テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

《誕生》の、一歩一歩。

2018-01-18 22:15:49 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふわわァ~! ぜんぽうゥちゅういィでスゥ!」
「がるる!ぐるがる~!」(←訳:虎です!濃霧だよ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 今朝の東京・多摩地域は濃い霧に包まれ、思わず、
 19世紀のロンドンってこんな感じ?と
 目を凝らしてしまいましたよ。
 そして、本日の読書タイムも……
 霧の中からゆっくり姿を現す巨象のような、
 こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  



            ―― The Pen ――



 著者は池田学(いけだ・まなぶ)さん、2017年1月に発行されました。
 2017年、佐賀県立美術館・金沢21世紀美術館・日本橋高島屋を巡回した
 『池田学展 The Pen ――凝縮の宇宙――』の
 公式図録でもある画集です。

「ふわゥッ! おおものォでス!」
「ぐるる~!」(←訳:四角い~!)

 ↑上の画像からもお分かりでしょうけれど、
 縦横ともにほぼ30㎝、
 と一般的な展覧会図録よりも
 ひとまわり大きめサイズの御本は、
 まず、印刷がガンバってます。

 大判の絵画を撮影して図版に、というのは
 簡単そうでいて、実はとても難しい……
 
 なんてことを微塵も思わせず、
 展覧会の目玉でもあった著者・池田さんの最新作
 『誕生│Rebirth』(2013~2016)、
 その美しさ、
 画面から放たれる底知れぬチカラ、
 光と闇を写し取りました。

「なんというゥせかいィ!」
「がるるぐるるがるぐるるる!」(←訳:二次元なのに立体みたいだ!)

 御本の冒頭部分には、
 『誕生│Ribirth』の全景(全図というべきでしょうか)、
 そして部分図が掲げられ、
 巻末近くでは
 《『誕生』制作過程│The Making of Rebirth》
 と題された
 “生まれつつある『誕生』”の記録が収録されています。

「びじゅつかんッでのォ~!」
「ぐるがる!」(←訳:公開制作!)

 自室を出て、外へ。
 しかも、そこは
 米国ウィスコンシン州・チェゼン美術館のスタジオ。

 毎日、午後の一時間、一般に公開されるスタジオで、
 池田さんは描くのです。

 300.0×400.0㎝の紙に、
 ペン、インク、透明水彩。

「きのォとおくなるゥような~…」
「がるるぐる……!」(←訳:遠大な道程……!)

 池田さん御自身による制作の記録
 『マディソン日記』から抜粋された文章も添えられたこのパートは
 見応えも、読み応えも、ずっしり、ずしん!

「ながいィたびィでしたでス!」
「ぐるがるるるぐるる!」(←訳:実り豊かな旅でした!)

 また、この図録には、
 『誕生│Rebirth』以外の池田さんの作品も
 収録されています。

 大型の作品、小型の作品、
 どれも素晴らしい中で、
 私ネーさが大々好きなのは
 『ブッダ Buddha』(2000年)、
 『存在 Existence』(2004年)……
 いえ、『方舟 Ark』(2005年)も、
 『興亡史』や
 動物を描いた連作もステキなのよね~♪

「つまりィ~…」
「がるぐる!」(←訳:全部好き!)

 書店さんのアートブックコーナーでは
 おそらく一際目を惹いているに違いないこの御本、
 どうか皆さま、
 手に取ってページをめくり、
 池田さんのペンの息吹を、
 その宇宙を、
 感じ取り、読み取ってみてくださいね。
 アート好きさんに限らず、
 全活字マニアさんに、おすすめです!
 
 
   
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いつまでも、瞼に。

2018-01-16 22:06:59 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 なんともォ~からふるゥ、なのでス!」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!春の色だね!)

 こんにちは、ネーさです。
 花屋さんのウィンドウに、
 ピンク、オレンジ、紫、レモン……と並んでいたのは、
 フリージア&スイートピー♪
 明るい春の色から元気をわけてもらった今日は、
 さあ、またあの作家さんに御登場いただきましょう。
 こちらを、どうぞ~!

  



          ―― いちまいの絵 ――



 著者は原田マハさん、2017年6月に発行されました。
 『生きているうちに見るべき名画』と副題が付されています。

 前々回記事では、
 原田さんのフィクション作品『たゆたえど沈まず』を御紹介しましたが、
 こちらはアート評論ジャンルのノンフィクション作品、
 ということになりましょうか。

「こころにィ、ひめたァ~…」
「ぐるがる!」(←訳:我が一枚!)

 アート好きさんなら、こころのうちに
 持っているに違いありません。
 この絵が、もう好きで好きで。
 大好きで!という一枚を。

 いえ、ことさらアート好きと自認していない御方も、
 好きな絵っていえばこれだよな♪
 という一枚がおありでしょう。

「ありィまァ~ス!」
「がるぐるぅ!」(←訳:あるあるゥ!)

 そういった《アートあるある》に、
 かつては美術館に勤務した経験を持ち、
 現在はア-ト小説の名手として知られる
 著者・原田さんが挑んだなら。

 はたして、
 選ばれる“我が一枚”とは?

 誰もが知る名作なんでしょうか?

 玄人ごのみの隠れた逸品なんでしょうか?

「ここにはァ、えェ~とォ?」
「ぐるる~!」(←訳:26枚~!)

 原田さんのこころを打った、
 26の作品。

 御本の本文部分は文章のみ、挿絵もないのですけれど、
 冒頭にはカラー口絵が収録されていて、
 原田さんが選んだ作品の図版を見ることが出来ます。

 副題に『生きているうちに見るべき名画』とある通り、
 殆どの作品が
 美術館の公式カタログで最も目立つ場所に掲載されるような、
 あるいは美術の教科書に載っているような、
 メジャーな名作ではありますが。

 作品に向ける原田さんの目線は優しく、あたたかく、
 静かな、しかし、
 ずっしりと重い感動に満ちています。

 《この一枚》が、
 ここにある――自分の眼の前にある、という奇跡。

 この絵がここにくるまでの、長い長い道のり。

 そしてまた、
 自分がここで、こうして
 絵と相対していることも、
 奇跡としかいいようがない。

「しょうせつゥ、みたいィでスねッ!」
「がるぐぅるるぅるがるるるる!」(←訳:ノンフィクションなんだけど!)

 『一枚目』として取り上げられているのは、
 パブロ・ピカソさん作
 『アヴィニヨンの女たち』。

 20世紀の“節目の一枚”であった『アヴィニヨンの女たち』から、
 さて、原田さんの眼はどこへ向かうのでしょう?

 二枚目、三枚目と続く『見るべき名画』は
 いったい誰の、なんという作品か?

「なるほどォ~だッたりィ?」
「ぐるがっるる!」(←訳:意外だったり!)

 瞼を閉じれば、
 そこに浮び上がる、私の一枚。

 アート好きさんも
 歴史好きさんをも共感させる快作、
 ぜひのおすすめです♪
   
 
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怪異をつづれば。

2018-01-15 22:10:32 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ほうていィどらまもォ~おもしろいィでス!」
「がるる!ぐるぅるがる!」(←訳:虎です!ダジャレもね!)

 こんにちは、ネーさです。
 ええ、日曜夜の新ドラマ初回もその面白さに拍手しましたよ。
 シュールなダジャレと脇役さんたちの奮闘につられ、
 次回の放送を首を長くして待ちながら、
 さあ、読書タイムも奮闘してみましょう♪
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~! 

  



    ―― H.P.LOVECRAFT H・P・ラヴクラフト ――



 著者はミシェル・ウエルベックさん、
 原著(底本)は2015年に、日本語版は2017年11月に発行されました。
 仏語原題は『H.P.LOVECRAFT:Contre le monde,contre la vie』、
 『世界と人生に抗って』と日本語副題が付されています。

 SFやファンタジー好きな活字マニアさんは、
 きっと耳にしたことは、
 いえ、きっと読んだことがあるに違いない
 《クトゥルフ神話》の創始者、
 ハワード・フィリップス・ラヴクラフトさん(1890~1937)。

 この御本は、ラブクラフトさんについての
 評伝エッセイ作品、
 と言ったらいいんでしょうか――

「テディちゃ、しッてまスゥ!
 こわァ~いィおはなしィ、なのでスよゥ!」
「ぐるーがるる!」(←訳:ホラーだよね!)

 ホラーなのか、怪奇小説なのか。
 或いは、コズミック・ホラー(宇宙的ホラー)とも形容される、
 その作品群の作者さんを。

   現代ホラーの父。

 と呼んでも、異論はありませんでしょう。

「こわいィだけじゃなくてェ~」
「がるるぐる!」(←訳:不思議千万!)

 怪異と不思議に満ちたラヴクラフトさんの
 《クトゥルフ神話》
 (クトルゥルーとも表記されます)。

 その神話世界の成り立ちを、
 著者・ウエルベックさんは考察します。

 細長い顔立ちの、
 不器用で、人見知りで、鬱屈を抱え、
 時に自分の古い家系に圧し潰されかけつつも、
 ただひとり、
 “物語る”道を歩んだ若者。
 
 真のジェントルマンでありながら、
 それともジェントルマンであるがゆえに、
 生涯、彼が見続けたもの……。

「さみしィ、うちゅうゥ?」
「ぐるるるるがるー?」(←訳:黄昏どきのホラー?)
 
 前半は“ラヴクラフト作品論”と
 それにラヴクラフトさんが生きた時代の様相が描かれていますが、
 御本後半の伝記の部分は
 読み手の感情を深く揺さぶります。
 
 また、冒頭には
 スティーヴン・キングさんの序文が収録されていて、
 これも素晴らしい“ラブクラフトと僕”論になっています。

「ちからァ、はいッてまス!」
「がるる!」(←訳:筆力が!)

 ホラー好きさんに、
 近代文学史好きさんに、
 そしてS・キングさんのファンの方々にも
 おすすめしたい一冊です。
 本屋さんで、図書館で、
 ぜひ、探してみてくださいね~♪



 
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揺れども、沈むことなく。

2018-01-14 22:13:54 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでスゥ!
 しんさくゥどらまァ、はなざかりィ~♪」
「がるる!ぐるるがっるるぅ!」(←訳:虎です!チカラ入ってるぅ!)

 こんにちは、ネーさです。
 お正月気分が抜けて、各TV局は次々と
 新作ドラマをオンエアし始めました。
 先日放送された『アンナチュラル』は面白かったわ♪
 今週も新ドラの初回放送を楽しみにしながら、
 さあ、読書タイムもガンバります。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  



         ―― たゆたえど沈まず ――



 著者は原田マハさん、2017年10月に発行されました。
 『FLUCTUAT NEC MERGITUR』とラテン語題名が付されています。

「らッ、らてんごッ??」
「ぐぅ~…がるるる~…」(←訳:はぁ~…ラテン語~…)

 私たち日本人にとっては
 ラテン語ってあまり馴染みがない言葉です。
 でも、ヨーロッパの人々にとっては
 生まれながらに接し、目にしている言語です。
 
 『FLUCTAUT NEC MERGITUR』は
 特にフランスの人には知られている言葉で、
 フランス語に訳すと
 『Il tangue mais ne coule pas』――
 日本語では、
 『揺れはするが、沈没はしない』。

 パリ市が標語としている言葉です。

「ぱりィのォ?」
「がるるぅ!」(←訳:標語かぁ!)

 そう、この物語の主役は、
 パリ――
 或いは、つかの間といえど、
 パリという街につどい、もがき、
 夢を見、生きた人びと、と言うべきでしょうか。

 その人びとのうちの、ひとり。

 そのひとりは、
 現代、この上なく偉大なアーティストとして
 世界中に知られています。

 フィンセント・ファン・ゴッホさん。

「あァ!そうでしたでス!」
「ぐっるるるるがるるるる!」(←訳:ゴッホさんも住んだんだ!)
「ぱりィにィ!」

 御本の表紙を飾っているのは、
 『星月夜』。

 ゴッホさんの代表作の一つとされる
 夜空と糸杉を描いたこの作品は、
 もちろん、一目で分かります。

 パリの風景ではない、と。

「みなみィでスよねッ!」
「がるるるるる!」(←訳:南フランスだ!)

 『星月夜』に行き着くまでに、
 ゴッホさんはどんな風景を目にしたのか。
 パリで、何を、どんな思いで目にしていたのか。

 いま、多くの人が識っています。

 そこに、浮世絵があった、と。

「ごッほさんはァ、にほんッだいすきィ~!」
「ぐるるるるがるるるるる!」(←訳:日本美術に惚れてました!)

 パリの街に、
 ゴッホさんと日本の美術をつなぐ
 日本人がいました。

 日本美術の販売と紹介を専門とする
 林忠正(はやし・ただまさ)さん。

 林さんとゴッホさんのつながりが、
 ゴッホさんの運命を、
 いえ、現代美術の運命を変えてゆきます。
 
 その“嵐のような”パリでの日々のものがたりを、
 アート好きな活字マニアさんは、ぜひ!

「ごッほさんッ、すきなァおかたもォ!」
「がるるぐる!」(←訳:一読をぜひ!)
 
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いかなる宝玉も…?

2018-01-12 22:04:24 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 さくらさくよッきッとかッとォ!」
「がるる!ぐっる!」(←訳:虎です!トッパ!)

 こんにちは、ネーさです。
 合格を祈願するお菓子を目にする機会が増えてますね。
 コーヒーチェーン店の『ドトール』さんでは
 『ド通る』というスペシャルブレンドも発売されたとか♪
 受験生さんへ今日もエールを送りながら、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  



    ―― 名画で読み解く イギリス王家 12の物語 ――



 著者は中野京子(なかの・きょうこ)さん、2017年10月に発行されました。
 2017年後半の美術界で話題をさらった
 《怖い絵展》――
 上野の森にできた長い行列は
 TVのニュースなどでも盛んに報道されていましたよね。

「そうぞうをォこえてェ、だいにんきィ!」
「ぐるるがるるぐる!」(←訳:寒波に負けぬ熱気!)

 そんな《怖い絵展》の
 “看板作”ともいえる作品が、
 この御本の第2章で論じられています。

 表紙にもなっている、
 ポール・ドラローシュさん作
 『レディ・ジェーン・グレイの処刑』。

 たった16歳と4ヵ月で。

 その若さで、
 ロンドン塔に送られ、
 命を失わなければならなかったのは、
 何故なのか。

「りゆうゥはァ……はんぎゃくゥざいィ!」
「がるるるるるぐる!」(←訳:信じられないけど!)

 16際の女の子に
 王座を簒奪(さんだつ)できるほどの知略があるでしょうか?

 おそらくは、なかった。

 なのに、気が付けば、いつの間にか、
 隣に処刑執行人が立っている。

 こんな“怖い”状況が生まれた、
 その背景とは?

「いりくんでェまスよゥ!」
「ぐるるるるっるるぅ!」(←訳:こんがらがってるぅ!)

 日本史でも、
 権力の代替わりや移行がものすごーく入り組んで複雑で、
 という時代がありますね。
 鎌倉、南北朝、室町期に似た混乱を
 英国に探すとすれば、それはこの、
 レディ・ジェーンが生きたチューダー朝とその前後、
 かもしれません。

 著者・中野さんは、
 シェイクスピアさんの戯曲で有名なリチャード三世の時代から、
 20世紀のウィンザー家の時代まで、
 王冠と権力の変遷を緻密に辿り、描写します。

 権力者たちの肖像を足がかりに。

「ごうかなァ、いしょうがァ~…」
「がぅっるぐるるぅ!」(←訳:かえって怖いよぅ!)

 収録されている図版は、
 サイズは小さいのですけれど、
 すべてカラーで、
 ドレスの豪奢なこと、
 宝石の見事なことも
 読み手の私たちに伝わってきます。

 そして、
 どんな高価な宝石も衣装も、
 彼ら/彼女らに
 幸福な王座を約束してはくれなかったことも。

「それがァ、れきしィ!」
「ぐるがるる!」(←訳:万国共通の!)

 肖像画好きなアート好きさんに、
 歴史好きな御方に、
 《怖い絵展》の思い出に浸りたい方々にも
 おすすめの新書ノンフィクション、
 皆さま、ぜひ、一読を♪
 
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はるばると、会いに行く。

2018-01-11 22:12:26 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふたたびィ、たんじょうゥでスゥ!」
「がるる!ぐるるるがるるぐる!」(←訳:虎です!お帰りアイボくん!)

 こんにちは、ネーさです。
 1月11日と1が並んだ今日は、
 新アイボくんの帰還に拍手を送りながらの読書タイムですよ♪
 さあ、本日は、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~!

  



      ―― 《国境なき医師団》を見に行く ――



 著者は いとうせいこう さん、2017年11月に発行されました。
 『Report of Medecins Sans Frontieres』と
 英仏混合の題名も付されています。

 『Medecins Sans Frontieres』とはフランス語で、
 略して『MSF』――
 『国境なき医師団』のことです。

「うむゥ? おなまえはァ、ぞんじあげてェいまスゥけどォ~…」
「ぐるるる……」(←訳:詳しくは……)

 そうね、
 『国境なき医師団』は、文字通り、
 地域や国境を超えて組織された医療技術者さんの集団……らしい、
 とは、新聞や雑誌、ニュース等で聞き知っていますけど、
 どのような活動・行動をしているか、などの
 詳細な部分を、私たちは知りません。

 著者・いとうさんもまた、
 『国境なき医師団』についての
 特別な知識を持っっていた訳ではなかった、のですが。

「あるひィ、しゅざいィがァきましたでス!」
「がるるるるる!」(←訳:いとうさんに!)

 そもそもは、真逆だったのです。

 『国境なき医師団』さんの方が、
 いとうさんに興味を持ち、取材を始めたところ、
 団の活動が多岐に渡っていること、
 そのことがあまりにも外部に伝わっていない、と感じたいとうさんは、
 その場で逆取材の申し込みをしました。

   現場を見せてもらって、
   原稿を書いて広めたい。

「ふわゥ! おもいィきりましたでスゥ!」
「ぐるる!」(←訳:大胆だ!)

 かくして、いとうさんは
 我が身をかえりみず
 世界の危険地帯、紛争地帯へ直撃取材する事態に……
 なんてことはありません。

 いとうさんは、そして私たち読み手も、
 ここで知ります。

 『国境なき医師団』の活動地域は、
 必ずしも危険な地域や、
 戦争中の国でばかり行われているのではないという事実を。

 いえ、もちろん、
 外務省が渡航には適さないと指定しているような場所で
 医師団の方々は活動しているのですけれども、
 その他にも、
 一見平和そうな、
 内乱や病禍とは縁がなさそうな地域でも
 医師団は行動しているのです。

「びッくりィしたのでス!」
「がるぐるる……!」(←訳:衝撃でした……!)

 まずは、いとうさん、
 2016年3月、ハイチへ向かいました。

 そして同年7月には、ギリシャへ。

 同年11月には、フィリピンへ。

 年が変わって2017年の4月には、ウガンダへ。

「せかいじゅうゥ、なのでス……」
「ぐるるるがるるぐるるる!」(←訳:世界中で必要とされてる!)

 『国境なき医師団』が、なぜ、必要とされているのか。

 どんな人びとが彼らを必要としているのか、
 どんな理由で、
 どんな場所で。

 いとうさんはそれを、丁寧に、心をこめて綴ります。

 見てきた事ごとのすべてを。

「いまごろォ、かれらはァ~…」
「がるるるるぐるる……?」(←訳:どうしてるだろう……?)

 いとうさんが何を見、何に出会ったか。

 その詳細を、思いのたけを、
 どうか皆さま、
 御自身の目で、ぜひ!

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是か非か?の話題作を!

2018-01-09 22:06:27 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでッス!
 ふわゥ~…おやすみィがァ~…」
「がるる!ぐるっるぅっるるぅ~…」(←訳:虎です!終わっちゃったねぇ~…)

 こんにちは、ネーさです。
 そうねえ、お正月のお休みも祝日のお休みも過ぎて、
 通常モードに復帰する今日からの読書タイムは、
 私ネーさを迷わせ困らせた怪作に登場いただきましょう。
 さあ、こちらを、どうぞ~♪

  



          ―― 屍人荘の殺人 ――



 著者は今村昌弘(いまむら・まさひろ)さん、2017年10月に発行されました。
 えーと、この御本の表紙、題名を目にしたならば、
 お分かりいただけますでしょうか。

 いわゆる“忌み言葉”が連打され、
 表紙のイラストも、不吉で禍々しく、
 お正月早々に御紹介するのはどうだろう、
 あんまりじゃないかしら、と
 悩みに悩みましたが。

 御紹介しないまま、というのも
 あまりにもったいない!

 だって、《第27回 鮎川哲也賞》受賞作なんですものー!

「おおッ! それはァおめでとうゥございまスゥ!」
「ぐるぐるぐるぅ~!」(←訳:ぱちぱちぱちぃ~!)

 しかも、様々なメディアで行われた
 2017年のベストミステリで
 軒並み上位にランクインしているんですから、
 放ってはおけません。

 “忌み言葉”にも臆せず、
 そろり、そろり、とページを捲ってゆきますと……

 ええ、さすがは鮎川哲也賞受賞作。

 とってもモダンな、
 それでいて古典の形式もきっちり備えた
 本格密室ミステリです!

「ほんかくゥでェ、みッしつゥ?」
「がるぐるるぅ!」(←訳:レアだねぇ!)

 物語の設定も、凝っています。

 関西の有名私立大学。
 ミステリすきな《俺》こと葉村譲(はむら・ゆずる)さんは
 大学のサークル『ミステリ研究会』に落胆していました。

 大学に入学して、
 サークルに入るなら『ミス研』だ!と思っていたけれど、
 ミステリに対する情熱が感じられないユルい空気……。
 
「はなしがァ、かみあいィませんッ!」
「ぐるぅがるる~…」(←訳:こりゃ駄目だ~…)

 と、意気消沈する羽村君の前に現れたのは、
 理学部三回生の先輩――

 明智恭介(あけち・きょうすけ)さん。

「そッ、そのォおなまえはッ!」
「ぐるるる!」(←訳:明らかに!)

 名探偵になるべくして付けられたかのような名前の、
 明智パイセン、いえ、明智先輩。

 葉村くん同様、ユルい『ミス研』に飽き足らず、
 『ミステリ愛好会』を主宰する彼は、
 いうまでもなく大のミステリマニア。

「みすてりィあいこうかいィ、でスかァ?」
「がぅるっるるぐるる!」(←訳:じゃそっちにしよう!)

 そうして『ミステリ愛好会』に入ったものの。

 明智先輩に誘われて、
 映画研究部の夏合宿に便乗すべく、
 湖畔のペンションへ向かった彼らを待っていたのは……

「じッ、じけんッ??」
「ぐるるがるる!」(←訳:大事件だよう!)

 いけません、これ以上は
 もうお喋りできません。

 ……でも、↓これくらいは、いいかな?

 御本の中盤から加わる“或る要素”に、
 私ネーさ、啞然とさせられました。

 これ、ミステリでいいの?
 
「うむむむゥ~ッ!」
「がるる~!」

 禁じ手か、正攻法か。
 
 その判断は、
 さあ、どうか読み手の皆さま御自身で!
 
 とりあえずは理屈を横においといて、
 ミステリ好きな活字マニアさん、
 ぜひ、一読を♪

 
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~ 時代の《横顔》 ~

2018-01-08 22:12:51 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 あッたまにィ~きちゃうゥのでス!」
「がるる!ぐるるるぅ!」(←訳:虎です!悲しいよぅ!)

 こんにちは、ネーさです。
 せっかくの晴れの日だというのに
 悲しいニュースが報じられて私たちもがっかり……ですが、
 メゲるな、新成人さんたち!
 本日の読書タイムは、急遽予定を変更して、
 決してメゲなかった或る“挑戦者”さんの評伝作品を、
 さあ、どうぞ~!

  



          ―― イタリアの鼻 ――



 著者はベルント・レックさん、アンドレアス・テンネスマンさん、
 原著は2005年に、日本語版は2017年11月に発行されました。
 『DIE NASE ITALIENS.Federico da Montefeltro,Herzog von Urbino』
 と独語現代が、
 『ルネサンスを拓いた傭兵隊長フェデリーコ・ダ・モンテフェルトロ』
 と日本語副題が付されています。

「うむッ? のーずゥ、でスかッ?」
「ぐるるーがぅるるるるる!」(←訳:フラワーじゃないんだね!)

 ええ、そうなんですよ。
 御本の題名は、ミスプリントじゃありません。
 『花』や『華』ではなく
 『鼻』です。

 その理由は……御本の表紙にもなっている肖像画を見れば、
 お分かりでしょうか。

 人物像――男性の横顔が、描かれている、のですけれども。

 横顔の輪郭線が、おかしい……?

「むむッ! みおぼえェ~ありまスゥ!」
「がるるぐる!」(←訳:有名な絵だ!)

 一度目にしたら
 脳の記憶庫にしっかり刻まれること間違いなし、
 非常に印象的なこの横顔の持ち主は、
 ルネッサンス期イタリアの、
 ウルビーノ領主
 フェデリーコ・ダ・モンテフェルトロさん(1422~1482)。

 そして、この肖像画を描いたのは、
 ピエロ・デッラ・フランチェスカさん。

 夫人であるバッティスタ・スフォルツァさんを描いた肖像画とともに
 フィレンツェのウフィッツィ美術館に収蔵されている、
 非常に有名な、
 “ルネサンスを体現する”作品です。

「びなんびじょさんよりもォ?」
「ぐるっるるる?」(←訳:目立ってるね?)

 肖像画としては異例な、厳しい横顔。

 フェデリーコ・ダ・モンテフェルトロさん、
 すなわち、のちのウルビーノ公の生涯については
 不明な点が少なくありません。

 しかし、確かなのは。

 嵐が吹き荒れる戦国の時代を
 傭兵隊長としてのしあがり、
 モンテフェルロ家の家長と公認されて
 ウルビーノを支配し、
 多くの芸術家さんを後援した功績。

 肖像画を描いた画家ピエロ・デッラ・フランチェスカさんを始め、
 建築家ラウラーナさんマルティーナさんに
 時代を象徴する宮殿を造らせ、
 ルネサンス初期の《美》の礎(いしずえ)を
 築いたのでした。

「かけぬけェましたでス!」
「がるるる!」(←訳:激動期を!)

 解明されているフェデリーコさんの軌跡、
 未だ解明されていない事柄も含めて、
 活写される一人の傭兵隊長のプロフィール。

 歴史好きさん、
 欧州史好きな御方、
 ルネサンスアート好きな方々に
 おすすめのノンフィクション、
 前回記事で御紹介しました塩野七生さんファンの方々も、
 ぜひ、手に取ってみてくださいね。

 正面だけではなく、
 側面からのルネサンス史が見えてくる貴重な一冊、
 おすすめです♪

 
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つらぬく《ローマ目線》!

2018-01-07 22:06:22 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 あすはァ、せいじんしきィ~でスねッ!」
「がるる!ぐるるるるがるるぐる!」(←訳:虎です!おめでとう新成人さん)

 こんにちは、ネーさです。
 ちょっとお天気が心配なんですけど、
 明日の成人式に敬意を表して、
 本日の読書タイムは、
 これぞ大人!な一冊を御紹介いたしますよ。
 さあ、こちらを、どうぞ~♪

  



          ―― 逆襲される文明 ――



 著者は塩野七生(しおの・ななみ)さん、2017年9月に発行されました。
 『日本人へ Ⅳ』とシリーズ題が記されているこの御本、
 2017年後半のベストセラーになり、
 現在も売れ行き好調だそうです。

「えッとォ、てーまはァ~…」
「ぐるるがる!」(←訳:歴史と政治!)
「そのほかァ、なんでもォありィ!」

 前回記事の展覧会情報では
 『ボストン美術館 パリジェンヌ展』をお報せしました。
 オシャレなフランスに比して、
 著者・塩野さんが活動のベースとしておられるのは、
 イタリアのローマ。

 ローマ――
 その歴史の長さたるや、
 おフランスなぞ問題にもなりません。

 ローマが世界的な国家の首都として繁栄を極めた頃、
 パリはド田舎の小さな村、っていうレベル。
 ロンドンは泥だらけの湿地で、
 アメリカなんて存在すらしていなかった……。

 そんな筋金入りの歴史都市に暮らす塩野さんの眼に、
 世界は、日本は、
 どう映っているのでしょう。

「たぶんッ、きッとォ~」
「がるぐるる!」(←訳:問題だらけ!)

 問題っていうのはね、
 あっていいんです、ていうか、
 何ひとつ問題がない国や地域なんて
 実際のところゼロでしょ?

 大事なのは、
 問題に対峙する気構えを持っているか否か、
 ではないか――

 それを如実に詩的しているのが、
 本文の中ほどに収録されている

  『EU政治指導者たちの能力を問う』

 という一編なんですけど、
 もうビックリさせられたり、
 ズシリと納得させられたり、
 短いながらも濃厚な文章でした。

「せいじかさんのォ、のうりょくゥ?」
「ぐるるるがるるる!」(←訳:ダメ出ししますか!)

 繰り返しますが、
 “ローマ目線”の塩野さんの政治家鑑定は、
 日本にいる私たちの目線とは異なっています。

 塩野さんによれば、
 英国の首相だったキャメロンさんは
 『救いようがない』。

 フランスの前大統領オランドさんは、
 『影響力』が『まったく無し』どころか
 『完全に地に落ちた』。

 ドイツのメルケル首相は、
 『先頭に立って引っ張っていく気概なり肝っ玉なり』がなく、
 『言葉にも、まったく熱がない』。

「ふァ~…」
「がる~…」

 これを読んで、ああ、そういわれれば、と
 頷いてしまうのは私ネーさだけでしょうか。

 特に、メルケル首相評は、
 ドイツの、そしてEU全体の問題を看破しているようで、
 なるほどなぁと感じ入りました。
 EUの未来をきり拓く肝っ玉……そうね、
 気概と肝っ玉を持っている政治家さんて、
 絶滅してしまったんでしょうか……。

「どこかにィ~…?」
「ぐるるるる~…?」(←訳:いるのかな~…?)

 政治や歴史、宗教、文化などなど、
 どちらかというと“重たい”話題が中心ですが、
 読みやすく、分かりやすい語り口で
 塩野さんは“ローマ目線”を貫きます。
 それも、ユーモアを忘れることなく。

 オトナの方々、
 新書初挑戦の未成年さんも新成人さんも、
 ぜひ、一読してみてくださいね♪
 
 
 
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花咲く春へと。

2018-01-05 22:17:39 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス~!
 れんきゅゥだけどォ~!」
「がるる!ぐるがるるぐる!」(←訳:虎です!読書タイムです!)

 こんにちは、ネーさです。
 お正月休みに続いて、今年最初の連休が来ましたね。
 寒波が緩んでくれることを期待しながら、
 さあ、こちらも今年初!の読書タイムは、
 アートなノンフィクション作品を、どうぞ~♪
 
  



        ―― 名画の中の植物 ――



 著者は大場秀章(おおば・ひであき)さん、2017年9月に発行されました。
 『《美術》の植物学への招待』と副題が付されています。

「ふむふむゥ! おしょうがつのォ、おはなァといえばッ」
「ぐるるがる~?」(←訳:福寿草とか~?)

 日本人の私たちにとっては、
 季節の花を表現する《花鳥画》という“花の絵画”があり、
 また、華道・茶道でお花が用いられることから
 “花を愛でる”作法も確立している、
 と申せますけれど……

 西洋にもありますね、
 《ボタニカル・アート》
 と呼ばれる絵画作品が。

「えーとォ、ゆうめいィなのはァ、はるッ、でスゥ!」
「がっるぅるぅるぐるる!」(←訳:ボッティチェリさんの!)

 著者・大場さんは御本の冒頭で、
 ボタニカルアートを

    植物を描くことを目的として描かれたもの

 と定義しています。

 その定義に、ボッティチェリさんの代表作
 『プリマヴェーラ(春)』が
 ぴったり納まるか、というと――

「むゥ? びみょうゥでスかッ?」
「ぐるるがるるぐる!」(←訳:難しいところだね!)
 
 しかし、大場さんはこうも述べています。

    普通の芸術絵画とボタニカルアートの境界は
    かならずしも明確ではない。

 肝心なのは、
 画家さんが“まなざし”を持っていたか否か。

 添え物や、
 背景の一部ではなくて。

 はっきり、
 この花を描こう!
 この樹木を、ツルを、
 葉の色合いや形をこう描こう!
 という意図と眼差しを
 画家さんが持っていたこと。

「じゃあァ、もッていたんでスねッ!」
「がっるぅるぅるぐるる!」(←訳:ボッティチェリさんは!)

 ええ、ボッティチェリさんの『プリマヴェーラ(春)』には
 100種を軽く超える植物が描かれているとは
 広く知られているお話です。

 ただ、同じボッティチェリさん作の
 『ヴィーナスの誕生』と比較すると、
 『プリマヴェーラ』には奇妙な点もある……?

「さくしゃさんはァ、おなじィ~なのにィ?」
「ぐるるるがるるる?」(←訳:いろいろ違うんだ?)

 そして、ボッティチェリさんの他にも
 植物に、花に魅せられ、
 精魂こめて描きあげた画家さんも大勢います。

 御本の表紙になっている、
 ジョン・シンガー・サージェントさんの
 『カーネーション、ユリ、ユリ、バラ』。

 レオナルド・ダ・ヴィンチさんの習作画。

 アルブレヒト・デューラーさんの
 『キバナノクリンザクラ』。

 ジェームズ・マクニール・ホイッスラーさんの
 『白のシンフォニー№2:リトル・ホワイト・ガール』。

 さらに、読み逃せないのは、
 御本のラストに登場する
 アンリ・ルソーさんの作品解読!

「うわォ! しょくぶつゥだらけェ?」
「がるぐるがぅるるる?」(←訳:これ空想じゃないの?)

 線も形もディフォルメされている
 アンリ・ルソーさん描く植物たち……は、
 実はけっこう特定できちゃったりする?
 想像上の花や樹木じゃなかった!

 ルソーさんのファンの方々は
 きっとワクワクさせられる楽しいお話を、
 アートマニアの皆さま、
 ぜひ、一読してみてくださいね♪

「れきしィすきなァおかたにもォ~」
「ぐるるるがーる!」(←訳:おすすめでーす!)
 
 

 
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