フランスがマリに軍事介入をし、空爆をしました。
「全世界、全アフリカから支持されている」とフランス大統領は言っていますが・・・
時事通信(2013年1月14日)
マリ軍事介入「世界から支持」=テロ警戒強化も―仏大統領
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130113-00000010-jij-eurp
【パリ時事】フランスのオランド大統領は12日、仏軍部隊がアフリカ西部マリの政府軍支援のため軍事作戦に着手したことを受けてテレビ演説し、「(軍事介入は)全世界から支持され、全アフリカ諸国から歓迎されている」と正当性を訴えた。また、仏部隊の介入がマリ北部からのイスラム武装勢力の進撃を「食い止めるのに役立った」と成果を強調した。
さらに、仏軍介入は「テロとの戦いが唯一の目的だ」と言明。「フランスは友好国の安全以外の権益を守るつもりはない。だからこそ歓迎されている」と語り、かつての植民地時代とは異質な介入であることを力説した。
その上で大統領は、マリへの軍事介入や、ソマリアで12日行われた仏情報機関要員救出作戦を受けてイスラム過激派のフランスに対する反発が強まると想定し、テロ警戒を強化すると表明した。公共の建物や交通機関での警戒度を高めるという。
流石にフランスはマリを『植民地』にしなおすつもりはないでしょう。ただ、マリはじめ周辺国はウランの産出国(マリは日本がウランの独占契約を結んでいるといいます。)ですから、単なる正義の介入ではないことは確か、そしてまた「全イスラム諸国が歓迎」というのはまず有り得ないでしょう。
以下の西側諸国ではなかなかお目にかかれない記事です。毎日新聞は頑張りました。
毎日新聞(2013年1月12日)
マリ:フランスが軍事介入 過激派侵攻で支援要請受け
http://mainichi.jp/select/news/20130112k0000e030167000c.html
【パリ宮川裕章、ヨハネスブルク服部正法】イスラム過激派が北部を掌握している西アフリカ・マリに旧植民地宗主国のフランスが軍事介入した。周辺国に利権を持つフランスが過激派の南下を阻止し、マリが無政府化して「テロの温床」となる事態を回避する狙いだが、混迷するマリ情勢の打開につながる見通しは立っていない。
現地からの報道によると、仏軍の空爆による支援などで、マリ政府軍は11日、イスラム過激派に一時制圧された中部の要衝コンナを奪還。一帯で戦闘が続いているものの、過激派の南進を食い止めている。過激派の進軍が続けば、コンナから約50キロの距離にある中部の主要都市モプティが危機にさらされる状況だった。
ファビウス仏外相は11日の記者会見で、介入理由として▽約6000人の在留仏人の安全保護▽マリ政府、国連からの軍事支援要請▽イスラム過激派に拘束されているフランス人の解放--などを挙げ、「過激派の進軍を阻止しなければ、全土を制圧され、アフリカ、欧州にとって脅威となる」と述べた。最も警戒するのが、混迷が深まり、国際テロ組織アルカイダ系のテロリストの拠点となって「第2のアフガニスタン」化することだ。
フランスは、仏原子力大手アレバがマリの隣国ニジェールからウラン原料を輸入している。ニジェールの安全保障が脅かされた場合、電力の75%を原子力に依存するフランスの原子力政策に影響が出かねない。11年には旧植民地のコートジボワール内戦に介入しており、旧植民地宗主国としてアフリカでの影響力を保持したい思惑もある。フランスと関係が深いアフリカ諸国に政情悪化が広がらないようオランド政権としても手を打つ必要があった。
一方、マリ政府が支援要請したのはコンナ陥落の衝撃からだ。コンナ近郊のモプティは北部奪還に向けた国軍の拠点。過激派の手に落ちれば周辺国の協力を得て過激派制圧に転じたい国軍の戦略は後退を強いられる。
マリでは昨年3月のクーデターをきっかけに北部をイスラム過激派が支配。マリが「テロの温床」となることに危機感を強めた国連安全保障理事会は昨年12月、国際部隊による軍事介入を認める決議を採択したが、3300人規模の部隊が訓練を経て本格派遣されるのは今秋以降とみられ、当面は仏部隊が主力となる。
過激派の主要組織でコンナを一時制圧したアンサル・ディーンは北部遊牧民が主体で、関係者によると、南部制圧に積極的とは考えにくいというが、国際テロ組織アルカイダの北アフリカ組織「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」の意向次第で南進の可能性もあり、混迷打開にはなお時間がかかりそうだ。
◇マリ共和国
フランス植民地から、1960年に独立。最大民族のバンバラ人、遊牧民トゥアレグ人など23民族で構成され、人口は約1600万人、約8割がイスラム教徒。92年の民政移管後は民主主義が定着していたが、12年3月の軍事クーデターで混乱。リビアのカダフィ政権崩壊(11年8月)で、大佐の雇い兵だったトゥアレグ人戦闘員や武器が北部に大量に流入し、反政府組織が12年4月に北部独立を宣言。その後、地元のイスラム過激派や国際テロ組織アルカイダ系勢力が北部を掌握していた。
また、「軍事介入はアルカイダ勢力との闘い」が今回もまたあげられていますが、実はフランスや西側はアルカイダだけではなく、イラン・シリアも意識していることでしょう。
追記:ブックマークにある『中東の窓』さんが、マリの最新ニュースを追ってくれています。