井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

北海道の樹木ウォッチング・ツルアジサイ3

2022年01月31日 | 日記

ツルアジサイの葉。ユキノシタ科アジサイ属。
ツルアジサイの葉は卵形で大きさなど変化が大きい。
縁には細かい鋸歯が片側で30個以上つく。よく比較されるイワガラミの葉は鋸歯は粗く数は少ない。
葉柄は長く、中には10cm近いものも。
岩に絡みつくツルアジサイ。
つる植物は他の樹木に絡みつくのが理想だが、上手く絡みつけないこともあり、仕方なく岩にからみついたり、地を這ったりする。同じユキノシタ科の「イワガラミ」も同様に岩に絡みつくことがあり、それがそのまま「岩絡み」の名になったものと考えられる。
ツルアジサイの虫こぶ。
ツルアジサイの葉にフシダニの仲間がつくった虫こぶ(ツルアジサイハケフシ)。こぶ状の表面は無毛だが内部に白い毛が密生する。そこで虫こぶの名は、「ツルアジサイ・葉・毛・フシ」。
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北海道の樹木ウォッチング・ツルアジサイ2

2022年01月30日 | 日記

ツルアジサイの付着根。ユキノシタ科アジサイ属。
木本のつる植物、他の植物への絡みつきかたは3種類ある。ツルアジサイの場合は幹から付着根と呼ばれる根状の突起を出し、他の樹木の幹に差し込んで攀じ登っていく。
地上の、空気中に出す根ということで「気根」とも呼ばれる。
植物の根は地中にだすもの、地上の茎から出す根は不定根で「気根」と呼ばれる。
付着根も気根の1種。気根にはその役割によって、「呼吸根」「吸水根」「支柱根」などの呼び方がされるが、ツルアジサイの場合は、自立出来ない茎を他の樹木に付着させるためのもので「付着根」と呼ばれる。
 他の植物への絡みつきかたの第1はツルアジサイのような「附着根」によるもの。
第2はヤマブドウのような「巻きヒゲ」によるもの、そして第3はツルウメモドキのような「茎自体で絡みつく」もの、である。
 つる植物の進化の原点は熱帯地方で、次第に耐寒性を獲得して北進してきたものと言われる。北海道はその北限と言えるのではないか、と考えられる。
ツルアジサイの樹皮、皮目はなく、古くなると縦に裂ける。左に見えている黒い樹皮は同じつる植物のヤマブドウ。
ツルアジサイの冬芽。
ツルアジサイの冬芽は紡錘形~長卵形、先は尖り光沢がある。芽鱗は葉柄起源で2対4枚。葉痕は三日月形で維管束痕は3個。
側芽は小さく対生、開葉しても短枝化しやすい。
ツルアジサイの芽吹き。
外側の1対(紅褐色)は冬芽の時外側に見えていた芽鱗、芽吹きの内側に2対が白っぽく見えている。
ツルアジサイの若葉も山菜として食べられるというが、北海道での一番人気はタラノキで、ツルアジサイは余り利用されていない。
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北海道の樹木ウォッチング・ツルアジサイ1

2022年01月29日 | 日記

他の樹木を攀じ登るツルアジサイ。ユキノシタ科アジサイ属。
植物の生き方の基本は光合成、出来るだけ多くの光を受けようと植物は競いあって葉を拡げる。
葉を多くつけるだけでなく、その葉でしっかり太陽光を受けるためには、葉をより高いところにつけようと幹・枝を高くする。それには多くの時間・エネルギーを必要とする。
その時間・エネルギーを節約しようとするのが「つる植物」、幹を太く丈夫にして丈を高くする代わりに長く伸ばして他の樹木等に絡みつき利用する。
つる植物は草でも木でもない「第3のもの」とする考え方もあったというが、つる植物にも草本のものと木本のものとがある。他の植物への絡みつきかたに若干の違いがあるが、他の植物を利用し、茎を丈夫にする代わりに伸ばすことに専念する点は共通する。
陸上植物の進化と言う点で基本となるのは木で、草は木の入り込めない生態的位置を見つけて進化してきたと考えられている。そういう植物の進化の視点で「つる植物」を考えると、既にある植物を利用している点から、つる植物は木や草から二次的に進化してきたことになる。
シダ植物や裸子植物にもつる性のものがあり、被子植物でも多くの科につる植物があることなどが、その証拠になるとも言われる。
ウリ科のように科全体がつる植物というものもあるが、これは少数派で、多くの場合、普通の草や木とつる植物とが混在している。
ツルアジサイは普通のアジサイに混じるつる植物である。
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北海道の樹木ウォッチング・ギンヨウカエデ

2022年01月28日 | 日記

ギンヨウカエデの樹形。カエデ科カエデ属。
北米原産の緑化樹、樹高20m程の落葉高木。
ルブルムカエデ(アメリカハナノキ)の近縁種で公園などに植えられているが、ルブルムカエデより個体数は少ないようだ。
ギンヨウカエデの冬芽。
ギンヨウカエデの冬芽は卵形で、頂芽には頂生側芽を伴い、側芽は対生する。カエデの仲間では側芽が頂芽より小さくなるケースが多いが、ギンヨウカエデではほぼ同大。
ギンヨウカエデの葉。
ギンヨウカエデの葉は大きいものだと15cm程になり、掌状に5裂する。裂片は更に2~3裂し先はとがる。裏面は銀白色になり、「銀葉カエデ」の名はそこからだあという。
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北海道の樹木ウォッチング・チドリノキ

2022年01月27日 | 日記

チドリノキの樹形。カエデ科カエデ属。
岩手県以南で割と標高の高いところに分布する落葉小高木、樹高は8~10m。
北海道には分布せず、この樹は富士山・青木が原樹海で出会ったもの。説明を受けなければこれがカエデの仲間であることに気付かなかったと思う。
日本の固有種で、世界のどこにも近縁種がない特異なカエデだという。
チドリノキの葉。
チドリノキの葉は卵状長楕円形で先は尾状に尖り、カバノキ科のサワシバやクマシデに似ている。
チドリノキの葉は対生することで互生するサワシバやクマシデと見分けることが出来る。
最もカエデらしくないカエデの葉である。
チドリノキの果実。
写真は参考書からの拝借。
この果実を見なければ、これがカエデの仲間とは容易に信じられない。
学名(種小名)の「カルピニフォリアム」も「シデ属の葉をした」の意味だという。チドリノキの和名は鈍角に開く分離翼果を「千鳥」に見立てたもの。

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