井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

北海道の樹木ウォッチング・クサギ4

2022年11月30日 | 日記

クサギの蕾。クマツヅラ科クサギ属。
クサギは枝先に集散花序をつける。その枝別れの仕方は「3分枝」を繰り返す。学名(種小名)の「3分枝」の様子が良く見える。
ピンクを帯びた五角錐の部分は萼で、その先端が僅かに開き花筒が伸び出してくる。
クサギ、雄性期の花。
クサギの雄性期の花。赤い花筒の先に白い花弁5枚が開く。葉は青臭くて「臭木(くさぎ)」の名を」もつが花には芳香がある。
雄しべ4個はピンとして立ち上がり花粉を出す。雌しべは垂れ下がりまだ機能しない。雄花の働きをする「雄性期の花」である。雄しべと雌しべが熟す時期、機能する時期をずらして「自家受粉」を回避する。これを「雌雄異熟(しゆういじゅく)」という。
クサギ、雌性期の花。
花粉を出し終えた雄しべはお役御免で垂れ下がり、代わりに雌しべが立ちあがって他の花からの花粉を待つ。
雌花の働きをする「雌性期の花」である。
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北海道の樹木ウォッチング・クサギ3

2022年11月29日 | 日記

クサギ、小枝の葉。クマツヅラ科クサギ属。
クサギの葉は対生するが、相対する葉の葉柄など長さ、大きさが異なる。長いもの(大きいもの)と短いもの(小さいもの)とが向き合ってつく。
同一個体の形や大きさの異なる普通葉が生じるのを「異形葉性」という。クサギのように対生葉序に異形葉性が見られる場合には特に「不等葉性」という。
クサギの枝と葉柄。
クサギの枝、葉柄には毛が多い。クサギの小枝は対生にでて「3叉枝」をつくる。
学名(種小名)の「トリコトマム(trichotomum)」は「三分枝」の意味で、枝分かれの特徴を表わす。
ジンチョウゲ科の「ミツマタ」も三分枝の特徴をもち、こちらは標準和名に「三つ叉」が使われている。
クサギの木と蝶。
カラスアゲハがクサギ花で吸蜜している。カラスアゲハの食樹・食草はキハダなどミカン科の樹であるが、吸蜜の場合は食樹・食草のように限定的にはならないらしい。

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北海道の樹木ウォッチング・クサギ2

2022年11月28日 | 日記

クサギの樹皮。クマツヅラ科クサギ属。
クサギの樹皮、灰色~暗灰色で全体として平滑系であるが、成長するにつれ縦に浅い筋が入る。
クマツヅラ科は草本から木本にまたがる南方系の種。札幌周辺では個体数も少ないが、草本の代表としてカリガネソウがあり、木本の代表はクサギと言える。
クサギの芽吹き。
クサギの芽吹きは下から上へ進むように見える。
「落葉広葉樹図譜」には「春に発達するのは2~3番目の側芽である」としている。その理由などははっきりしない。
クサギの葉。
クサギの葉、葉身は三角状ハート形~広卵形で、不明瞭な鋸歯がつくこともあるが殆ど全縁。
葉柄は割と長い、対生する。
葉を揉むと青臭い匂いがする。そこから「臭木(くさぎ)」と名付けられる。
「臭い」と言われる葉ながら、春には山菜として食べられる(臭みは茹でると消える)。
昔は代表的な「救荒植物」(飢饉のときの人の命を救う)であったという。
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北海道の樹木ウォッチング・クサギ1

2022年11月27日 | 日記

クサギの樹形。クマツヅラ科クサギ属。
日当たりの良い林縁などを好む養樹、樹高2~3mから大きいものだと8mほどになる落葉低木~小高木。
クマツヅラ科は熱帯~亜熱帯地方に多く、一部が耐寒性を獲得して北海道に進出している。クサギほその代表とも言える。
クサギの頂芽。
クサギは北海道に進出した南方系の種で、冬芽はまだ芽鱗をもたない裸芽。
頂芽は円錐形で紫褐色の軟毛に覆われている。
クサギの側芽。
側芽は半球形~卵形。葉痕は楕円形~ハート形で維管束痕は5~9個がU字状に並ぶ。
冬芽と葉痕の組み合わせが面白い形をつくり、冬芽を見分ける良いポイントとなる。クサギの場合は「熊の足の裏」とか「絵具の皿」などと言われる。
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北海道の樹木ウォッチング・シンジュ7

2022年11月26日 | 日記

シンジュとヤチダモの翼果。ニガキ科ニワウルシ属。
左:ヤチダモ  右:シンジュ
ヤチダモとシンジュの翼果、狭長楕円形で良く似るが、ヤチダモの翼果では種子が端部につくのに対して、シンジュの翼果では種子が中央につく。マツ科やカエデ科など翼果の多くは種子が端部につき、種子を中心にして翼が回転する(ヤチダモも)。種子が中央につくシンジュの翼果は長さ方向の軸を中心にして回転する。回転しながらラセンを描きながら落下する。回転の仕方がマツ型とは大きく異なる。
シンジュの実生。
シンジュの翼果の落ち方では余り遠くまでは運ばれない。母樹から余り遠くないところで実生をつくるが繁殖力は強い。
シンジュの落ち葉。
落葉広葉樹は落葉する前、葉柄基部に離層をつくる。複葉の場合は葉柄基部だけではなく、小葉基部にも離層をつくる。小葉をつけたまま葉全体が落葉することもあるが、多くは小葉を先に落とし、葉軸は遅れて落ちる。

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