2015年に2万人を対象にした
「リーディングスキルテスト」では、
説明的文章の読解力が、進学した高校の偏差値と
強い正の相関を示しました。
リーディングスキルテストの問題は、
中学の教科書の内容からも数多く、出題されました。
「義経は平氏を追いつめ、ついに壇之浦でほろぼした。」
「平氏は義経に追いつめられ、ついに壇之浦で滅ぼされた。」
同じ意味の文章ですが、中学生の40%以上が同じではない、
と間違えました。
①「教科書を正しく読めない」
②授業を聞いても理解できないので面白くない
③成績が悪い
④偏差値の高い高校に進学できない
このような構図となります。
しかし、高校生になると、
上の問題の正答率が70%を超えます。
これは、中学校3年間の、教科書に記載されている
「説明的文章」を読んでいるうちに、
「慣れ」を生じたもの、と考えられます。
中学の教科書を、誤読なく正しく読める
これは、小学生のうちに必ず身に着ける必要があります。
そのために、小学校のうちから、
教科書を十分に活用する習慣をつけましょう。
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小学生の学力は「教科書」中心学習で
グングン伸びる!(すばる舎)
から、教科書の活用法をみてみましょう。
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音読する。
教科書を何回も音読することは重要です。
1回音読すると、テストの点数が3点上がる!
といっても間違いではありません。
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写す。
教科書を薄くコピーしたものを用意します。
2B以上の太い鉛筆で行います。
そのうえから、なぞり書き、をしてみましょう。
国語の教科書の場合、
「書く」ことで、記憶に残りやすくなりますし、
ひとつひとつの言葉が、頭に刻まれていきます。
また、「っ」、「きゅ」、「。」、「、」
カギ括弧など、細かい言い回しも身に着きます。
なぞり書きに慣れてきたら、
次は目でみて、別のノートに写す、「視写」を行います。
低学年の場合、大人のように、ざっと文章を読み、
書き写すことはできませんが、だんだん慣れて決ます。
段落が変わるときは一字下げる。
文の終わりには「。」をつける。
文章の基本ルールも間に着きます。
算数の図形、理科・社会の図やグラフも「写す」対象に
していきます。
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穴埋めクイズを作る。
教科書のコピーし、
覚えたい漢字やキーワードを修正テープで消します。
その状態では、修正テープの上に答えを書きにくいので、
もう一度、コピーします。
上記の「音読」や「写す」を十分に行ったあとにやってください。
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〇×クイズを作る。
教科書の説明を良く読めば、正解できる問題を作ります。
・半月から5日くらいたつと、夕方、東の空に
満月が見えるようになる。( )
・元寇の結果、武士は褒美を受け取り、
幕府と武士の結束は強くなった。( )
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写真や図の並べ替えクイズ。
理科の、植物や昆虫の成長過程、天気図の変化、実験手順、
社会の、農作物の生産過程、工業製品の工程、
図や写真があります。
これをカラーコピーして、
1プロセスごとに切り分け、正しい順序に並べ替えます。
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文章の並べ替え
国語の教科書の文章をコピーして、
段落ごとに切り分け、正しい順序に並べ替えをします。
慣れるまでは、何回も音読した文章で行いますが、
慣れてきたら、初見の文章でチャレンジします。
文章の細部まで真剣にじっくり読まないと、
正解できません。
よねは「スマイルゼミ」を推薦しましたが、
タブレッット教材を利用できない場合の、
紙教材の紹介です。
「教科書ぴったりドリル」「教科書ワーク」といった
教科書準拠ドリルと併用してほしいのが、
「小河式3・3モジュール」(文芸春秋社)
「3・3」システムとは、
3日間、同じ内容の学習を行えば、定着しやすくなる、
という小河先生の経験から導かれた方法です。
1日15分の学習を前提として、
①計算練習
②昨日と1昨日の復習
③その日に習うこと
②+③をやると、ひとつの事項を3日間続けて
学習することになります。
小学4年で3冊、小学5年で3冊、小学6年で3冊。
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世の中にあふれている教材は、
中学受験を前提としたものばかりです。
なので、このシリーズはマイナーなです。
この本が真価を発揮するのは、
「できる子」よりも「できない子」です。
小学4年から算数は、落ちこぼれていく子が増えてきます。
「小河式3・3」モジュールは、
1冊30数日でおわりますので、小4~小6まで
やったとしても10か月ぐらいで終わります。
小学4年、5年、6年の子は
落ち着いて、このシリーズをやれば、
どこかの時点で追いつくことができます。
もし、小学の間に追いつけなくても、
中1の後半の単元は、「小河式3・3モジュール」で
扱ったことが多数でてきますから、
そこで追いつくことができます。
小学生には、「教科書準拠」が基本だと思います。
その中でも「スマイルゼミ」がお薦めです。
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「スマイルゼミ」の評判のうちマイナスのものとして、
「すぐ終わってしまい、しばらく経つと、
スマイルゼミに飽きてしない、学習そのものをしなくなる」
というものがあります。
そこで、スマイルゼミの次にやるべき教材を
リストアップしました。
全部は無理でしょうし、
この中のどれを行うか、は、子どもとよく相談して決めてください。
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「なぞぺー」シリーズ(草思社)
迷路なぞぺーの説明
(引用開始)
さまざまな設定・ルールの迷路が、子どもたちの論理力や
空間認識力を伸ばす!
大人気学習塾・花まる学習会が作った、
「考える意欲」「思考の基礎力」を育てる迷路問題集です。
学習に必要な6 つの基本力=
「視る力・論理力・忍耐力・集中力・試行錯誤力・短期記憶容量」を養います。
(引用終了)
「なぞぺー」シリーズは、主に低学年向けの教材ですが、
最近では「鉄腕なぞぺー」といった高学年向けのものもでてきました。
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「マンガでわかる!10才までに」シリーズ(永岡書店)
「言葉1000」「算数脳パズル」「算数脳迷路」
「47都道府県」などのシリーズが出版されています。
マンガですから、しきいが低いのが長所です。
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「日本史探偵コナン」(小学館)
歴史マンガは「ビリギャル」で有名になりましたが、
最近の小学生に人気なのが、コナンを使ったシリーズです。
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「NHK教育番組」
NHK教育は、どの家庭でも受信できますから、
レコダーに録画しておくのも考えておいてください。
理科・社会に関しては、小学生であっても
「10min. ボックス」なら理解できると思います。
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国語と英語に関しては、別エントリーで。
「スマイルゼミ」は、過去の学年へさかのぼりができません。
「スマイルゼミ」にも、「漢字ドリル」「計算ドリル」といった
過去の学年に部分的にさかのぼれる機能はあります。
しかし、よりフィットする教材が欲しい人のために
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【算数】
「つまづきをなくす」シリーズ(実務教育出版)
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「つまづきをなくす 小2算数 計算」
(引用開始)
「くり上がり」と「くり下がり」の間違いをなくすためには、
いくつかのポイントがあります。
「筆算を見やすく書く」「くり上がりの1を書く位置」
「ななめ線の活用」「くり下がりの1を書く位置」までさかのぼると、
計算ミスはほぼなくすことができます。
本書は、大量のくり返し学習を行なう一般的なドリルではありません。
他の問題集に比べて、少ない問題数で構成されています。
それは、子ども達がつまずきやすく、ミスを犯しやすい事柄だけ
に絞り込んでいるからです。
お母さんの顔色をうかがいながら、義務的になかばうんざりしながら
エンピツを動かすのではなく、説明のページにゆっくり目を通し、
そして自分の手で空欄を埋めていくことで「ミスをしない頭の使い方」と
「ミスをしない書き方」が自然と身につきます!
(引用終了)
「つまづきをなくす 小2算数 文章題」
(引用開始)
1 具体的な「もの」をイメージしやすいように、
たくさんのイラストを掲載。
2 暗算で答えが出るような問題にも式の欄を設けています。
式を書くことで、考えた過程を子ども自身が振り返ることが
大切だからです。
3 長い文章の文章題を豊富に掲載。
長文から、答えに必要な事柄や数字を
見つけだす練習で実力がつきます。
(引用終了)
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【語彙】
「マンガでわかる!10才までに覚えたい言葉1000」(永岡書店)
語彙力は、漢字を覚えることと、同じか、それ以上に大切です。
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【漢字】
「漢字が好きになるドリル」シリーズ(大和出版)
漢字が苦手な子の場合、「書いて覚える」方法に苦手意識があるはずです。
努力の割に効果が得られない場合、方法を疑うべきです。
著者の坂本先生は「見るだけ復習法」を編み出しました。
坂本先生のお子様も「書いて覚える」方法がうまくいかず、
お子様のために作ったのが、このドリルです。
現在、小1~小4まで出版されています。
この教材で苦手意識をなくしてから、
「スマイルゼミ」の漢字ドリルを行うのが良いでしょう。
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【番外編】
「すらら塾」
「すらら」とは、学習障害児や不登校児のために、
開発された無学年式のネット教材です。
「進研ゼミ(チャレンジパット)」や「スマイルゼミ」と比べ、
確かに高価ではあります。
しかし
・全然勉強してくれない
・気分のムラで、勉強してくれたり、しなかったり
・どこでつまづいたのかわからない
・同じ学年の子どもと比べ、取り残された
・どう教えたら良いのか、わからない
これらの症状が重なった場合、「すらら」に頼るしかない気がします。
最近、「すらら」のシステムを使った個人塾=「すらら塾」が
でてきました。教室のパソコンで「すらら」を行うわけです。
この例は中学生の落ちこぼれの場合ですが、
落ちこぼれる前の小学生の段階からやれば、効果は高いです。
「すらら塾」の場合でも、「くもん塾」と同じくらいの値段です。
この10年ぐらいの最大の進歩は、
「タブレット学習」など、電子教材の進歩です。
親が、子どもにあったドリルを買ってきて、
さらに〇つけをするのは、手間がかかるものです。
「スマイルゼミ」や「チャレンジパット」の場合、
教材が〇つけも行ってくれ、
間違えた問題を繰り返し出題してくれます。
教科書に準拠した教材が配信されるので、
学校のテストで高得点をとれるようになります。
たしかに、4000円くらい/月、の料金がかかります。
しかし、塾に通わせるよりは、ずっと安価ですし、
塾のない田舎でも対応可能です。
(北海道の場合、中学生になってから、「練成会」や「増進会」に
通わせ、25000円/月取られる。
「スマイルゼミ」小学コース→中学コースの方が、ずっと安価。)
スマイルゼミは、Andoroid端末になっていますから、
You tube動画も閲覧可能です。
ネットにつながるということは、長時間の閲覧や、
怪しからんサイトを閲覧してしまうことが心配です。
スマイルゼミの場合、Yahooキッズ機能で、閲覧制限ができます。
また、学習時間にあわせての閲覧時間制限もできます。
子どもによっては、You tube見たさに、勉強する子もいるぐらいです。
現在のご時世、いつかはネットの世界をみてしまうわけですから、
親の管制のもとにはじめるのが良いのではないでしょうか。
また、スマイルゼミが入ることで、他のメディアの時間を奪う、
ことを利点にあげている人もいました。
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通信教育の老舗、進研ゼミとの比較です。
進研ゼミは、長年の実績がありますし、
近年ではタブレット型端末「チャレンジゼミ」が併用できます。
進研ゼミの最大の問題点は、紙教材+タブレットを
きちんと子どもが学習しているか、管理しきれない点にあります。
「スマイルゼミ」の場合、教材はタブレット1個だけですし、
スマートホンから「みまもり機能」で、子どもの学習状況を
チェックできます。
逆に、進研ゼミの教材を、子どもがしっかり学習しているか、
管理できる場合、小中高進研ゼミ、が中高一貫校に匹敵する効果が
あることを付け加えておきます。
子どもが一日のうち、一番長く学習するのは、学校の授業です。
高校入試も大学入試も、基本的には、学習指導要領に沿って
問題作られるわけですから、「教科書」が学習の中心になるべきです。
知識が身に着いたかどうか、ドリルで確かめる必要があります。
そこで、「教科書準拠」の教材の出番です。
小学生なら、「教科書ワーク」「教科書ぴったりドリル」など。
学校で行われるテストも、基本的には、教科書に沿って出題されますので、
「教科書準拠」の問題集を行っておけば、高得点がとれるはずです。
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算数は、過去の学年に習った知識のうえに
次の知識を学ぶ「積み重ね」型の教科です。
現在のテストの成績が思わしくないのであれば、
過去の学年の知識に「穴」がないのか、確認する必要があります。
そこで、過去の学年の「教科書準拠ドリル」の出番です。
「教科書準拠ドリル」で、どの部分の「穴」か、を確認し、
その穴を市販の教材をたくさん解くことで埋めていきます。
くもん「にがてたいじ」シリーズは、
確認した「穴」を埋めるのに良い教材です。
くもんらしく、簡単なレベルから徐々にレベルが上がっていきます。
もちろん、他の会社のドリルも優秀ですので、
子どもにあわせたものを選んでください。
こうした「穴」を埋める際の注意点は、
急いで詰込み過ぎないことです。
子どもにとっては、苦手意識がある部分ですから、
無理に詰め込むと、「苦手」を通り越し「勉強嫌い」になります。
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「できる子」にとっても、「まず教科書レベル」が
将来的に大事なことになります。
高校生になって、数学の「青チャート」で自爆する生徒が多数います。
「青チャート」は、「検定教科書」ができるようになってから、
取り組まないと、知識が定着しません。
「まずは教科書レベル」を意識に叩き込んでください。