井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

北海道の花・イヌタデとハナタデ

2020年05月31日 | 日記


イヌタデとハナタデの群落。タデ科イヌタデ属。
左:イヌタデ 右:ハナタデ
イヌタデは街中の道端や空き地など、所謂撹乱地にも多く生育するが自然豊かな山道にも進出する。
ハナタデは自然豊かな山道に生育し、街中の撹乱地には生育しない。自然豊かな山道には両者が並んで群落をつくり、両者の比較が直接できる。



イヌタデとハナタデの葉。
左:イヌタデ 右:ハナタデ
イヌタデの葉は全体的にハナタデより細く、先に向かってだんだん細くなる。ハナタデは中央部分が幅広で先に向かって急に細くなる。



イヌタデとハナタデの花序。
左:イヌタデ 右:ハナタデ
イヌタデの花序にはピンク色の花を密につける。ハナタデの花序は白っぽい花をややまばらにつける。
個々の花はハナタデの方が小さい。
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北海道の花・ハナタデ

2020年05月29日 | 日記


ハナタデの群落。タデ科イヌタデ属。 
山野の林縁~林縁のやや湿ったところに生える1年草。イヌタデの一番の近縁種でよく似ているということで、観察会などで両者の見分け方が話題になることも多い。
イヌタデと比べて藪地に多いということで「ヤブタデ」の別名がある。



ハナタデの葉。
茎は下部で地を這い、上部で立ち上がる。葉は長卵形、中央部が広く先に向かって急に細くなる。
両面にまばらな毛がつき、中央部に黒い斑紋がつくことが多い。



ハナタデの花序。
ハナタデも総状花序をつけるが、イヌタデが密に花をつけるのに対して、ハナタデはまばらに花をつけ、見分けられる。
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北海道の花・イヌタデ2

2020年05月28日 | 日記


イヌタデの花序。タデ科イヌタデ属。
イヌタデ属の茎に下向きの刺をもたないグループ。刺なしグループは、ひも状~円柱状の総状花序のグループと頭状花序のグループに分けられ、イヌタデは前者。
イヌタデは「円柱状」の花序に多数の花を密につける。花は萼が花弁状になり花弁はない。
昔はこの花を「赤まんま」と呼び、ままごと遊びの赤飯にした。



イヌタデの花。
花被(萼)は長さ1.5~2mmで5裂する。多数ある花は一斉に開花せず、花後も花被(萼)が残って幼果実を包み、蕾と同じに見える。(宿存萼という)。



イヌタデの果実。
イヌタデは夏型の1年草、種子で命をつないでいく。
イヌタデの果実は痩果、3稜形で断面は正三角形に近くなる。イヌタデの雌しべは3数性(柱頭は3裂、子房は3室)で、これが果実の形につながっている。
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北海道の花・イヌタデ1

2020年05月27日 | 日記


イヌタデの群落。タデ科イヌタデ属。
道端や空き地、耕地などどこにでもごく普通に生える1年草。窒素分の多いところを好むので「窒素指標植物」と呼ばれることがある。同じイヌタデ属のヤナギタデ(マタデ)の葉には辛味があって刺身のつまに使われるが、イヌタデの葉には辛味がなく、役に立たないということで「犬タデ」と名付けられた。
基準種(ヤナギタデ)と犬タデが同じ仲間(属)でありながら、「犬タデ」の方が属名に選ばれている



イヌタデの茎と葉。
茎はよく分枝し、下部は地を這い上部は直立する。
葉は互生し、広被針形とも長楕円形とも言われ、先は尖る。



イヌタデの托葉鞘。
托葉鞘は長さ7~8mmの筒形で、縁に長い毛がつく(縁毛)。
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北海道の花・イシミカワ2

2020年05月26日 | 日記


イシミカワの花序。タデ科イヌタデ属。
花序は総状花序で頂生または腋生する。花序の基部には大型の丸い苞葉がつき目立つ。
淡緑色の花が10~20個つく。
花被(萼)は5中裂、全開せず花として目立たない。1年草であり、風媒花とも思えぬがこれで本当に果実(たね)を作れるのか心配になる。花後に閉じて外見的には蕾状態に戻る。



イシミカワの刺。
イヌタデ属の茎に下向きの刺をもつグループの中でも、イシミカワの刺は最強クラス。
この仲間は、その刺の存在で酷い名前をつけられる事が多い。
イシミカワの場合は標準和名ではなく別名の「カエルノツラカキ」。
「蛙の面に小便」と言う言葉があり、「多少のことでは全く動じない」と言う意味。そんな蛙の面でも、この鋭い刺でひっ掻いたら流石に堪えるだろう、ということで「蛙の面掻き」の別名で呼ばれたという。



イシミカワの果実。
開花の時に僅かに開いた花被(萼)は花後にまた閉じ、膨らんで肉質になって種子を包む。宿存萼の色は淡緑色からピンクを経て青藍色に変化していく。その果実の方が花より目立つ。
宿存萼の中で痩果が黒く熟す。特別種子散布の仕掛けはなく「非散布型」に見える。
1年草は種子で命をつないでいく事でより適した生育地を求める生き方が普通。多くは風散布や付着散布で新しい生育地を求めるパイオニア植物となる。
イシミカワなどイヌタデ属の1年草は全く逆、気に入った生育地を離れたくないように見える。本当は1年草ではなく多年草の生き方が適していて、「非散布型」の果実を選択したのものそのためと考えられる。
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