井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

北海道の花・スズラン1

2018年11月30日 | 日記


スズランの群落。ユリ科スズラン属。
スズランは「札幌市の花」に指定されていて「北海道の花」の印象があるが、本州~九州にも分布するという。
昔の北海道には「スズラン狩り」の出来る所がいろいろあったが、次第に個体数が減り、「スズラン狩り」から「スズラン観賞」に変わってきている。
札幌市内では殆ど見られなくなっていて、自生地は手稲区のごく一部になっている。



スズランの花序。
葉は根生葉が2枚、花茎はその間から立ち上がり、その先に総状花序をつける。
在来種のスズランは花序の位置が低く、葉の下になり易く、目立たないことが多い。園芸種として導入された近縁種のドイツスズランは対照的に花序が
葉の上に伸び出し見栄えがすると言われる。
札幌周辺ではドイツスズランが増える一方、在来種にスズランが極端に少なくなっている。



スズランの花。
花は広鐘形で花被の先は浅く6裂する。ドイツスズランと比べて若干縦長になるとする話もあるが、それぞれに個体差がありその辺の形での見分けは難しい。
確実に見分けられるのは雄しべの花糸の基部、ドイツスズランの場合赤く色づくのに対し、スズランでは色づかない。
..全体に有毒だが、特に根や花に毒成分が多く、花を活けた水を飲んで酷い中毒症状を起こした例がある。
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北海道の花・クルマバツクバネソウ2

2018年11月29日 | 日記


クルマバツクバネソウの果実。ユリ科ツクバネソウ属。
果実は球形の液果で黒っぽく熟す。
緑色で披針形の萼片4個は残り、その姿はツクバネソウより羽根つきの羽根に似ている。暗赤色に残っているのは花糸。 



輪生する葉が4枚のクルマバツクバネソウ。
クルマバツクバネソウの葉は6~8枚輪生するのが普通だが、時に4~5枚しかつかない個体も見つかる。ツクバネソウと同じ4枚でも、個々の葉はツクバネソウより狭い。
4枚の葉の場合、見分けるポイントは花のつくりになる。



4枚の葉の芽出し。
芽だしで輪生する葉が4枚なら普通はツクバネソウだが、ツクバネソウの場合は個々の葉が幅広で楕円形になる。このように狭く披針形になる芽者しはクルマバツクバネソウと見てよい。
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北海道の花・クルマバツクバネソウ1

2018年11月28日 | 日記


クルマバツクバネソウの群落。ユリ科ツクバネソウ属。
低地~低山の林下に生える。
ツクバネソウは4枚の葉が輪生するが、クルマバツクバネソウでは6~8枚の葉が輪生する。



クルマバツクバネソウの芽出し。
7~8枚の葉が輪生するものはクルマバツクバネソウと見てよい。
4枚ならば普通はツクバネソウだが、クルマバツクバネソウの可能性もゼロではない。



クルマバツクバネソウの花。
緑色・披針形の4枚は萼片(外花被片)、花弁(内花被片)4個は線状で垂れて目立たない。
子房は黒色で花柱は4本、この雌しべを8個の雄しべが囲む。雄しべの葯(半葯)をつなぐ葯隔は半隔の先に長く突き出る。(ツクバネソウとの相違点)
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北海道の花・ツクバネソウ

2018年11月27日 | 日記


ツクバネソウの芽出し。ユリ科ツクバネソウ属。
ユリ科の多くは葉が互生につくが、ツクバネソウは輪生する。
エンレイソウ属の葉も輪生するが、エンレイソウ属の葉は輪生する葉は3枚。ツクバネソウ属では、4枚ないし6~8枚が輪生する。葉に柄はなく、3脈が目立つ。
4枚輪生の芽出しは先ずツクバネソウと見てよい。



ツクバネソウの花。
緑色で披針形の4枚は外花被片(萼片)、内花被(花弁)はない。
中央に雌しべ(緑色の子房に淡褐色の花柱が4本)がつき、その周囲を8個の雄しべが囲む。
雄しべの2個の葯(半葯)をつなぐ葯隔は葯の上に突き出ない。



ツクバネソウの果実。
ツクバネソウの果実は球形の液果で黒く熟す。
4枚の外花被片が残り、暗赤色に残っているのは花糸。その姿が羽根つきの羽根に似るところから「ツクバネソウ(衝羽根草)」の名がつく。
ちなみに、大河ドラマ「真田丸」のタイトル映像でクルクル廻りながら落ちたのは「ツクバネ(ビャクダン科ツクバネ属)」の実で、堅果に4個の苞がつき、枝からクルクル廻りながら落ちる。北海道には分布しない。
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北海道の花・タチギボウシ2

2018年11月26日 | 日記


タチギボウシの蕾。ユリ科ギボウシ属。
花茎の先端に苞と花とをまとめて蕾をつくる。
この形が欄干の柱の頭につける装飾(ぎぼうしゅ:擬宝珠)に似ていると言うのでこの仲間はギボウシと呼ばれる。



タチギボウシの花。
花の形など、オオバギボウシによく似る。タチギボウシの花は淡紫色で、花被の内側に濃紫色の脈がつく。



タチギボウシの果実、
果実は蒴果、熟すと裂開して扁平で楕円形の種子をこぼす。
種子には片側に翼がつき、風散布になる。
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