イシミカワの花序。タデ科イヌタデ属。
花序は総状花序で頂生または腋生する。花序の基部には大型の丸い苞葉がつき目立つ。
淡緑色の花が10~20個つく。
花被(萼)は5中裂、全開せず花として目立たない。1年草であり、風媒花とも思えぬがこれで本当に果実(たね)を作れるのか心配になる。花後に閉じて外見的には蕾状態に戻る。
イシミカワの刺。
イヌタデ属の茎に下向きの刺をもつグループの中でも、イシミカワの刺は最強クラス。
この仲間は、その刺の存在で酷い名前をつけられる事が多い。
イシミカワの場合は標準和名ではなく別名の「カエルノツラカキ」。
「蛙の面に小便」と言う言葉があり、「多少のことでは全く動じない」と言う意味。そんな蛙の面でも、この鋭い刺でひっ掻いたら流石に堪えるだろう、ということで「蛙の面掻き」の別名で呼ばれたという。
イシミカワの果実。
開花の時に僅かに開いた花被(萼)は花後にまた閉じ、膨らんで肉質になって種子を包む。宿存萼の色は淡緑色からピンクを経て青藍色に変化していく。その果実の方が花より目立つ。
宿存萼の中で痩果が黒く熟す。特別種子散布の仕掛けはなく「非散布型」に見える。
1年草は種子で命をつないでいく事でより適した生育地を求める生き方が普通。多くは風散布や付着散布で新しい生育地を求めるパイオニア植物となる。
イシミカワなどイヌタデ属の1年草は全く逆、気に入った生育地を離れたくないように見える。本当は1年草ではなく多年草の生き方が適していて、「非散布型」の果実を選択したのものそのためと考えられる。