井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

アジサイ属の普通花と装飾花

2010年12月31日 | 日記
アジサイに「紫陽花」の字をあてるのは、白楽天も詩によるものだといいます。



エゾアジサイの花序です。
アジサイ属の2種類の花を、普通花(両性花)と装飾花という。装飾花の花弁状のものは萼片で、花弁やシベ類の退化した部分を、通称「目」というのだそうです。



装飾花の先祖返りです。
装飾花では、花弁もシベ類も退化していますが、時として退化した筈の雄しべなどが現れることがある。一度退化したものが実際に機能するかどうか分かりませんが、形として復活しています。



装飾花が見当たりません。
装飾花と普通花の2タイプの花を持つアジサイ属で、装飾花だけになったのが園芸種のアジサイですが、逆に装飾花のないものもあります。コアジサイという種がそういう特徴をもっていますが、北海道には生育していないとされています。この装飾花のないアジサイ、エゾアジサイでしょうか、それとも北海道には自生しない筈のコアジサイでしょうか。
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北海道のアジサイ属・エゾアジサイ

2010年12月30日 | 日記
アジサイは日本人にとって最もポピュラーな植物の一つだといわれる。多くの園芸種が作られ、アジサイの花を「売り」にする「アジサイ寺」も全国各地にある。



アジサイの冬芽です。
森の中でであったものですから、エゾアジサイと考えますが、色や形はガクアジサイに似ています。裸芽ですから、元々は暖地系の種なのでしょう。



エゾアジサイです。
園芸種のアジサイはガクアジサイが原種とされ、エゾアジサイはヤマアジサイの1変種だとされます。
エゾアジサイはガクアジサイと比べて葉に光沢がなく、毛が多いとされますが、左程大きな差ではありません。



エゾアジサイの花序です。
アジサイ属の花は、中央部の両性花と、これを囲むような形で取り巻く装飾花の、2タイプの花がある。
園芸種のアジサイは、ガクアジサイの両性花の部分を全て装飾花に置き換えるように、品種改良されたものだといいます
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幼木と成木とで異形葉性もあるハリギリ

2010年12月29日 | 日記
「センノキ」という別名の語源ははっきりしないが、「テングノハウチワ」という別名は、成木の葉をみれば納得できる。



ハリギリの葉です。ウコギ科ハリギリ属。
ウコギ科の仲間で、タラノキは2回羽状複葉デ、コシアブラやケヤマウコギなどは掌状複葉であるが、ハリギリは単葉である。
単葉ではあるが切れ込みが深く、複葉の一歩手前というところかもしれない。
写真の左は成木の葉で切れ込みが大きく、右は幼木の葉で切れ込みは浅い。幼木の葉はイタヤカエデに似るが、イタヤカエデには鋸歯がないのに対して、ハリギリの葉には鋸歯がある。



ハリギリの花です。
球形の散形花序に多数の小さな花が付く。
本州の方で玄関脇などによく植えてある同じウコギ科の「ヤツデ」の花に似る。



ハリギリの樹皮です。
縦に裂け目が入る。この樹はまだ若い方で、老木に近づくにつれて裂け目はより深くなっていく。
樹木の刺、メギ科のメギは葉の変化したもの、マメ科のニセアカシアの刺は托葉が変化したもので、規則的に枝につくが、ハリギリやタラノキの場合は、表皮の変化したもので不規則につく。
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土地の肥沃度を判定する指標にもなるというハリギリ

2010年12月28日 | 日記
標準和名はハリギリ、しかし木材関係の人の多くはセンノキ(栓ノ木)と呼ぶ。センノキと呼ぶ由来ははっきりしない。



ハリギリの冬芽です。ウコギ科ハリギリ属。
卵状円錐形で光沢があり、若い枝には鋭い刺がある。
針というか刺があって、材が桐のように加工しやすいことから「ハリギリ」と名付けられたという。



ハリギリの芽吹きです。
ウコギ科の樹木の多くは、特有の香りをもつ。若芽が山菜として多く利用されるのはタラノキやコシアブラだが、ハリギリも山菜になる。タラノキなどより若干「アク」が強いが、「オニタランボ」と呼び利用される。



ハリギリの幼木です。
ハリギリの成木はタラノキなどとは違い、横方向にも枝をだして丸味を帯びた樹形をつくる。
ただし幼木の場合は、ハリギリに限らず高さ競争に勝たねばならないから、横に枝を出すより専ら上に伸びようとする。
ハリギリは肥沃な土地を好むので、北海道では土地の肥沃度を判定する指標樹となっている。
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ウコギ科で若干変わり者のタラノキ

2010年12月27日 | 日記
タラノキ属はウコギ科の中の変わり者で、木本のタラノキも草本のウドも同じタラノキ属です。
バラ科とかマメ科など大きな科には、木本と草本の両方が含まれていて、これは左程珍しくないが、属のレベルで両方を含むものは数少ない。



タラノキの葉柄基部です。
タラノキの変わっているところの一つは、殆ど分枝せず、真っ直ぐに伸びた幹に直接は葉が付く辺りです。
100cmにもなる大きな葉を支える訳ですから、葉柄の基部は幹をがっちり抱え込んでいます。



タラノキの落葉痕です。
大きな葉ががっちり幹を抱え込んでいたその跡です。がっちり抱え込むので、落葉痕はV字からOの字に近い形になっています。
ふちに沿って見える点々は、葉と茎とをつないでいた維菅束の跡です。



タラノキの落ち葉の葉柄基部です。
このような形で葉が茎を抱いていた訳です。葉柄基部の離層部分の、こちら側にも維菅束の跡があります。
タラノキの根などにはサポニン成分が含まれていて、根を煎じたものは「タラ根湯」といい、糖尿病に効くという。
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