テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 完訳『KWAIDAN』に怪を見る ~

2023-01-12 21:30:02 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ひゅゥ~どろろんッ!」

「がるる!ぐるるがるる……!」(←訳:虎です!背後に気配が……!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 ひたひたと迫る足音、

 誰もいないのに開く扉、

 振り返ったその顔はまさかの……

 本日の読書タイムは2023年に入って初の“怖~い!”を、

 ↓こちらの御本で、さあ、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 怪談 ――

 

 

 著者はラフカディオ・ハーンさん、

 原著は1904年に、

 円城塔(えんじょう・とう)さんによる日本語訳版は

 2022年9月に発行されました。

 英語原題は『KWAIDAN』――

 

 小泉八雲さん著『怪談』の“原著”といえば

 分かりやすいでしょうか。

 

「やくもさんッ!」

「ぐぅるるるがーるるる!」(←訳:じゃなくてハーンさん!)

 

 現代日本に暮らす私たちが知る『怪談』は、

 『耳なし芳一の話』であり、

 『貉(むじな)』であり、

 『雪女』他……なのですが、

 この御本では違います。

 

 『ミミ・ナシ・ホーイチの物語』であり、

 『ムジナ』であり、

 『ユキ・オンナ』……

 登場する地名人名も

 『ダン・ノ・ウラ』に『タンバ』、

 『ヘイケ』や『キョ―バシ』、

 『ムサシ』『オ・ユキ』と、

 何だか日本であって日本でないような……?

 

「ふうゥ! ざんしんッ!」

「がるるる~!」(←訳:不思議感~!)

 

 そもそも、原著『KWAIDAN』は英文ですから、

 漢字による表記は有り得ない、のですが、

 著者・ハーンさん自身はどう考えたのでしょうか。

 ちょっと妄想してみますと……

 

 漢字。

 東洋にしか存在しないこの表意文字を、

 出来ることなら使ってみたい!

 エキゾチックな東洋の言語は、

 好奇心旺盛な西洋の読者たちを魅了するだろう!

 いや、それが無理だとはよく分かっている、

 ならば、ならば……?

 

 音、で行こう!

 

 欧州の言葉にはない言葉の”響き”を

 前面に押し出してみよう!

 

「そこでェ~くゥわいィだんッ?」

「ぐるがぅるるぐるるるるるる!」(←訳:怪談じゃなくKWAIDAN!)

 

 真偽の程はともかく、

 ハーンさんの筆によって

 『KWAIDAN』は西洋世界に送り出されてゆきました。

 

 シモノセキ海峡のダン・ノ・ウラに沈んだ

 ヘイケ一族の伝承を歌う

 ホーイチという名の琵琶弾きが、

 いかなる惨劇に見舞われたか。

 

 ムサシ地方のある村で暮らす、

 ミノキチとオ・ユキの悲しい別れとは……。

 

「ふわわァ~…げんそうゥてきィでスゥ!」

「がるぐるるる!」(←訳:SFみたいだ!)

 

 異国の響きの向こうに、

 ハーンさんが刻んだ

 ヒトの世の、怖さ、儚さ、愛惜。

 

 巻末部分には、

 ハーンさん著『KWAIDAN』が

 どのような”形”で西欧の人びとを刺激し、

 日本語訳化されてきたか、

 訳者・円城さんによる解説が収録されています。

 

 この解説と、

 ハーンさんの略歴を紹介する文章が本当に素晴らしいので、

 怖~いお話はちょっと苦手な活字マニアさんも、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね。

 エモーショナルな装画も含めて

 激おすすめな一冊ですよ~♪

 

 

 

コメント
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