井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

北海道の花・タカネトウウチソウ

2021年03月31日 | 日記

タカネトウウチソウの群落。バラ科ワレモコウ属。

タカネトウウチソウは「高嶺・唐打草」と書く。「高嶺」は高山性であることを示し、大雪山等高山の草地~礫地に生育する。根茎を伸ばしてしばしば群落をつくる。

この株は大雪山・旭岳産。

タカネトウウチソウの葉。

葉の多くは根生葉で奇数羽状複葉、小葉は長卵形で5~7対、縁には鋭い鋸歯がつき、はっきりした小葉柄がある。

タカネトウウチソウは本州中部の高山にも分布する。十数万年前の寒冷期には南の方へ分布域を拡げたが温暖化で北上する。このとき本州中部の高山に生き残るものが生じ、「遺留植物」と呼ばれる。

タカネトウウチソウの花。

花穂は円柱形で先がやや細くなる。「唐打草」は、花穂の姿が唐から渡ってきた「打紐(うちひも)」に似るから。ナガボノシロワレモコウの花穂は垂れ下がり、タカネトウウチソウの花穂は直立する。

花は花穂の基部から先に向かって咲き上がる。ナガボノシロワレモコウとは逆になる。

小花に花弁はなく、萼片は4個。雄しべは白く長い花糸(先の方が幅広になる)をもち、全体が白っぽくん見える。

この株は大雪山・赤岳産。

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北海道の花・ヒメキンミズヒキ

2021年03月30日 | 日記

ヒメキンミズヒキ。バラ科キンミズヒキ属。

林内など日陰地に生える多年草。キンミズヒキに似るが全体に小型でほっそりしたとしていて華奢な印象。毛も少ない。

ヒメキンミズヒキの葉。

キンミズヒキの葉同様、変則的羽状複葉。ただ、ヒメキンミズヒキの小葉はキンミズヒキのようには尖らず全体に丸みを帯びた形になる。小葉の数は少なく、葉裏の腺点はまばらで少ない。

ヒメキンミズヒキの花序。

キンミズヒキと同じ紐状の総状花序だが、キンミズヒキと比べて花穂は細く、花を疎らにしかつけない。

北海道での分布は西部、南部となっており、苫小牧・北大研究林や萩の里自然公園など太平洋側で見られる。

札幌周辺では何故か野幌森林公園で見られるという。

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北海道の花・キンミズヒキ2

2021年03月29日 | 日記

キンミズヒキの花序。バラ科キンミズヒキ属。

ミズヒキ同様、総状花序は紐状になるが、ミズヒキが花を疎らにしか花をつけないのに対して、キンミズヒキでは花を密につける。

キンミズヒキの花。

小花は花弁が5個、萼片は花弁の裏側に5個あり、尖った先端が見えている。

萼の表面には鉤状の刺が付き、副萼の変化したものだという。

キンミズヒキの果実。

花後、鉤状の刺は萼筒とともに残って果実を包み、刺(フック)を動物の体に付着させて種子散布につなげる。

フックを作って「ひっつき虫」のなる点はタデ科のミズヒキと同じ。ただ、フックをつくるのが、ミズヒキの場合は花柱で、キンミズヒキの場合は副萼と言うことになる。

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北海道の花・キンミズヒキ1

2021年03月28日 | 日記

キンミズヒキ群落。バラ科キンミズヒキ属。

林縁や原野に生える多年草。

キンミズヒキの総状花序は長く伸びて紐状になる。タデ科のミズキきに似た花序をつけ、花の色が黄色なので、「金水引」と呼ばれる。

キンミズヒキの芽出し。

キンミズヒキの芽出しは、小葉を折り畳んだ形で伸び出し、ロゼット状に拡げる。

オオダイコンソウに似るが、オオダイコンソウの小葉が幅広で丸っこいのに対して、キンミズヒキの小葉は若干狭く長楕円形になる。

キンミズヒキの葉。

キンミズヒキの葉は奇数羽状複葉。普通、羽状複葉は小葉の形、大きさが皆同じというか大差ないのに対して、キンミズヒキの小葉は大きいのと小さいのと差が大きく「変則的羽状複葉」と呼ばれる。葉柄基部には鋸歯のある大型の托葉がつき、その下半分は柄に合着する。葉の裏には多数の腺点が散らばる。

茎には軟毛が密生する。キンミズヒキの学名(種名)の「ピローサ」は「長毛のある」の意味だという。

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北海道の花・ミヤマワレモコウ、チシマワレモコウ

2021年03月27日 | 日記

ミヤマワレモコウ。バラ科ワレモコウ属。

山地~亜高山の草地に生える多年草。ナガボノシロワレモコウと同じコバノワレモコウノ1変種。

葉や花穂などナガボノワレモコウに似るが草丈はずっと小さく、花穂の色は紅紫色。

2001年まではナガボノアカワレモコウと呼ばれていたという。

チシマワレモコウ1。バラ科ワレモコウ属。

ナガボノシロワレモコウも北方型だがチシマワレモコウは更なる北方型で、高山型とも言われる。

全体に小型で、花穂も短い。この株は礼文島産。

チシマワレモコウ2。

開花前の蕾状態のとき、蕊を包む萼が薄紅色に色づくものがあり、蕾状態の花穂は赤っぽく見える。

開花が進むと白くなる。この株も礼文島産。

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