井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

春の遅い、室蘭・地球岬

2010年04月30日 | 日記
室蘭・地球岬の遊歩道も、このところの寒さで、期待した春の花は見られませんでした。
昨年の今頃は、オオバキスミレ、キクザキイチゲ、カタクリ、ニリンソウ、などが一面にみられ、トイシノエンレイソウなど割と珍しい花も見られたのですが、今年は散々でした。

そんな中で見つけたのがヒダカエンレイソウ。

北海道に自生するエンレイソウの仲間は、エンレイソウと、オオバナノエンレイソウ、ミヤマエンレイソウ、この3種が基本種とされ、これに、夫々の変種や交雑種を含めると9種類ほどになります。もう少し細かく分けるわけ方もあります。

ヒダカエンレイソウはコジマエンレイソウに良く似ていて、赤褐色の萼に赤味がかった花弁をもちます。ヒダカとコジマは雌しべに対して雄しべが長いか短いかで判定するといいます。

エンレイソウの仲間は、染色体が少なく、大型であるため扱いやすく、北大植物園では、研究用のエンレイソウ園で、2万株ほどのエンレイソウを育てているそうです。


もう一つ、遊歩道脇で、ツチグリを見つけました。
特別珍しいものではありませんが、普通は秋に見られるもので、冬越ししたものは少し珍しいかなと思いました。

ツチグリ科のキノコで、成熟した厚い外皮が星型に裂けてそりかえります。中側のボール上の袋のなかに胞子をもち、押すと煙のように胞子を飛ばします。

ツチグリというと、「ミツバツチグリ」を連想する人がいるかもしれませんが、この場合のツチグリは、バラ科の、キジムシロに近い植物です。
根茎が太く、塊状に肥大するので、土の中の「クリ」で、ツチグリというのだそうです。
このツチグリは5~7小葉の羽状ふくようですから、キジムシロに似ているといっていいかと思います。
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スカンクキャベツは強烈な臭い?

2010年04月29日 | 日記
野幌森林公園には、ミズバショウも咲いていましたが、同じサトイモ科のザゼンソウも咲いていました。


こちらがザゼンソウです。花弁に見えるものは、ミズバショウの白いのも、ザゼンソウのチョコレート色のも、花弁ではなく苞です。
実際の花は、中に見える棒状の部分で小さな花が集まって、肉穂花序と呼ばれます。

その苞と中に見える肉穂花序とで、座禅する僧に見えるというのでザゼンソウの名がある訳ですが、英語では、スカンクキャベツといいます。
いかにも強烈な臭いがしそうで、試してみました。

しかし、苞も肉穂花序も特別きつい臭いはありませんでした。
根での掘り起こせば強烈な臭いがするのか、それとも、日本のものは、イースタン・スカンクキャベツとなっていますから、本場物とは違うのか、そんな事を考えました。

その辺の所の、確かなことは分かりませんが、クサギやヘクソカズラなども、名前から受ける印象ほどの臭いはありません。どうしてでしょうか。

ミズバショウもザゼンソウも、春一番に花を咲かせ、その後葉を展開します。


こちらはヒメザゼンソウです。
こちらは葉の展開の方が先で、葉が枯れる頃ようやく花を咲かせます。
春先、ヒメザゼンソウの葉をよく見かけますが、花を咲かせる頃には、周りの野草たちが繁って、目立たなくなってしまいます。それで、ヒメザゼンソウの花は、見損なってしまうことが多いようです。

花が先か、葉が先か。私などはすごく重要なことに思えるのですが、彼らにとってはどでもいいことなのでしょうか。
ザゼンソウとヒメザゼンソウ、同じサトイモ科でも、結構生き方が違うようです。
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フキ(アキタブキ)は雌雄異株

2010年04月28日 | 日記
仲間と、手稲山の北尾根を歩いてきました。見晴らし台の辺りから、雪は多くなります。
それでも、見晴らし台リフトの南斜面は雪融けが進んでいます。

リフトの所から見た、ネオパラ山です。手稲山の第二峰で、標高838mあります。
右のほうに主峰の手稲山(1023m)があります。

雪融けの進んだ南斜面にはフキノトウが姿を見せていました。

アキタブキの雄花と雌花の見分け方の話になりました。

キク科の中では、雌雄異株は珍しい存在です。
地下茎から花茎と葉とを別に出します。

これが雄花です。星型の花冠をもち、形式的には両性化ですが、雌しべが退化していて不稔であることから、雄花とされます。


こちらが雌花です。中央部に両性化が見られますが、ここからは花粉はでず、周囲にはおしべの 退化した雌花がならびます。雌しべは糸のように見えます。

雄花は花粉を飛ばした後は用なしで、せいぜい20cm程度で枯れてしまいます。
雌花のほうは、受粉後1m近くまで花茎をのばし、綿毛のついた果実を風で飛ばします。

蛇足ですが、我々の食べるフキは、フキの葉柄で、煮るまえにとる筋はフキの維管束だといいます。

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芽出しの時季は忙しい

2010年04月27日 | 日記
芽出しの時季の植物たち、その変化はめまぐるしいほどです。
その一つの例です。

これは何でしょうか?
これが一目で分かる人は、相当すごいです。
シダ植物が、ゼンマイのように、丸まって芽だしをするのを、フィドルヘッドといいます。
フィドルヘッドというのは、ヴァイオリンのチューニングをする頭の部分のことで、芽出しのグルグル巻いた形が一寸似ています。
これは、クジャクシダのフィドルヘッドです。


フィドルヘッドもいつまでもそのままでなく、開き始めました。


更に開いていきます。この辺までくると、クジャクシダの葉が少し見えてきます。

この、クジャクシダの変化、見ているまに変化していく、という程ではありませんが、二日も三日も待ってはくれません。

見たいものは、クジャクシダだけではありません。とにかく、この時季は忙しいです。
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ヒメジョオンとハルジオン、越冬葉

2010年04月26日 | 日記
ヒメジョオンとハルジオン、夏になればどこでも見られる帰化植物。
札幌の私の周辺では、ヒメジョオンの方がおおいようです。

最近、越冬葉や芽出しに興味をもって観察しています。
花が咲いていても区別がつきにくいことの多い野草ですが、私には、強力な助っ人、大変心強い師匠がいるお陰で、大分分かるようになりました。

ヒメジョオンは2年草、ハルジオンは多年草、そう書いてある図鑑もありますが、場所や条件次第で、1年草から多年草まで、自在な生き方をしているようです。


これがヒメジョオン、芽出しというより、越冬用というべきでしょう。
ハルジオンと比べて、鋸歯が大きく、少し丸っこい葉をしています。


こちらがハルジオン。
鋸歯が小さく、少し細長い葉をしています。それに、毛も少し目立ちます。

花の時期だけでなく、様々なシチュエーションでの植物を観察する、そこに新たな面白さをみつけました。
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