よねの備忘録

お勉強問題が中心。
政治を語るときは、ネトウヨです。

数学。 「図形」の学習が最大のポイント。

2007-03-31 20:28:19 | その他

2002年の学習指導要領の改定により
「2次方程式の解の公式」と「不等式」が高校の内容となったので、
高校受験において「図形」の占める割合が50%に上がりました。

ところが、「図形」の学習順番に問題があるようなのです。

受験評論家 和田秀樹氏の著書より。

(引用開始)

中学の教科書をチェックしてみたのだが、
もっとも驚かされたのが数学の教科書だった。
内容がスカスカなのはわかっていたが、
教える順番も生徒が理解しづらいように編集されているとしか
思えない中身なのである。

それまで中3で教えていた「円の性質」を中1と中2で分割して教え
中2で教えていた三角形の相似や三平方の定理は中3で
教えるようになっている。

(引用終了)

「未来を切り開く学力シリーズ」(文芸春秋社)より

(引用開始)

それまで中学2年で学んでいた「相似な図形」や「平行線の比」を
中学3年で学ぶことになりました。
ここに大きな落し穴があるのです。

中学で学ぶ図形の基本は「相似」です。これをある程度早い時期に
身に着けていないと、その先で学ぶ事柄への対応力を
養うことができません。
以前は、中学2年で「合同な図形」を学び、「証明」のやり方を
学んだ後、続けて「相似」を学習していました。
「相似」を学ぶことによって、「合同」というのは「1対1の相似」で
あることが理解でき、相似な図形という、大枠ができます。
その枠組みを前提として、中学3年で「三平方の定理」や
「円の性質」を学び、相似と組み合わせていろいろな問題に
対応できるようにしていたのです。
(中略)
円はさまざまな図形的要素をふくんでいます。
円を学ぶ前に、さまざまな図形的性質を学んでおく必要があるのです。
「相似」-「円周角」-「円がつくる相似」という順序で学ぶのが
一番効率的です。

(引用終了)

さて、中学校の「数学」の学習順番をみてみましょう。
「チャート式数学」の目次をみましょう。

中学1年
(1)正の数、負の数
(2)文字と式
(3)方程式
ここまでが、「中学基礎」
以下、「方程式と関数」と「図形」の2つに大別されます。

(4)比例と反比例
               (5)平面図形
               (6)空間図形
中学2年
(1)式の計算
(2)文字と式
(3)1次関数
               (4)平行と合同、証明
               (5)図形の性質
           (6)確率
中学3年
(1)式の計算
(2)平方根
(3)2次方程式
(4)関数Y=aX^2
               (5)図形と相似
               (6)三平方の定理

左側が「方程式と関数」、右側が「図形」
(確率はどちらにも属さず)

3年生の最後で「相似」と「三平方の定理」を学ぶようです。

これでは中学「図形」全体を眺める機会を失うのでは、
ないでしょうか?
目の前に「受験」があるのですから。
高校でも、2次関数と図形の組み合わせは、
頻出範囲であり、「基礎」が弱くなっていないか、
よねは心配です。

(以下 「未来を切り開く学習シリーズ」、数学4冊の考察へ
 続きます。)

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札幌にて。

2007-03-29 20:38:05 | ほっかいどう
これが「普通席」。
(他サイトからひろってきました。)

「丹頂」の絵柄が入ってます。
広くて快適です。
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走れ!スーパー特急。

2007-03-28 17:11:40 | ほっかいどう


明日、夕方から「この子」に乗って札幌に出張します。

北海道の誇る「ディーゼル」特急です。

でも「この子」は、昔の北海道の特急からは、
考えられない「化け物」なのです。

(引用開始)

札幌-○○間を一挙に45分も短縮、
同区間を日帰り圏内に変えてしまった
驚異の特急「スーパー○○」。

高速化・振り子車とくると「車内設備と座席の軽装化」が
すぐに浮かんでしまうのですが、さすがそこはJR北海道。
前作「スーパー○○」で培ったものを完全開花させ、
在来線特急最高級のサービスを展開。
「ハード」と「ソフト」の完璧な両立は、空路から客を呼び戻し、
再び鉄路へと定着させる「伝説」となりました。

(引用終了)

「車内」の写真はupできないので、後日、upします。
(1エントリー1枚しかできないらしい>goo Blog)


(こういうコピーandペーストは複数枚できるようです。)

「この子」はカーブを時速85kmで走ります。

コンピューターに全路線のデーターが入っており、
「カーブの手前」から車体を傾けて走ります。



「この子」の足元の「路盤の軟弱さ」に注目。

「この子」が出現する前は、平均70kmが精一杯でした。
「この子」は平均速度100kmで走ります。
さっきの紹介文は「最速特急」どうしの比較でしたが、
実感では1時間以上の短縮です。

札幌へ出かけることが非常に便利になりました。

直線は「在来線」であるため、「踏み切り600m前から
止まることが出来る速度」に制限されています。
ゆえに、「最高速度」は130kmです。
この制限なければ、「この子」は何kmで走るのでしょうか?

以前、どこかでお話しましたが、稀に、エゾシカを、はねます。

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ボールの問題 その3。よねの杞憂。

2007-03-28 13:26:45 | どたばた
Dさん、解答ありがとう!

もともとはこうでした。

【「思考力」。

子供に次のような簡単な問題を出して解答させてみる。

「カゴに三種類の色のボールが、17個入っている。
赤、黄、青の三色で、赤のボールは青より4個多く、
黄色のボールは、青よりも2個少ない。
では、それぞれの色のボールはいくつずつあるか答えてごらん?」

非常にシンプルな問題だけど、思考力を試せる。
鉛筆や紙を使わず、30秒以内にこれぐらいの問題を
解けないのでは、話にならない。】

そして
【青を基準にして、4個多くて2個少ないんだから
17-4+2=15個
15個÷3=5個で青の数が出るらしいです(^^;)
>近所の小学生によると】

これは素晴らしい答えです。
彼らは『X』の概念をもっているのですから。

ここで話が終われば、いいのです。

この問題が、「中学受験」の問題としたら、
方程式が使えないのでやっかいです。

Dさんから寄せられた解答案

(1)かごから赤のボールを4個取る。→赤が4個外。
(2)かごから赤と青のボールをそれぞれ2個ずつ取る。
  →赤が4個+2個で6個外、青が2個外で、合計8個外。
(3)かごから赤、青、黄色のボールをそれぞれ一個ずつ取り出す。
  →8個+3個で11個外。
(4)かごから赤、青、黄色のボールをそれぞれ一個ずつ取り出す。
  →11個+3個で14個外。
(5)かごから赤、青、黄色のボールをそれぞれ一個ずつ取り出す。
  →14個+3個で17個外。
(6)3種類のボールをそれぞれ1つずつ取り出して全部のボールを
 取り出すのに3回繰り返したから、一番少ない黄色のボールは3個。
(7)青は黄色より2個多いから3個+2個で5個
(8)赤は青より4個多いから5個+4個で9個

よねより、試験では高い点数がつくでしょう。

ここで注目して頂きたいのは、以下の2つの概念です。
1.『取りうる値の最大・最小』
2.『数列』

まず
(1)かごから赤のボールを4個取る。→赤が4個外。

問題文『赤のボールは青より4個多く』から赤の最小値が4。
『最大・最小』の概念です。

例えば、黄色のボールの最大値、最小値を考えます。

黄色いボールがあるから、最小値は1。

黄色いボールは一番すくない。
ボールは全部で17個。
17割る3=5(余り2)。
以上より黄色いボールの最大値が5であることが分かります。

次に
(3)かごから赤、青、黄色のボールをそれぞれ一個ずつ取り出す。
  →8個+3個で11個外。

カゴのボールをそれぞれ1個づつ取り出すと、
外のボールが3個ずつ増える。

これは『数列』の概念です。

さて、よねの解答ですが、

黄色のボールは少なくとも1個以上は存在する。
黄色のボールが1個の場合、青色のボールは3個、
赤色のボールは7個で、全部で11個となる。
黄色のボールが1個増えると、全体は3個増加する。
ボールの全体の個数は17個である。
17-11=6。6割る3=2。
以上の関係より、黄色のボールが1個の場合より、
2個増加した場合に全体が17個となる。
ゆえに、黄色のボールは3個。青色のボールは5個。
赤色のボールは9個。

これは『数列』も意識してますが、
高校数学の代表的概念を意識しています。

『あるnで条件Aが生じると、n+1でムニャムニャ。
 n=1の時、ゴニョゴニョ。』(うまく表現できない、ゴメン)

数列、漸化式、数学的帰納法、行列などで使われる『概念』

この場合は「数列」の問題ですから、
黄色のボールの個数をnとすると、
n+1個のとき、全体のボールの個数は3個増える。
n=1のとき、全体のボールは11個。
では全体のボールは17個のとき、nの値は。

こう解釈したのです。

このような問題を解き続けて『概念』=『数学の論理』が、
意識されるのかどうか、それが問題だと思います。

Dさんのところの小学生は「X」という『概念』を意識したので
素晴らしい。


【ここから、よねの杞憂がはじまります。】

この問題を手っ取り早く、教えるには
「黄色のボールが一番少ないよね。
 黄色のボールが1個のときは全部で何個になる。
 黄色のボールが2個のときは全部で何個になる。
こうやって数えてごらん。」

さらに、
「こういう問題は一番小さな数のボールに注目すれば
 解けるんだよ。」

このように「解法パターン」を覚えさせて、『概念=論理』を
意識させない方向性になっていやしないか、と。

もし、この想像が正しければ、『悪夢の循環』が生じます。

「中学受験」にそなえ、学習塾はたくさんの解法パターンを
覚えさせます。
「中学」側は、さらにバラエティーに富んだ問題を作成します。
「塾」  側は、さらにたくさんの解法パターンを覚えさせます。

そんなにたくさんの「解法パターン」を「詰め込まれた」小学生は
頭脳が破壊されてしまわないのでしょうか。

なんか『出口の何とか』でみたような・・・・

「よねの杞憂」であると信じたいです。







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ボールの問題。続き。

2007-03-27 12:12:19 | どたばた

昨日のボールの問題の続き。

【問題】
カゴの中に、赤色、青色、黄色の3色のボールがある。
ボールの数は全部で17個。
赤色のボールは青色より4個多い。
黄色のボールは青色より2個少ない。
赤色、青色、黄色のボールはそれぞれ何個か?

【方程式を用いた解答】
青色のボールをX個とすると、
赤色のボールはX+4個、
黄色のボールはX-2個となる。
ボールの個数は全部で17個であるので、

(X+4)+X+(X-2)=17
         3X+2=17
          3X=15
           X=5

ゆえに、赤色のボールは9個、青色のボールは5個、
黄色のボールは3個である。

(解答終了)

「大人」には何気なくみえますが、「中学校からの勉強法」に
よると、「計算過程を省略するな。」「=でそろえる。」
こう書いてありました。

さて、昨日は「30秒以内」なので「勘」でやってしまいましたが、
「勘」は点数になりません。
まじめに解きましょうか。

【方程式を使わない解答】

黄色のボールは少なくとも1個以上は存在する。
黄色のボールが1個の場合、青色のボールは3個、
赤色のボールは7個で、全部で11個となる。
黄色のボールが1個増えると、全体は3個増加する。
ボールの全体の個数は17個である。
17-11=6。6割る3=2。
以上の関係より、黄色のボールが1個の場合より、
2個増加した場合に全体が17個となる。
ゆえに、黄色のボールは3個。青色のボールは5個。
赤色のボールは9個。

(解答終了)

よねは「中学入試」をみたことも、解いたこともない。
実際の塾では、どう教えているのだろうか?

PS.
Kさんのコメント
【それはともかく、試行の過程においては色々と間違いを
犯すものですが、「何をすると間違いになるのか」を
身をもって知ることも勉強の目的の一つかと思います。

とかく正解を教えたがるのが教える側の人情というものですが、
「何をすると正解なのか?」と同様に「何をすると間違いなのか?」
も自分達で考えさせて理解させることが肝要かと思います。】

これ、とても大事です。

英語講師 安河内哲也氏は
「間違いを恐れるな、間違えた数だけ伸びる」といっています。

「失敗」を恐れて「手を出さない」生徒が多いですので。


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ボールの問題。

2007-03-26 20:56:22 | どたばた
あるブログより。
中学受験のための3つの能力。

(引用開始)

能力その二。
「思考力」。

子供に次のような簡単な問題を出して解答させてみる。

「カゴに三種類の色のボールが、17個入っている。
赤、黄、青の三色で、赤のボールは青より4個多く、
黄色のボールは、青よりも2個少ない。
では、それぞれの色のボールはいくつずつあるか答えてごらん?」

非常にシンプルな問題だけど、思考力を試せる。
鉛筆や紙を使わず、30秒以内にこれぐらいの問題を
解けないのでは、話にならない。

(引用終了)

いずれ、このエントリーはやります。

よねも、やってみました。



(よねの思考過程)

30秒以内?
普通に考えたら解けない。

勘に頼ろう。

ボールは全部で17個。
3で割ったら6個ぐらい。

青は4個か5個。

青4個なら、赤8個、黄2個。
全部で14個。足りない。

青5個なら、赤9個、黄3個。
全部で17個。

これが答え。

(終了)

何とか30秒以内にできました。

数学は思考力ではなく、「試行」力。
そう言ったのは、受験評論家、和田秀樹氏。

この言葉を覚えていたから30秒以内に
できたと思います。

たぶん小学生時代のよねには無理でしょう。
「試行」力の発想を知らないから。

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春、来る。万物の変わる季節。

2007-03-24 11:34:40 | その他
このブログは、ある方へのコメント欄です。

ところが、その方が元気をなくされていたご様子。
毎日、訪問していた私は心配しました。
どうやら「転機」を迎えられたようで、一安心。

他人と意見のあわないことは、寂しいものです。
私もこのブログで、ある方を苛立たせてしまい、
申し訳なく思います。
わざわざ、この辺境ブログまで、見に来てくださった事、
私が疎くなった「現場の生情報」をいただけた事に
感謝いたします。
 ご自分のHPは10回読め、とされながら、私のブログに
書いていない内容を非難されるのは、悲しいことです。
しかし、私としては、その方の苛立ちが痛いほどわかりました。
 もうこれ以上、苛立たせたくないので、そのHPについては、
2度と触れません。

さて、まったりすると言いながら、「たみふる」エントリーを
書いてしまい、2chふうに言うならば、
「勢いでやったが、今は反省している。」というところ。

たみふる 3」で示した如く、
ある方向を信じきった方には、いかに理を語ろうと通じないか、
と思います。
私も、「自分の時代の教育者」を信じてました。

「人は幸いにも、変わることが出きる。」
私の愛読する小説の一節です。
 ネット右翼と呼ばれる方たちの、ある方は、
「安保反対」など実際に行動されていた方です。

なぜ、変われるのか。
「考える力」、「周りをみる力」ではなかろうか、と。
2003年から、ネットを本格的にみる私は、
それを機に変わりました。

「お勉強」が大事なのは、「考える力」「評価する力」を
養うためと考えます。

今、中学校の中学の参考書を、実際に買ってきて
読んでいます。

4月になりましたら、書きますので、
よろしかったら、拙ブログに、遊びに来ていただければ、
うれしく思います。
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たみふる 4(完結)。

2007-03-24 08:22:10 | 医療の話

よねは2000年ごろから、小児医療には関わっていない。
「たみふる」はそれ以後に出現した薬だから、
あまり考えていなかった。

NHKの報道で、「10代への投与禁止」をみて、
新聞社の動きが気になって、このエントリーを書いたが、
思わぬ深入りになってしまった。

あらためて、「いんふるえんざ」治療を俯瞰すると、
なんで、だれも注意しないんだよ、という点があった。
2つだけ述べる。

1.インフルエンザのもう一つの薬剤、
 「りれんざ」にだって副作用はある。

.「ライ症候群」の可能性は?

【ライ症候群とは】

ライ症候群は非常にまれですが、脳の炎症と腫れ、および肝臓の
変性を引き起こし、命にかかわる病気です。

ライ症候群の原因は不明ですが、インフルエンザや
水痘(水ぼうそう)などある種のウイルスによる感染症の後に
発症するのが典型的。
主に4〜12歳の子供に、晩秋から冬にかけて起こります。

ライ症候群は上気道感染症、インフルエンザ、水ぼうそうなどの
ウイルス性感染症の症状とともに始まります。4〜5日後に、
子供は突然ひどい吐き気と嘔吐を起こします。
その日のうちに、子供は混迷状態になって
続いて方向感覚の喪失興奮状態などが生じ、
ときにけいれん、昏睡、死に至ります。
肝臓の変性は、血液凝固の問題と出血を起こすことがあります。
病気の程度には非常に幅があります。

経過の見通し(予後)は脳の腫れの程度によります。
子供が死亡する可能性は全体で約20%ですが、
病気が軽症だった子供の2%未満から、
深い昏睡に陥った子供の80%以上まで幅があります。

(以上)

これは「たみふる」出現のずっと前からある病気です。
「バファリン」系統の解熱剤は、「ライ症候群」の頻度を高める
可能性があり、子供には禁止されています。
代わりに別系統の解熱剤が処方されます。
「バファリン禁止」で「ライ症候群」は減少しましたが、
なくなったわけではありません。

「たみふる」の副作用ではなく、
「ライ症候群」の可能性はないのでしょうか?

あと、厚労省の「データーの集め方」に、問題があるのですが、
ここまで首を突っ込むときりがないので、これでおしまい。

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たみふる 3。

2007-03-23 19:07:05 | 医療の話

「たみふる」問題を考える時、興味深い記述が、
「医療崩壊」(小松秀樹)があることを思い出した。

(引用開始 小生の改変・省略がある。)

p263より。

一般的にフリージャーナリストは自己責任の覚悟がある。
大新聞社、テレビ局の記者は、十分な判断力があるが、
画一性に流されてしまう。
 メディアの記者は基本的に会社員であり、自分の責任で
意見を表明する覚悟を持っていない。
 
 最初の編集者から、私のジャーナリスト批判には、
具体的根拠に乏しいと指摘された。彼は、私が自分の意見を
直接語ることに強い違和感を覚えたらしい。私と同様の認識を
示す文章が発表されているものがあれば、それを引用することで
具体的根拠になると考えているようだった。

 日本のジャーナリストは、独自意見の表明をひどく嫌う。
まわりをちらちら見ながら、誰かがいったことを確認しつつ、
オウムのように繰り返す。これが大合唱となって、マスコミ通念が
形成される。一旦、暴走が始まると、これに異論を唱えることを
メディアは許さない。この傾向は戦前から戦後へ一貫している。
 同じ見解がすでに発表されているのを確認しなければ、
目新しい意見を表明してはいけない。

具体例にうつる。肺がんの治療薬「イレッサ」
よる合併症で多くの患者が死亡し、大きな問題となった。

吉岡友治氏は○○新聞の報道のありかたを4期にわけた。

第1期:発端、期待がふくらむ。

『驚嘆した。先日、米国臨床がん学会で発表された、
がん新薬にたいする、専門家のコメントだ。
 過去20~30年、がん治療薬の開発は、期待と失望の繰り返し
だったが、変化の兆しが見え始めた。
 国内でもイレッサが近く承認される。
あと10年もすれば、がん治療は確実に変わるのではないか。
がんよ、おごるなかれだ。』
 2002年6月3日

第2期:副作用をおこした個々の患者についての感情的記述が
    イレッサ憎しのイメージをつくる。

『昨年10月。○○県の病院。「パパごめんね。」
A子さん(当時31歳)は、父親Bさん(59歳)の肩にもたれて
つぶやいた。息苦しく、苦痛の日々。この日は不思議と呼吸が
楽になり、父娘で会話を交わした。が、4時間後、眠るように
息を引き取った。イレッサがA子さんの命を奪った。』
 2003年6月24日

『「阿修羅の形相で肺炎に苦しむ妻の姿が忘れられない。
 効果があるか、副作用が出るか、まるで丁半ばくちのようだ。」
  イレッサがCさんの時を止めてしまった。』
 2003年6月24日

第3期:訴訟の記事が多くなる。
     「薬害」と決め付けた見出しも出現する。

第4期:厚労省などが関わった制度に関する記事が多くなる。
    効果や副作用についても、記述は冷静になる。

イレッサ騒動をみると、期待、怒り、悲しみなど
「当事者の心情」を強調することは適切とは思えない。
責任がない。燃え上がるが、理性的事後処理をしない。
 冷徹な判断抜きに「当事者」の心情を書くことは、
しばしば、不毛な紛争を引き起こす。

吉岡氏はこの対立を、リスクの捉え方が
専門家と患者側で異なることに起因するという。

リスク論者は、すべての物質ないし人間の行為は、
何らかの危険を含み、それを完全に避けることはできない、
と考える。

反リスク論者は、目の前のリスクをもたらしたものが重要であり、
何としても禁止せよ、という。

非専門家=一般市民は、専門家の思考方法や態度を
受け入れない傾向が強い。

反リスク論者は専門家の判断の基礎に自己正当化があるとする。

「確率が何%といっても、実際に降りかかった人にとっては
 100%なのよ。」という感情的発言をする。
反リスク論者は、リスクを比較検討すること自体
「素人を小馬鹿にしたような態度」として反発する。

いくら専門家がその手続きをクリアなものにしても、
副作用をエンドポイントとして計算する方法は、
市民からは支持を得られない。

行過ぎた禁止は別のリスクの原因となる。
副作用で死亡例がでた薬剤を使用禁止にすれば、
助けられるはずの命が多数失われることになる。

反リスク論者は、自分が要求した「禁止」にたいする被害に
たいしても、感情的反発をあらわにするだろう。
それでもメディアは彼らをたしなめることをしないと想像する。

専門家の主張するリスク論に、どんなに客観性があろうと、
政治的言説として一般人に映る可能性が大きい。

この国では、合理性に敵意を示し、感情論を隠そうとしない
非専門家が、権力をもつようになってきた。
非合理と感情論をまとめ上げ、見える形にして、
政治的権力を持たせているのがメディアである。

感情論にたいし、正しいと思っているわけではないが、
それなりの共感を示しておかないと、反感を買って、
商業的に失敗すると思っているのではなかろうか?

今のままだと、メディアは遠ざけられるだろう。
議論しようにも、書かれた記事の多くに署名がなく、
責任の存在を明らかにしない。
 自分の意見を明確にせずに、記事内容の責任を
引用元や、世論に押し付ける。
 メディアは、自分たちが人格をもった人間として見られていない事
をもっと深刻に考えるべきである。

「自由と責任」であるが、会社と個人の意見の差を「あうん」の
呼吸で埋めてはならない。
 差があることを前提にしなければ、個人が責任のある記事を
書けない。そもそも、会社の意見なるものがあるのか?
あるとすれば、その決定方法は?意見の差の許容範囲は?
意見の差の検出を誰が行うのか?
 「ことば」を生業にしているのだから、明確にする必要がある。

記事の水準が低いときは、意見の差だと抵抗せずに、
メディアは謙虚に受け入れなくてはいけない。
 この点の潔さがなければ、「自由と責任」が
「わがままと無能の横行」に簡単に移行する。

(引用終了)

15ページの内容を要約させて頂いた。
誤解があれば、「よね」に責任がある。

医療問題、教育問題、ネットとマスコミの関係、などなど、
「よね」がマスコミに対して抱いていた「違和感」に
たいする「回答」を「医療崩壊」から教えていただいた気がする。





 

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たみふる 2。

2007-03-23 14:32:48 | 医療の話

3/23の朝刊の社説を予想していたので、
昨日「たみふる」を書いたのですが・・・・

突っ込みだけいれておきます。
文全体でなく、「部分」にたいする突っ込みは、
良いこととは思いませんが・・

【こんな重大なことをこれまで公表しなかった厚労省の責任は重い。 】

「薬剤注意情報」として、定期的に公表されています。

【厚労省は、タミフルと異常な行動との因果関係をしっかり
見極めてほしい。

 同省の研究班が行った調査によると、10歳未満を中心とする
インフルエンザ患者約2800人の中で、叫んだり暴れたりといった
異常行動は11%前後に見られた。
ただ、タミフルを飲んだかどうかではほとんど差がなかったという。     しかし、10代の調査対象が少ないなど不十分な点があったため、
対象を10代も含めて約1万人に広げて再調査する。 】

この再調査が容易にすすまないことは、目に見えてます。
その間、この新聞社はみているだけですか?
たとえば、海外の他のデーターはどうか、とか。

【薬に副作用はつきものだ。
 病気のときくらいはゆっくり体を休めてはどうだろう。】

平均年収1000万以上の人たちに言われてもねえ。

【そうした中で、厚労省は注意喚起はしてきたものの、
タミフルの危険性には否定的だった。
今年に入って10代の子供の転落事故が相次いだことから、
処方中止の措置をとらざるをえなくなったが、
リスクの把握や対応が遅かったのではないか。
異常行動の情報を一部公表していなかったのも問題だ。】

そう、「一部公表していなかった」のですが、
「こんな重大なことを公表しなかった」わけではありません。

【国、製薬企業、医師が癒着し、多数の被害者を出した
薬害エイズと同様の構図を疑う声もある。
厚労省は、こうした疑問や不安を一掃するためにも、利害関係を
排した大規模調査でタミフルのリスクをはっきりさせるべきだ。】

「薬剤エイズ」と同じなら、とっくに「告発」がでているはずです。
医療者が「匿名発信」できる時代ですから。

【タミフルの効果についても詳細なデータがほしい。
子供や高齢者が服用した場合に、インフルエンザの合併症や
死亡をどの程度防げるかがわからないと、
リスクとのバランスもわからない。】

これはまったくの正論です。
でも、「エビデンス」が作られるまでの、患者数と時間数の膨大さは、
ご存知ですよね。「医療記事」書くぐらいですから。

【「安全性に問題はない」という姿勢からの事実上の方針転換である。否定的だった服用と異常行動の因果関係にも、
「今後変わる可能性がある」との認識を示した。

 服用した子供たちが高いところから飛び降りるといった
異常行動を起こす恐れに対し、注意喚起することは大いに
賛成できる。しかし、その半面、過度の注意喚起は、薬の安全性に
疑問符を投げかけることになる。】

突っ込みようがありません。

あと2社は「社説」をだしてません。
どこかの新聞社を突っ込みたかったわけではなかったが、
結果的にそうなってしまった。

「りれんざ」の危険性や、「薬一般の危険性」は
どこの新聞社もとりあげてない。

またつまらぬものを書いてしまった。

お詫びにまともな考察へのリンクを貼る。
記事は2005年のものである。

コメント
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