ１

オオバミゾホオズキの群落。ゴマノハグサ科ミゾホオズキ属。

ミゾホオズキが低山の湿地に生えるのに対して、オオバミゾホオズキは亜高山帯の湿地に生える多年草。

ミゾホオズキと比べてやや北方型となる。根茎を伸ばして群落をつくる。

オオバミゾホオズキの草姿。

ミゾホオズキの茎は良く分枝して横に拡がるが、オオバミゾホオズキの茎は分枝せず直立する。

オオバミゾホオズキの葉。

オオバミゾホオズキの葉、葉身は卵形～卵円形で長さは２５～６０ｍｍでミゾホオズキ（１０～２０ｍｍ）より大きい。そこから「大葉ミゾホオズキ」と名付けられる。

但し、全体的にというか平均的にオオバミゾホオズキの方が大きいということで、夫々に個体差があって逆転するケースもある。

大きさの違いだけでないミゾホオズキとの違いもある。ミゾホオズキの葉には柄があるがオオバミゾホオズキには葉柄がない。ミゾホオズキの葉の鋸歯は少なく目立たないが、オオバミゾホオズキの鋸歯は鋭く目立つ。

湿地に生えるミゾホオズキ２

ミゾホオズキの花２。ゴマノハグサ科ミゾホオズキ属。

花冠を包む萼には縦に走る５本の稜があり、稜上には翼を生じる。

ミゾホオズキの花後。

受粉後、雄しべ、花冠は枯れ落ち、萼は伸び出して幼果実（子房）を包む。この辺がナス科のホオズキに似るところから「溝ホオズキ」の名がつく。「溝」は水湿地に生えるところから。

ミゾホオズキの果実。

ミゾホオズキの果実は線状楕円形の蒴果、熟すと胞間裂開する。

ホオズキに似て、果実は大きく伸びた萼に包まれるが、果実はホオズキのように丸くはならない。

湿地に生えるミゾホオズキ１

ミゾホオズキの群落。ゴマノハグサ科ミゾホオズキ属。

ミゾホオズキは水辺～陰湿地に生育する小形の多年草。

草丈は１０～３０ｃｍ、茎断面は四角形で稜はヒレ状に突き出し、水分を多く含み柔らかい。

ミゾホオズキの葉。

ミゾホオズキの葉、葉身は卵形～楕円形で先は尖る。短いながら柄があり（近縁のオオバミゾホオズキの葉には柄がない）、縁の鋸歯は数も少なく余り目立たない。

ミゾホオズキの花１。

ミゾホオズキは茎上部の葉腋に１花をつける。花冠は黄色、筒状で先は唇状になる。上唇は２裂し、下唇は３裂し内面基部の２個の隆起には毛状突起が密生する。

岩礫地の花・イワブクロ

イワブクロの群落。ゴマノハグサ科イワブクロ属。

高山の砂礫地、岩礫地に生える多年草、根茎を伸ばして群落をつくる。

北海道の樽前山（２百名山・標高：１０４１ｍ）で発見されたことから「タルマエソウ」の別名がある。

大雪山の旭岳、赤岳、黒岳などでも見かける。この株は赤岳産。

イワブクロの葉。

茎には４稜があり、葉は卵状長楕円形で対生、先の鋭い鋸歯がある。

この株は樽前山に近い風不死岳産。風不死岳産は樽前山と支笏湖の間に位置する。

イワブクロの花、

花は２唇形で、上唇は２裂、下唇は3裂する。

淡紅紫色の花冠は筒形で、これを袋に見立て、岩礫地に生えることから「岩袋」と命名された。

花の盛りが過ぎると、袋状のままポロッと落ちるという。