井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

ヤマブドウとノブドウの違い

2012年11月30日 | 日記


ノブドウの花。
ヤマブドウの花弁は先が合着していて、合着したまま花時に離脱するが、ノブドウの花弁は離生し花時に展開する。
花弁と雄しべが散った後、雌しべと花盤が残り雌しべが活性化する点はヤブガラシと同じ。ヤブガラシが4数性の花であるのに対して、ノブドウの花は5数性である。



ノブドウの果実。
果実は液果。帯白色から淡紫色を経て空色に熟す。
果実には点点と気孔があるのも特徴のひとつ。



ノブドウの虫こぶ。
ノブドウの果実の多くは、ノブドウミタマバエなどの幼虫による虫こぶができる。虫こぶ名は「ノブドウミフクレフシ」という。
虫こぶが多くてまともな果実は少ないと言われるが、勿論まともな果実もあって種子散布も行われる。
「食べられない」とする本もあるが、虫こぶにやられているのが多いのと、食べても美味しくないということで、有毒ということではない。
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ノブドウは草か木か

2012年11月29日 | 日記


ノブドウの芽吹き。ブドウ科ノブドウ属。
「つる性多年草」とする図鑑もあり、「つる性木本」とする図鑑もある。要するに草のような木、木のような草ということで、「半ば木性のつる植物」とする図鑑もある。これが正解に一番近いということかも。
ヤマブドウの芽吹きにはクモ毛が密生するが、ノブドウの芽吹きは基本的に無毛である。



ノブドウの巻きひげ。
ブドウ属のヤマブドウの場合、巻きひげは「2節で1節休む」を繰り返すが、ノブドウの巻きひげは各節から出る。
ヤマブドウの小枝には皮目がなく、縦の筋があって後にはがれる。ノブドウの枝には皮目があって、樹皮がはがれることはない。



ノブドウの葉(裏面)。
左:ヤマブドウ、右:ノブドウ。
ヤマブドウの葉裏にはクモ毛が密生して白っぽくなるが、ノブドウの葉裏は無毛で緑色である。
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天然の繭がみられるヤマグワ

2012年11月28日 | 日記


ヤマグワの葉を食べるクワコ。
養蚕用に飼育されるカイコは家畜化して成虫になっても飛べないし、口も退化している。
クワコは野生種で、勿論飛ぶことが出来る。



クワコのつくるマユ。
クワコはヤマグワの葉を食べて繭をつくる。
野生のウスタビガやヤママユで繭をとり、糸をとることもあり、カイコによるのを「家蚕(やさん)」と呼ぶのに対して、「野蚕(やさん)」という。野生種で行う養蚕の意味である。



クワコの擬態。
家畜化したカイコの場合、人間の世話で飛ぶ必要もなく、天敵を避ける必要もない。
野生のクワコは、カイコと違って、飛ぶことが出来るし、天敵を避ける必要があって、小枝に擬態して天敵の披食を避ける。
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雌雄異株で多花果のヤマグワ

2012年11月27日 | 日記


ヤマグワの雄花。
ヤマグワは雌雄異株。花序は新枝の葉腋につき、開葉と同時に開花する。
4個の雄しべが目立つ。



ヤマグワの雌花。
雌花序も雄花序同様、新枝の葉腋につく。花柱が長く、柱頭は2列する。
養蚕用に栽培される「マグワ」の花柱は左程長くなく、その点で見分けられる。



ヤマグワの果実。
多数の花が花序につき、その果実がかたまって一つに見えるのを「多花果」といい、「くわ果」とも言われる。果実は緑色から赤を経て黒く熟す。長い花柱が残存するのが特徴の一つ、食べられる。
白や茶色の果序は結実不良で「粃(しいな)」である。
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異形葉性の強いヤマグワ

2012年11月26日 | 日記


ヤマグワの異形葉。
一つの個体に形や大きさの異なる普通葉が生じるのを「異形葉性(いけいようせい)」という。
ヤマグワの葉には、写真のように全く切れ込みのない葉から、極端に切れ込みの深い葉まで様々であり、異形葉性が目立つ。
その異形葉性は大変不思議で、規則性とか原因などを科学的に解明しようとする研究の話もあるが、恐らく徒労に終わると見られている。



ヤマグワの樹皮。
ヤマグワの樹皮には横長の皮目があり、これをつなぐ縦の筋が生じる。縦の筋はやがて縦の溝になっていく。ヤマグワの樹皮は黄色の染料に、また、根茎は漢方薬の「「桑白皮(そうはくび)」で利尿・咳止めに効くという。



ヤマグワの病害虫。
ヤマグワの葉に「桑キジラミ」の幼虫が群生し、白いロウ物質を糸状に分泌する。
成虫で越冬し、新葉展開後に産卵する。幼虫は葉裏で樹液を吸う。
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