平御幸(Miyuki.Taira)の鳥瞰図

古代史において夥しい新事実を公開する平御幸(Miyuki.Taira)が、独自の視点を日常に向けたものを書いています。

機械の心

2010-12-23 07:22:33 | Weblog
 手塚治虫の『火の鳥』シリーズに、ロボットが心を持ってしまうシーンがあります。ただの機械が、感情や意思を持つ事でインテリジェンスを獲得し、必然的に自我に目覚める悲劇です。ここには、創造主と人間との間の、作った側と作られた側の葛藤という通奏低音が流れています。ロボットは、苦悩する人間の擬人化に過ぎないのです。

 徳島のミカエル型のバックロードホーンは、あえて欠点を探せば、高域が伸びきらないという弱点があります。高域成分の多い曲を聴くとトゥイーターが欲しくなるのですが、フォステクスのホーン・トゥイーターは高価だし、中古でもそこそこの値段で取引されています。そこで、メーカー品の取り外し品を探すことにしました。運良く、東芝製のホーン・トゥイーターが見つかったのです。

 このトゥイーターを落札する前に、別の場所でネットワークなるものを見つけました。アンプからの出力を、3ウェイシステムの低域のウーファー用、中域のスコーカー用、そして高域のトゥイーター用に分割するのがネットワークです→こちら。ネットワークは、高域カットのコイル、低域カットのコンデンサー、レベル調整のアッテネーターから構成されていますが、音楽信号にとっては必要悪であり、ロスを少なくしようとすれば目玉が飛び出るほど高価になります。

 この自作すると高価なネットワークがオークションに出ていたのですが、内容が秋葉原のユニットコーナーで売っているパーツを集めた、極めてマニアックなものです。自作すれば、8千円はするのではないでしょうか。それが、競う相手が現れずに安価で落札できました。例えて言うと、アッテネーターのパーツ代だけです。ミカエルにトゥイーターを追加するとしても、音圧レベルを下げるアッテネーターは必需品でした ラッキー。

 安く落札できたので、東芝の30年前のホーン・トゥイーターは少し無理して落札することが出来ます。それでも、内容からは超安いですけど。ところが、出品者のミスで、間違ったお客様番号で追跡できません。連絡すると訂正があり、それから少し遅れて届いたのですが、箱の中に落札していないスコーカーが入っていました。ミスのお詫びでしょうか。箱が重すぎて変だとは思っていたのですけど。

 それで、東芝のホーン・トゥイーターは超高域のスーパートゥイーターだったので、バックロードホーンの天板に乗せるには丁度良く、さっそくハンズで取付用の板をカットしてもらいました。でも、板取の関係で余分な板も出たのですが、どうせならと同じ径(70ミリ)で穴開けをしてもらいました。これがまた予定調和だったのです。

 東芝のホーン・トゥイーターをカットした板に取り付けてみましたが、アッテネーターやコンデンサーを取り付けなくてはなりません。これが面倒で、秋葉原まで買出しも億劫だし、落札していたネットワークから取り外すのも勿体無い感じです。どうしようかと思い悩みながらネットワーク基板を裏返してみたら、トゥイーターとスコーカーとセットの品だったのです。僕は名前を覚えるのが天才的にダメなので、同じ出品者から別々に落札していたとは気がつかなかったのです。間抜けですね。


左からAurex SS-L50Sのネットワーク、トゥイーター、スコーカー、スコーカーの後ろはヤマハJA0506
ネットワークのコンデンサーはU∑コン(クリーム色)、VⅡ(赤縦長)、μ-conなど

 このように、トゥイーターとスコーカーは、もともとコンビを組んでいたネットワークと無事に再会し、ネットワークも部品取りにバラバラにされずにいます。ここまで一緒に居たがっているものを、離れ離れにするには偲びません。そのうち、ウーファーを追加して、3ウェイのバスレフ型を設計したいと思います。でも狭くて置く場所がないので、読者の誰かが置けないかしらん。

 東芝は赤字覚悟で売っていた会社なので、ブランドのAurex製品は値段の1.5倍から2倍の価値があります。特にパーツにはこだわった会社ですから、アンプの高級品は今でも高額で取引されています。東芝はトランジスタなどのデバイスを生産していたので、その宣伝用に高級オーディオも手掛けていたのです。NECや日立も同じですが、ソニー製品も一部は日立の工場で作られていたらしいですね。

 ということで、徳島に送る予定のトゥイーターは、スコーカーやネットワークと離れ離れには出来ないので、僕の現用機のヤマハのJA0506を代用で使ってもらいます。もちろん、ミカエルとはバランスが合わないので、別のユニットをゲットするまでの暫定ですけど。本命までの間の貸与ですね。


JA0506とコンデンサーとアッテネーターの接続
ヤマハも70ミリ径なので余った板を流用できた
右は幻のΛ(ラムダ)コンデンサー(黒円筒)とVXコン(赤蛸)

 僕の経験では、オーディオ製品は人を見るというか、使う人間によって発揮する性能が違うようです。スピーカー自作でよく出てくる「○○解体新書」というサイトの管理人氏は、バックロードホーンの製作や改造で一度も成功していないようです。僕の20倍の金額はオーディオに注ぎ込んでいるようですが。苦労して苦労して出てくる音は期待外れ。賽の河原の石積みのように、これも一つの地獄の様相なのです。

 ケルビムは弟子の評価では「優しい音」。圧倒的な切れと分解能を誇るケルビムは、弟子のところの居心地が良いせいか、大きな牙と爪を隠して猫になっているようです。作った僕も本望です。スピーカーやオーディオ機器に嫌われたら、人間としてなにか問題があるのです。ユニットを安く落札した上に、今回のようなおまけが付いてきたのは二度目。僕は、慕ってくるユニットを活かすべ、設計に神と霊感を頼るのです。至福の音に勝る福音はありませんね。

      エフライム工房 平御幸
コメント
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