生きるのは恥多くして、名を道ばたに捨てるに似ている。
いたずらに人前にしゃしゃり出てても、あとで省みれば、赤面すること多し。
名を捨ててこそ、浮かぶ瀬もあれ、山桜。
年取れば、世の道理も少しは分かり、自分の姿も見えてくる。
できることとできないことの区別もつくようになる。
これを多少の知恵だと思ってみても、世の流転はとどまるところを知らず。
見れば危うし。見らずばもっと危うし。
古今東西、人の思うように世が動いたためしはない。
日照りの夏はおろおろ歩くばかりにて、世間の恥にまみれゆく。
今日も、恥知らずな雄叫びを人混みのなかに聞きゆく。