テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ リ・クリエイトの《富嶽》 ~

2019-07-31 23:05:37 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 もうすぐゥ^おまつりィ~♪」
「がるる!ぐるるるるるがる!」(←訳:虎です!八王子まつりです!)

 こんにちは、ネーさです。
 はい、8月の2日・3日・4日は《八王子まつり》が
 開催されますよ~!
 ただね、この酷暑ですものね、
 参加する方々&来てくださる方々は
 決して無理しないでくださいね。
 ああ、週末はもうちょい涼しくなっておくれ!と
 心の底から願いつつ、
 さあ、本日の読書タイム……をサボり、
 7月を締めくくる今日は、こちらの展覧会情報を、どうぞ~♫

  


 
       ―― 北斎展 [HOKUSAI] ――



 神奈川県横浜市のそごう美術館にて、
 会期は2019年7月27日~9月1日(会期中無休)、
 『リ・クリエイト(複製画)で天才絵師、北斎の謎と技に大接近!』
 と、副題が付されています。

「りィくりえいとォ??」
「ぐるっるがるぐるぅ?」(←訳:複製ってことでしょ?)

 リ・クリエイトは、
 単なるコピーではないんですよ。

 最新のデジタル・リマスタリング技術で、
 原画作品が制作された180年前の色彩を再現し、
 さらに、作品や連作それぞれを
 北斎さんの生きた時間軸に沿って展示し、
 “創作の流れ”をも
 明らかにしてゆこう、というのが
 この展覧会の特徴です。

  

 リ・クリエイトを経て出展される主な作品は、

 『富嶽三十六景』全46作品(拡大版)、
 『富嶽百景』全102図、
 北斎漫画全15編。

 また会場では、
 木版画を体験するワークショップ、
 摺職人さんによる子どものためのワークショップや、
 リ・クリエイト推進者の福岡伸一さんによる講演会、
 同じく福岡伸一さんによる
 子どものためのギャラリーガイドなど
 イベントも予定されています。
 
 参加ご希望の方々は
 美術館HPで詳細を確認の上、
 そごう美術館へお出掛けしてくださいね。

「このォきかいにィ~!」
「がるるぐるるるぅるる!」(←訳:宿題を片付けちゃおう!)
 
  

 近年、
 美術品を複製し、
 オリジナル作品は厳重に保管庫で管理し、
 展示室には精巧な複製品を飾る、という方法が
 真剣に考慮され始めているようです。

 2週間くらい前から
 パリのルーブル美術館では
 大規模な改修工事が開始され、
 あの『モナ・リザ』は
 本来の展示場所にくらべて
 とんでもなく遠い部屋へ移動、
 そこでは押し寄せる観光客さんの多さに
 立ち止まって観賞することも
 ままならぬ状態なのだとか。

「ううゥ! だいィこんざつゥ~!」
「ぐるがるる!」(←訳:行列すごい!)

 美術館の安全な運営が行き詰まってしまうなら、
 新たな展示方法が必要なのかもしれない?
 そのときは、リ・クリエイト作品の出番なのかも?
 なんて想像も生まれたりする
 《富嶽》の特別展へ、
 アート好きな皆さまは、ぜひ♪

 あ、そうそう、
 館内は撮影が可能!とのことです。
 スマホやカメラをお忘れなく~!
 
 
 
 
    では、ここでオマケ画像も、じゃじゃん!
   
   『ユーハイム』さんの
   《オープストオアーゼ》は
   冷やしていただくゼリー菓子……ん?
   そうだわ!ひらめいちゃったわ!
   凍らせてみましょう、これ!
   きっと美味しいソルベになるわよ!
   というワケで、おやつは順延です♪
   「えええェ~ッ!」
   「がるぅ~…」
   
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《水》を撮る。

2019-07-30 22:58:30 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 しょちゅうゥおみまいィ、もうしあげェまスゥ!」
「がるる!ぐるるる~!」(←訳:虎です!あつすぎ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 《ツール・ド・フランス》が終わってしまってしょんぼり……
 梅雨明け直後の猛暑にげんなり……
 ではありますが、
 さあ、読書タイムでエネルギーをチャージしましょう♪
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!
 
  


 
       ―― PLANET OF WATER ――



 著者は高砂淳二(たかさご・じゅんじ)さん、
 2019年6月に発行されました。
 はい、ややこしいトリックを使ったミステリや、
 年表と首っ引きの歴史ノンフィクションは
 ちょこっとパスすることにして、
 今回は炎暑を忘れさせてくれる写真集に登場いただきますよ。

「はァ~…スゥ~ッとしまスゥ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:一服の清涼剤!)

 横に長~い判型になっているこの御本、
 ページを開くと、
 パノラマ写真のように
 別世界が広がります。

 イタリア語にはpanoramica(パノラミカ)
 という言葉があって、
 “眺めがいい”とか“絶景”を意味するんですけど、
 まさにそれ!な感じかしらね。

「おおうなばらァ~!」
「がるぐる!」(←訳:碧い氷山!)
「みずみずしィ~しんりょくゥ!」
「ぐるるがる!」(←訳:濃紺の雷雲!)

 御本の表紙になっているのは、
 有名なボリビアのウユニ湖。
 
 他に、南極や、
 ブラジルとアルゼンチンの国境にあるイグアスの滝、
 カナダのセントローレンス湾、
 アイスランドの氷の海、
 コスタリカのジャングルなど、
 あまりにも撮影場所が広範囲なものですから、
 この写真集って
 発行元のナショナルジオグラフィック社の
 アーカイブで写真を選んで
 編集したものなのかな?と思ったら。

 違ったんです。

 南極からアイスランドまで、
 小笠原諸島からベネズエラまでの
 ワールドワイドな東西南北、
 すべての写真を撮ったのは。

 著者の高砂さん、なのでした。

「たッたァひとりでェ~」
「がるぐる!」(←訳:世界横断!)

 世界横断というより、
 これはもう世界周回なのかもしれません。

 そこへたった一度行って、
 撮ったらハイ終わり、っていう写真ではなく。

 その土地を、海を、山や川を、
 深く学び、
 あらかじめ知っていなければ撮れない。
 “偶然の出会い”をただ漫然と待っていただけでは撮れない、
 そんな写真なんです。

「いちまいィのォ、しゃしんのォためにィ!」
「ぐるるがるるぐる!」(←訳:はるか旅から旅へ!)

 数千キロ彼方の、シロクマの親子。

 砂浜で一瞬静止する、ウミガメの赤ちゃん。

 氷原を移動してゆくペンギンたち。

 雨の中を飛ぶハチドリ。

 自然を撮った作品も、
 動物たちを撮った作品も、
 唯一無二の“絶景”です。

 暑さに疲れた目にやさしい作品の数々を、
 皆さまも、ぜひ♪
 

 
 
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ブレない《美》の魂!

2019-07-29 22:37:26 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 ぱりィにィ、ごォ~~~るゥ!!!」
「がるる!ぐるるるる!!」(←訳:虎です!おめでとう!!)

 こんにちは、ネーさです。
 《ツール・ド・フランス2019》の総合優勝者は、
 エガン・ベルナルさん(国籍はコロンビア、所属はチームイネオス)!
 ベルナルさん、おめでとうございます。
 そして全選手さん・スタッフの皆さん、お疲れ様でした!
 今ごろコロンビアはお祭り騒ぎだわね♪と楽しく想像しながら、
 さあ、本日の読書タイムは
 こちらの御本を、どうぞ~!

  


 
         ―― 名画感応術 ――



 著者は横尾忠則(よこお・ただのり)さん、
 1997年に発行されました。
 『神の贈り物を歓ぶ』と副題が付されています。

 今は2019年ですから、
 この御本はもう
 20年以上前の美術エッセイということになりますが――

「ぶれてェないィでス!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:古びてもないよ!)

 かつて、1992年4月から1995年3月まで、
 雑誌『CLASSY.』に掲載されたエッセイのテーマは、
 《日本に来る名画》。

 つまり、この御本で照会されている作品は、
 すべて展覧会等で来日し、
 日本国内で展示されたものばかり、ってことですね。

「たとえばァ、ごッほさんッ!」
「がるるるぐるるがる!」(←訳:たとえばピカソさん!)

 収録されている36篇のエッセイの中で、
 著者・横尾さんは、
 “解説”をしていません。

 御本冒頭の『まえがき』で
 横尾さんが述べていることは、いうなれば。

「かんがえないィ!」
「ぐるるるる!」(←訳:感じるんだ!)

 ブルース・リーさんが言ったように、
 老ヨーダさんが若きルークに教えたように、
 “考えるな、感じろ”――

   心にひらめいてくる想いだけに焦点を合わせ、
   筆を動かせばいいのだ。
   
   想いに忠実であることが
   神の波動の受け皿になり得るのである。

   神は
   特別な人にしか理解できないような
   難解な観念など
   送信してくるはずがない。

 と、こんな《姿勢》で、
 横尾さんは日本にやって来た名画たちと向き合います。
 
 レンブラントさんの『フローラ』、
 マネさんの『草上の昼食』の下絵、
 モネさんの『睡蓮のある池』、
 クレーさんの『パルナッソスへ』、
 御本の表紙になっている
 マグリットさんの『透視』……

「ぶんしょうゥ、わかりィやすいィでス!」
「がるるぐるるる!」(←訳:優しいまなざし!)

 実は、横尾さん、
 毎週土曜日の朝日新聞朝刊での書評コーナーで
 やや不定期ではありますが、
 書評を担当しておられます。

 この横尾さんの書評がね、ものすっごいんです。

 小説家さんや学者さんとは
 ひと味もふた味も違う斬り込みかた!
 斬新な視点!
 ときには書評欄そのものが
 横尾さんの“作品”と化すことさえあって、
 私ネーさ、本当にもう土曜の朝が楽しみで楽しみで♪

「おどろかされェまスよゥ~!」
「ぐるるがるるるるぅる!」(←訳:常識が粉砕されちゃう!)

 この御本では、
 新聞の書評のように、
 ええっ!これは!……ということはありません、が、
 古典作品から現代美術まで、
 横尾さんご自身の記憶や感想とともに
 《絵画を観る歓び》
 が余すところなく語られています。

 20年を経ても、
 まったく古びていない、
 むしろ稀な熟成を重ねつつある
 “絵と付き合い方法”を、
 アート好きな皆さま、
 ぜひ、一読してみてくださいな♫

「がるるるるぐるがぅるるるぐる!」(←訳:横尾さんの書評ファンさんにも!)
「おすすめェでスよゥ~!」

 
 
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~ 怪物が生まれた時代 ~

2019-07-28 22:35:39 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 もうすぐゥ~ぱりィ!」
「がるる!ぐーるがる!」(←訳:虎です!ゴールです!)

 こんにちは、ネーさです。
 今日28日、《ツール・ド・フランス2019》は最終日を迎えます。
 3週間の長旅を終え、
 シャンゼリゼの表彰台中央に立つのは……?
 華やかなニュースを待つ間は、
 さあ、読書タイムですよ♪
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  



   ―― 図説 ヴィクトリア朝の女性と暮らし ――



 著者は川端有子(かわばた・ゆうこ)さん、
 2019年5月に発行されました。
 『ワーキング・クラスの人びと』と副題が付されています。

 ヴィクトリア朝――
 先日ご紹介しました『SF大クロニクル』では、
 “SFの夜明け”ともいうべき位置付けをされていた
 メアリー・シェリーさん著『フランケンシュタイン』。

 文学史に輝く名作SFについて
 もっと知りたくなった私ネーさ、
 ヴィクトリア朝の文化について記されたこの御本を
 手に取ってみましたよ。

「にほんはァ、そのころォ~…?」
「ぐるがるるる?」(←訳:まだ江戸時代?)

 メアリー・シェリーさんは1797年生まれ、
 1851年没……

 ヴィクトリア朝時代とは、
 ヴィクトリア女王が英国を統治していた
 1837年から1901年を指す、とされています。

 なので、メアリー・シェリーさんは、
 ジョージ三世(ヴィクトリア女王の父)の治世下と、
 ヴィクトリア朝の初期の英国に暮らした、
 ということになりましょうか。

「へんかくゥのォ、じだいィ!」
「がるるるるぐる!」(←訳:蒸気機関の時代!)

 1818年に刊行された
 『フランケンシュタイン あるいは現代のプロメテウス』。

 そう、“怪物の物語”の背景には、
 産業革命による社会の大きな変化がありました。

 この御本の中で著者・川端さんは
 《働く女性たち》を取り上げているのですが、
 実は、メアリー・シェリーさんの母である
 メアリー・ウルストンクラフトさんは
 “女性人権運動の創始者”と呼ばれる思想家だったのです。

 工業技術と大量生産が加速する19世紀に、
 娘のメアリーさんも母のメアリーさん同様に
 《人権》を意識したことでしょう。

 小さな子どもたち女性たちが
 閉じ込められるようにして鉱山で働かされ、
 使い捨てられてゆく時代。

 “怪物”が《ひと》として扱われなかった時代――

「でもォ、いいこともォありましたでス!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:学校ができたよ!)

 そうなのよね、
 ヴィクトリア朝は学校教育が始まった時代だったんです!

 英国では、
 1870年に学校教育法が施行され、
 小学校の整備が本格化されてゆきます。
 やがて初等教育が義務化されると、
 識字率は格段に上昇して、
 《本を読む》行為も広まってゆきました。

 当時のロンドンで
 名探偵ホームズさんの物語が掲載された
 『ストランドマガジン』で大評判になったのも、
 『フランケンシュタイン』が版を重ねていったのも、
 学校教育の成果、なんでしょう♪

「もうゥ、どくしょはァ~」
「がるるるぐるるるるがぅるる!」(←訳:上流階級だけのものじゃない!)

 第一章《小学校に行くということ》
 第二章《働く人々の生活》
 第三章《女性の職業》
 と、3つの章に分けて
 著者・川端さんはヴィクトリアンの“いつもの日々”を
 丁寧に解析してゆきます。

 写真や絵画など図版資料が多数収録されていますから、
 歴史好きな方々、
 19世紀をテーマにした映画やドラマ、
 絵画好きな活字マニアさん、
 もちろんシャーロキアン諸氏にもおすすめですよ。
 ぜひ、一読してみてくださいね~♫
  
 

 
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目にうるわし、夏の涼衣。

2019-07-27 22:15:00 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 えええッ? がけェくずれッ??」
「がるる!ぐぅるるがっるぅ??」(←訳:虎です!ヒョウが降ったぁ??)

 こんにちは、ネーさです。
 《ツール・ド・フランス2019》第19ステージは
 アルプスの山道を埋める大量の雹(ひょう)、
 あげくに地滑りも発生するという大混乱の中、
 ステージは大幅に短縮され、
 総合首位が入れ替わる大波乱となりました。
 あまりの異常事態に今もまだ呆然としておりますが、
 とにもかくにも読書タイム……をサボって、
 本日は、こちらの展覧会情報を、さあ、どうぞ~♪

  


 
       ―― ゆかた 浴衣 YUKATA ――



 埼玉県川越市の川越市立美術館にて、
 会期は2019年7月20日~9月8日
 (月曜休館、ただし8/12は開館して翌8/13は休館)、
 『夏を涼しむ色とデザイン』と副題が付されています。

「ふァいッ!
 いまがァ、とッぷしーずんッ、なのでスゥ!」
「ぐるるるる!」(←訳:夏だもんね!)

 そうね、
 今日7月27日は時季的に
 “最も花火大会が行われる週末”
 でしょうか。

 私たちの地元の、ここ八王子市でも
 花火大会が開催されています。
 
  

「おおぜいィ、おみかけいたしましたでスゥ!」
「がるるるぐる~!」(←訳:浴衣姿の方々~!)

 繁華街や駅ビルで目にしたのは、
 もちろん、“現代の浴衣”でしたが。

 この展覧会では、
 江戸から昭和に至る浴衣や、
 浴衣生地を染めるための型紙、
 夏の江戸風俗が描かれた浮世絵などが展示されます。

 いちばん上の画像の、
 チラシ(フライヤー)表面に写っているのは、

  《紺木綿地立浪模様浴衣》(明治~大正時代)

  《白紅梅織地朝顔麻葉模様浴衣》(20世紀前半)

 2番目の画像に写っているのは、

  《白麻地槍梅若松模様浴衣》(江戸時代)

  《紺木綿地団扇模様浴衣》(大正~昭和時代)

 と、滅多に見る機会を得られないような、
 貴重な御品ばかりですよ。
 
  

「ぷふッ♪ こッちのはァ~」
「ぐるるるるる!」(←訳:美味しそうだ!)

 はい、上の画像に写っているのは、

  《白木綿地網魚介模様浴衣》(江戸時代・18世紀後半~19世紀前半)。

 海老やらタコやらフグやらが染め抜かれた
 “海産物尽くし”な意匠には、
 食欲をそそられますね♪

「ゆでるゥべきかッ?」
「がるるるる?」(←訳:焼くべきか?)
「ぶいやべーすにィしてもォ、よさそうゥ?」

 なお、会期は、
 前期(7/20~8/12)と
 後期(8/14~9/8)
 に分かれていて、
 一部展示品の入れ替えが行われます。

 アート好きさん&着物好きな方々に
 おすすめのこの特別展では、
 講演会『ゆかたの文化史』や
 学芸員さんによる展示解説など
 イベントも予定されていますので、
 お出掛け前に美術館HPをご参照くださいな。

 
 

    では、ここでオマケ画像も、はいっ!
   
    『ロッテ』さんの新作
    《パイの実 クレームブリュレ》は、
    「ひやしましょゥ!」
    「ぐるるるるる!」(←訳:冷やさないと!)
    おやつも飲料も、
    キーンと冷やしてからいただきたい
    7月最後の週末です。
    皆さま、どうか穏やかな休日を♫



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― 静かなルネサンス ―

2019-07-26 22:33:44 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 いきなりのォ、たいふうゥ~?!」
「がるる!ぐるがる~?」(←訳:虎です!なぜいま~?)

 こんにちは、ネーさです。
 全国的に花火大会が集中する週末に荒天?!?
 がっかりしているチビっ子ちゃんたちも、
 急な出来事に大忙しの大人さんたちも、
 とにかく風水害に御用心くださいね。
 お家の戸締り確認をしっかり完了したら、
 さあ、読書タイムです。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  


 
          ―― 十八世紀京都画壇 ――



 著者は辻惟雄(つじ・のぶお)さん、2019年2月に発行されました。
 『蕭白、若冲、応挙たちの世界』と副題が付されています。

「あはァ! じゃくちゅうゥさんにィ、おうきょさんッ!」
「ぐるーがるるるぐる!」(←訳:スター画家さんだね!)

 伊藤若冲さん、
 曽我蕭白さん、
 長沢芦雪さん……

 21世紀の現在、ア-ト好きな方々には
 もはや説明の必要など全くない、
 日本美術界の大スターさんたちですが、
 スターをスターたらしめたのは
 いったい誰かというと、
 それは著者・辻さんを措いて他にありません。

 1970年に出版された辻さんの著書
 『奇想の系譜』は、
 アート評論ジャンルに於いて
 はじめはじわじわと、
 時を経るにつれて巨大な反響を世にもたらしました。

 実際、『奇想の系譜』以前と以後では――

「かいがのォ、かんしょうゥほうほうゥ!」
「がっるるるるる!」(←訳:違ってきました!)

 教科書に載っている“見本”的な絵画から離れ、
 “異端”“異風”と呼ばれはしても、
 想像力と創造力がほとばしるような
 “自在”な画師たちの“自由”な作品へ。

 若冲さんや蕭白さんの再評価につながった
 『奇想の系譜』に始まり、
 『奇想の図譜』
 『奇想の発見―ある美術史家の回想―』
 『熱闘!日本美術史』などなど、
 辻さんは江戸絵画に関する作品を
 多数著しておられます。

 そして、この『十八世紀京都画壇』では
 『奇想の系譜』では描き切れなかった
 画師さんたちのパーソナルな面が
 大きなテーマになっている、
 と言えましょうか。

「にんげんッもようゥ!」
「ぐ~るがる!」(←訳:強~い個性!)

 本文は、

 第一章《十八世紀京都画壇総論》
 第二章《日本文人画の成立》
 第三章《池大雅》
 第四章《与謝蕪村》
 第五章《応挙と円山派》
 第六章《伊藤若冲》
 第七章《長沢芦雪》
 第八章《曽我蕭白》

 という8つの章から構成されていますが、
 私ネーさが繰り返し読んだのは、
 長沢芦雪(ながさわ・ろせつ)さんについて書かれた
 第八章でした。

 46歳の、
 画家として長くはない生涯に、
 芦雪さんは何を見、
 どう生きたのか。
 師の応挙さんと異なる点とは何か。

「ながいきィしてほしかッたでスゥ!」
「がるぐるがるるるぅ!」(←訳:虎の襖絵好きだよぅ!)

 18世紀の、京の町に
 ぽっかり生まれた
 《小さなルネサンス》。

 いやいや小さくないぞ!
 けっこう大きいぞ!
 と呟きたくなるアートブックは、
 美術評論好きな方々、
 歴史好きな活字マニアさんにおすすめです。
 夏休みの読書タイムに、
 ぜひ、一読を♪
 

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― オリオンのはてまでも ―

2019-07-25 23:22:38 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 あさからァ、しょッくゥ、なのでスゥ~…」
「がるる!ぐるるるぅ~…」(←訳:虎です!寂しいよぅ~…)

 こんにちは、ネーさです。
 俳優ルトガー・ハウアーさんが亡くなったとの報せに、
 朝から心がザワザワしております。
 そこで本日の読書タイムは予定を急遽変更し、
 こちらの御本を、さあ、どうぞ~!

  


 
        ―― SF大クロニクル ――



 編者はガイ・ヘイリーさん、
 原著は2014年に、画像の日本語版は2016年2月に発行されました。
 英語原題は『Sci-Fi Chronicles』、
 『クロニクル(年代記)』と題名にありますが、
 これは、どちらかというと……事典に近いかしら?

「おもいィでスゥ!」
「ぐるる~!」(←訳:分厚い~!)

 御本巻末の『日本語版監修者あとがき』に、
 監修者の北島明弘さんはこう書いています。

   《年代順に
    SF史における重要な書籍・雑誌、
    映画・テレビ、人物をピックアップして、
    詳しく紹介してあり、
    いわば事典と年代記のいいとこどり
    といった構成になっている。》

 そして、“いいとこどり”の内容は、というと、
 英国のライターさんたちが分担して
 本文の各項目を執筆しているせいか、
 英国ならではのSFコンテンツがちらほらと。

「さんだーばーどォ!」
「がるぐっるるるるがるる!」(←訳:銀河ヒッチハイクガイド!)
「あれれェ? でもォ!」
「ぐるるがるるぐる!」(←訳:日本のものもある!)

 そうなのよね、
 驚かされることに、

 《円谷英二》
 《鉄腕アトム/アストロボーイ》
 《時をかける少女》
 《宇宙戦艦ヤマト》
 《風の谷のナウシカ》
 《AKIRA》
 《攻殻機動隊》
 《新世紀エヴァンゲリオン》

 などの日本の作家さんや作品が
 文章と図版資料できっちり解説されています。
 特に《攻殻機動隊》と士郎正宗さんに関する評価は高くて、

  《『攻殻機動隊』が現代のSFに与えた影響を
   計ることは難しい。
   影響を受けた作品が多すぎるためだ。》

 とまで言い切っちゃってるんです。

「そッ、そうなのォでスかッ??」
「がるるぐるっるがるるるる?」(←訳:日本のSFってスゴイんだ?)

 20世紀後半から現代、
 世界のSF文学&アートのメインストリームを形成してきたのは
 英米と日本だったのかしら、と
 私ネーさ、考え込んでしまいましたが、
 まあそこらへんは後回しにして、
 『攻殻機動隊』の話題に戻りますと、
 士郎正宗さん、
 『AKIRA』の大友克洋さんたちに
 影響を与えたSF作品といえば。

「それはァ、もうゥッ!」
「ぐるーるがるるー!」(←訳:ブレードランナー!)

 ああ、やっと辿り着きました。
 そうです、1982年の6月の公開当時、
 興行成績はパッとしなかったものの、
 いまではSF映画の金字塔とされる
 『Blade Runner』。

 主演としてクレジットされているのは、
 ハリソン・フォードさん。
 ですけれども、
 フォードさんを喰ってしまうほどの怪演をみせたのは
 ルトガー・ハウアーさんでした。

「いちどォみたらァ~!」
「がるるぐるるる!」(←訳:絶対に忘れない!)

 この御本には、
 『ブレードランナー』の他にも、
 監督のリドリー・スコットさん、
 スコットさんの代表作《エイリアン》シリーズなど
 『ブレードランナに』につながる事々が
 取り上げられています。
 
 それらの中で、
 ホロリとさせられるのは
 『ブレードランナー』原作者であるSF作家
 フィリップ・K・ディックさんのエピソードでしょうか。

 実際のところ、ディックさん、
 こころよく思っていなかったんです、
 映画『ブレードランナー』の脚本を。

 原作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』と
 ストーリーが違い過ぎる!
 こんな改変ゆるせない!

 そう公言していたのですけれど、
 製作チームが完成した特殊効果映像を見せると、
 怒りを鎮め、
 映画の公開を待ち望むようになったのだとか。

「うむうむゥ~!」
「ぐるるるる!」(←訳:そうだよね!)

 しかし、
 公開3ヵ月前の、1982年3月2日。
 ディックさんの生命の灯もまた
 燃え尽きたのでした。
 
 もしもディックさんが生きていたなら、
 どう感じたことでしょうか。
 白い鳩を抱いて黄泉へ旅立つレプリカントの言葉を。
 折り紙の小さなユニコーンの残像を。

「ことしはァ、ちょうどォ!」
「がるーるぐるるーるる!」(←訳:ブレードランナーの年!)

 1818年発表の『フランケンシュタイン』から、
 2009年の『アバター』まで――

 SFの歴史を俯瞰する事典/年代記は、
 小説好きな御方に、
 SF映画マニアさんにもおすすめですよ。
 名優ハウアーさんを偲びつつ、
 ぜひ、一読してみてくださいね。

 

 
 
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~ ふんわり、ほんわかな描法で ~

2019-07-24 21:52:00 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 けッせんはァ~あるぷすゥ!」
「がるる!ぐるがるるる~!」(←訳:虎です!いざ真剣勝負~!)

 こんにちは、ネーさです。
 《ツール・ド・フランス2019》は2回目の休養日を経て、
 アルプスでの山岳ステージに入ります♪
 山を制し、坂を制して王座を掴むのは、はたして……?
 気温37℃超の南フランスへ
 熱~い視線を送りながら、
 さあ、本日は読書……をサボり、
 こちらの展覧会情報を、どうぞ~!
 
  


 
         ―― 日本の素朴絵 ――



 東京・中央区日本橋の三井記念美術館にて、
 会期は2019年7月6日~9月1日
 (月曜休館、ただし7/15と8/12は開館して7/16は休館)、
 『Soboku-e:Japanese Innocent Paintings through the Ages』
 と英語題名が、
 『――ゆるい、かわいい、たのしい美術――』と日本語副題が付されています。

「ゆるゥ~くてェ?」
「ぐるるる?」(←訳:ほわほわ?)

  

 縦に長~いデザインの、
 おしゃれ&キュートなチラシ(フライヤー)を彩るのは、
 落書き……ではもちろんありません。

 正確で細密な描写!
 狂いのないデッサンと遠近法!
 なんていう要素とは縁もゆかりもないけれど、
 どうしてなのか、
 日本ではこの“ゆるい”絵画が
 昔むかしから愛され、
 大切にされてきました。

「だッてェ~」
「がるるぐる!」(←訳:可愛いもん!)
 
  

 この展覧会では、
 不思議な味わいがある
 “ゆるい”画風の作品を
 《素朴絵》と表現し、
 様々な時代・形式の素朴絵が展示されます。

 ↑上の画像は、
 『かみ代物語絵巻』(室町時代)と、
 『釈迦誕生仏立像』(白鳳時代)。

 ↓下の画像は、
 『大津絵 猫と鼠』(江戸時代)です。

  
 
「あれれッ??」
「ぐるがるるぅるるる??」(←訳:これボクじゃないの??)
「とらはァ、とらァでもォ~」
「がるっるぐる?」(←訳:虎猫ってこと?)

 えへん、まあその、
 日本画ってリアリズム重視の絵画じゃありませんので、
 こういうのもアリなのね。
 他にも、
 『かるかや』(室町時代)、
 仙厓さん作『曲馬図』、
 南天棒さん作『雲水托鉢図』(大正時代)、
 『つきしま絵巻』(室町時代)など、
 傑作怪作素朴絵の数々に
 うふふ~♪と頬もゆるみます。

「なつばてェ、かいしょうゥにィ~!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:ゆるかわ鑑賞を!)

 のんびりのほほん♫な素朴絵の特別展へ、
 アート好きな皆さま、
 ぜひ、お出掛けを。

 



    では、ここでオマケ画像も、じゃじゃん!
   
    『シャトレーゼ』さんの
    《プレミアムプリン 山梨県産白桃》は……
    「うむッ!おいしィ~♪♫」
    「がるるる!」(←訳:おかわり!)
    ムースに似た食感のプリン生地が美味しゅうございます。
    おすすめですよ♫
    

  
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味わい揺れる、27篇。

2019-07-23 22:57:04 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 わわわうゥ! かッかみなりィ~がッ!」
「がるる!ぐるがるるる!」(←訳:虎です!稲光こわいよ!)

 こんにちは、ネーさです。
 梅雨明け間近?のためか
 いっそう不安定な空模様となっているようです。
 雨が吹き込まぬよう、戸締まりをしっかり確認したら、
 さあ、読書タイムですよ♪
 本日は、こちらの御本をどうぞ~!

  


 
          ―― 忘れない味 ――



 編著者は平松洋子(ひらまつ・ようこ)さん、
 2019年3月に発行されました。
 『《食べる》をめぐる27篇』と副題が付されています。

「えッせいィ~でスかァ?」
「ぐぅるるぅるがる?」(←訳:フィクションかも?)

 ええ、私ネーさ、
 エッセイ集かな?と手に取ったのですが、
 ページを捲れば、
 エッセイあり、
 フィクション(らしきもの?)あり、
 詩歌あり、
 漫画あり、
 回想記(つまりノンフィクション)あり、
 と内容はバラエティに富んでいます。

「ふむふむッ? どれからァ、よもうかなァ~??」
「がるぐるがるる?」(←訳:最初から順番に?)

 そうですねえ、
 収録順に27篇を読み進めてゆくのもいいし、
 目次をチェックして、
 好きな作家さんの作品から
 気ままに読んでゆくのもいいでしょう。
 けれど。

 ちょっと“変則的”な読みかたもいいかもしれませんよ?

「へんそくてきィ??」
「ぐぅるがるるるぐるる?」(←訳:じゃあどこから読むの?)

 それは、巻末の
 『解説』から。

 編者である平松さんはこの『解説』で、
 作品27篇について
 解説文……というか、
 紹介文を著しています。

 このね、紹介文それぞれが、
 見事にツボを突いていて、
 大いに読書欲を沸騰させてくれちゃうんです♫

「まるでェ、とうだいィのォ、ひかりィ!」
「がるぐるがるるるるるるる!」(←訳:暗い海を照らしてくれるよ!)

 平松さんの『あとがき』を先ず読み、
 これは面白そうだぞ、と
 脳内のアンテナにピピッ!と来たら、
 はい、まっしぐらにその作品のページへ
 飛んでみましょう。

 私ネーさのピピッ!は、
 84ページの
 鏑木清方さん著『胡瓜(きゅうり)』
 でしたよ。

「うむゥ? かぶらきィさんッ?」
「ぐるるるる!」(←訳:画家さんだ!)

 平松さんは鏑木さんについて、

 《明治期から昭和期にかけて
  日本画家として多くの作品を手がけるのだが、
  かたわら文章もよくした。》

 と『解説』しています。
 当時は盛んに読まれたであろう、
 しかし現在では入手が容易ではなくなってしまった名文を
 この御本で読めるのは、
 とても嬉しいことですね。
 
「テディちゃ、こみッくゥ、すきでス~!」
「がるぐるるるるるがる!」(←訳:ボク伸坊さんのがいい!)

 益田ミリさんのコミック作品
 『会社では、なんだか宙ぶらりん』、
 そして
 土用の丑の日が近付く今の季節にぴったりな
 南伸坊さん著『うな重はコマル』、
 どちらも楽しい作品ですが、
 鰻重大好きな皆さま、
 南さんの作品を出発点にして
 《食べる》おはなし27篇の世界を
 ぜひ、ゆっくり、のんびり、旅してみてくださいな。
 おすすめです~!
 
 
 

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~ 白と黒の、高い門 ~

2019-07-22 23:19:41 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 いつのまにィかァ、なつやすみィ~??」
「がるる!ぐるがるぐるる~!」(←訳:虎です!まだ梅雨なのに~!)

 こんにちは、ネーさです。
 7月後半になってチビっ子たちも夏休み突入!のはずが、
 今日の多摩地域は空気ひんやり、
 濃霧で景色はぼんやり……
 ならば、本日の読書タイムは
 こんなお天気によく似合いそうな一冊を、
 さあ、どうぞ~♪

  


 
        ―― 黒澤明の羅生門 ――



 著者はポール・アンドラさん、原著は2016年に、
 画像の日本語版は2019年5月に発行されました。
 英語原題は『KOROSAWA'S RASHOMON』、
 『フィルムに籠めた告白と鎮魂』と日本語副題が付されています。

「めいさくゥでスねッ!」
「ぐるるるるがるるぐるる!」(←訳:日本映画の大傑作だよう!)

 映画『羅生門』――
 言うまでもありません、
 黒澤明さんの代表作のひとつ、ですね。
 1951年、ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、
 黒澤さんの令名は一気に世界へと広がり、
 また、日本映画が国際的に注目される契機となった作品です。

 『羅生門(RASHOMON)』は、
 英語読みだと『らしょうもん』、
 イタリア語読みだと『らじょうもん』となって、
 この響きがとてもミステリアスで魅了されたのだと、
 フェデリコ・フェリーニ監督が
 かつてインタビューで述べていましたが。

 ここにも、
 『RASHOMON』に魅せられた映画人さんが、ひとり。

「めんみつゥにィ、ぶんせきィ~!」
「がるぐるるる!」(←訳:徹底してます!)

 現在はコロンビア大学の教授である著者・アンドラさんの専攻は、
 日本文学、映画、批評、アジアの人文科学。
 
 この御本は、
 『羅生門』をテーマにしての映画研究本……
 とは、ちょっと違って。

 映画『羅生門』を入り口に、
 黒澤明さんを論ずる《クロサワ論》
 というべきでしょうか。

「かぎにィなるゥのはァ、しょうねんじだいィ?」
「ぐるるるるがるるる!」(←訳:お兄さんがいたんだ!)

 著者・アンドラさんは
 黒澤さんの『蝦蟇の油――自伝のようなもの』
 を読み込み、
 他にも多くの資料にあたって、
 黒澤少年の心を占めた兄との関係、
 その後の人生への影響の深さを検証してゆきます。

 サイレント映画の弁士さんをしていた兄。

 黒澤さんが映画を撮っていた時期、
 既にサイレントは過去のものとなっていましたが、
 黒澤さんのフィルムの中には、
 『羅生門』の映像には、
 サイレント映画の要素が確かに存在する。

 白と黒の、あの画面は、
 兄にふり回された少年時代の記憶の残像……?

「いつもォ、こころのォどこかにィ~…」
「がるるるる……?」(←訳:お兄さんが……?)

 『羅生門』だけでなく、
 『生きる』を、
 『七人の侍』を、
 アンドラさんは解析してゆきます。

 黒澤明さんを動かし、
 映画を創らせた原動力とは何であったのか。

「しらなかッたことォ、いろいろあッたでス!」
「ぐるるがるる!」(←訳:新発見でした!)

 黒澤さんが、
 映画にしなかったことをもっとも後悔したとされるのは
 『平家物語』――

 と本文66ページに書かれていて、
 私ネーさ、唸りました。
 ああ、そうかぁ、
 黒澤さんは『平家物語』を撮りたかったのかぁ……
 もし作っていたとしたら、
 配役はどうなっていたでしょう?
 『平家物語』のどのエピソードが中心になるの?
 平家と源家、どちらの視点で描くの?

「ぎもんッ、つきませんッ!」
「がるぐるぅるる!」(←訳:想像しちゃうね!)

 御本の冒頭には、
 チャン・イーモウさんによる
 『序文 闇の中の光』
 が収録されています。

 この文章が素晴らしいので、
 どうか映画マニアの皆さま、
 しっかり序文を読んでから
 本文に取り掛かってくださいね。
 訳者・北村匡平さんによる『訳者あとがき』も
 必読ですので、ぜひ~♪
 
 
 
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