「こんにちわッ、テディちゃでス!
ひゅゥ~どろろんッ!」
「がるる!ぐるるがるる……!」(←訳:虎です!背後に気配が……!)
こんにちは、ネーさです。
ひたひたと迫る足音、
誰もいないのに開く扉、
振り返ったその顔はまさかの……
本日の読書タイムは2023年に入って初の“怖~い!”を、
↓こちらの御本で、さあ、どうぞ~♪
―― 怪談 ――
著者はラフカディオ・ハーンさん、
原著は1904年に、
円城塔(えんじょう・とう)さんによる日本語訳版は
2022年9月に発行されました。
英語原題は『KWAIDAN』――
小泉八雲さん著『怪談』の“原著”といえば
分かりやすいでしょうか。
「やくもさんッ!」
「ぐぅるるるがーるるる!」(←訳:じゃなくてハーンさん!)
現代日本に暮らす私たちが知る『怪談』は、
『耳なし芳一の話』であり、
『貉(むじな)』であり、
『雪女』他……なのですが、
この御本では違います。
『ミミ・ナシ・ホーイチの物語』であり、
『ムジナ』であり、
『ユキ・オンナ』……
登場する地名人名も
『ダン・ノ・ウラ』に『タンバ』、
『ヘイケ』や『キョ―バシ』、
『ムサシ』『オ・ユキ』と、
何だか日本であって日本でないような……?
「ふうゥ! ざんしんッ!」
「がるるる~!」(←訳:不思議感~!)
そもそも、原著『KWAIDAN』は英文ですから、
漢字による表記は有り得ない、のですが、
著者・ハーンさん自身はどう考えたのでしょうか。
ちょっと妄想してみますと……
漢字。
東洋にしか存在しないこの表意文字を、
出来ることなら使ってみたい!
エキゾチックな東洋の言語は、
好奇心旺盛な西洋の読者たちを魅了するだろう!
いや、それが無理だとはよく分かっている、
ならば、ならば……?
音、で行こう!
欧州の言葉にはない言葉の”響き”を
前面に押し出してみよう!
「そこでェ~くゥわいィだんッ?」
「ぐるがぅるるぐるるるるるる!」(←訳:怪談じゃなくKWAIDAN!)
真偽の程はともかく、
ハーンさんの筆によって
『KWAIDAN』は西洋世界に送り出されてゆきました。
シモノセキ海峡のダン・ノ・ウラに沈んだ
ヘイケ一族の伝承を歌う
ホーイチという名の琵琶弾きが、
いかなる惨劇に見舞われたか。
ムサシ地方のある村で暮らす、
ミノキチとオ・ユキの悲しい別れとは……。
「ふわわァ~…げんそうゥてきィでスゥ!」
「がるぐるるる!」(←訳:SFみたいだ!)
異国の響きの向こうに、
ハーンさんが刻んだ
ヒトの世の、怖さ、儚さ、愛惜。
巻末部分には、
ハーンさん著『KWAIDAN』が
どのような”形”で西欧の人びとを刺激し、
日本語訳化されてきたか、
訳者・円城さんによる解説が収録されています。
この解説と、
ハーンさんの略歴を紹介する文章が本当に素晴らしいので、
怖~いお話はちょっと苦手な活字マニアさんも、
ぜひ、手に取ってみてくださいね。
エモーショナルな装画も含めて
激おすすめな一冊ですよ~♪