「こんにちわッ、テディちゃでス!
あわわッ? さらばァ、いちがつゥ~??」
「がるる!ぐるっ!」(←訳:虎です!早いっ!)
こんにちは、ネーさです。
気付けば明日はもう2月……!
時間の流れが速過ぎるわ!と焦りながら、
さあ、読書タイムですよ。
本日は、こちらの文庫作品を、どうぞ~♪
―― 先祖探偵 ――
著者は新川帆立(しんかわ・ほたて)さん、
単行本は2022年に、文庫版は2023年11月に発行されました。
さて、貴方の御先祖さまは、何者ですか?
「ふァいッ! くまァでス!」
「ぐるる~!」(←訳:虎だよ~!)
クマやトラならともかく、
人間の場合、この問答はちょいと厄介なことになります。
私のご先祖さま? 人間よ。
という答えでは、まず納得してもらえません。
父は誰それ。母は誰それ。
それぞれ、どこそこの市町村の生まれで。
それから、えーと、親の親は、そのまた親は、もっと親は……。
「ううゥ、きりがないィでス!」
「がるるるぐるるるるがる~!」(←訳:だんだんアヤフヤになる~!)
父母の履歴くらいなら、まあなんとか解るけれども、
祖父母の若い頃は? 曽祖父母の少年時代は? ……さっぱり。
つまり私たちは知らないのです。
私たちの《先祖》が何者であったのかを。
邑楽風子(おうら・ふうこ)さんが
『先祖探偵』を名乗るのは、
そこに着目してのことでしょうか。
「かのじょにィたのめばァ、だいじょうぶゥ!」
「ぐるるるるがるるるる!」(←訳:探し出してくれるんだ!)
東京の、谷中銀座。
住宅地の奥の、二階建てビルの二階に事務所を構えて、
邑楽さんが探すのは、
依頼人さんの御先祖さまたちです。
来月111歳になる曽祖父は、どこにいる?
私の祖先が武田信玄公の側近だと立証してくれ!
夏休みの課題で、ご先祖さまを追跡したいんです!
「……いろいろォ、でスねェ~…」
「がるるるるぐるるる?」(←訳:見つかるといいけど?)
御先祖さまを、知る。
邑楽さんが用いる方法は、ごく簡単です。
区役所や市役所などに行って、戸籍謄本を取れば、
基礎的な情報が判明する。
そこに、その土地の歴史博物館などに収蔵されている地誌や、
菩提寺に残る人別帳、言い伝え、噂話、
取得情報のすべてを突き合わせてみれば、
会ったことのない曽祖父さんも、その祖父母も、
もう他人じゃありません。
しかし……
なぜ、御先祖さまを知りたいのか。
今まで、知らなくったって、別に問題もなくやってきたのに。
なぜ、敢えていま、知りたいのか。
知りたい!と依頼人さんが思い立った背景には、
何か、複雑な事情がある?
そして、邑楽さんが御先祖探しにこだわるのも、
邑楽さんなりの事情が……?
「むむむゥ! そこまでッ!」
「ぐるるるがる~!」(←訳:ネタバレ厳禁~!)
御先祖さまを知ることで、
何かが変わる。
5篇の短編作品から成る邑楽風子さんの探偵譚と、
巻末には著者・新川さんと辻堂ゆめさんの
特別対談も収録されています。
ミステリ好きな活字マニアさん、
歴史好きな方々も、
ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪