Various Topics 2

海外、日本、10代から90代までの友人・知人との会話から見えてきたもの
※旧Various Topics(OCN)

Nuclear Sharing

2012年04月20日 | 国際・政治

核に関して、「核兵器なき世界を目指す」というオバマ大統領やら、そもそもNPTなど偽善的なことばかりですが、「それはNPT違反では?」と言う声は無視され行われていることに、『Nuclear Sharing (核兵器共有)』http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0

というものがあります。

これは実施しているのは米国のみで、核兵器をシェアしているのは、現在、ドイツ、イタリア、ベルギー、オランダ。

しかし、核のダブルスタンダードがこれほど大らか(大っぴら)ならば、米国と西欧国のNuclear Sharingだけでなく、中国、ロシア、そしてもしかしたら将来は中東でのNuclear Sharing というものも出てくるのかもしれません。

さて、ところで日本とドイツ-同じ敗戦国でありながら、『(被爆国であり、原爆を落とした側ではないのに)非核三原則を持ち、「周辺国の脅威になるから核を持ってはいけない」と言われる日本』、一方『戦時中、原爆を作っていたのに核をシェアすることを許されるドイツ(実は日本も作っていたんですが、とても技術面では無理があったよう。)』、理論だけで考えると、とても変です。

(注:私は、核は、兵器も原発もこの世からなくなってほしいと願っているので、日本がドイツのようになってほしいと思っているわけではありません。なお、ドイツに関して、2010年の記事で、「ドイツは2013年までに米国のNuclear Sharing加盟から脱退計画」という記事がありましたが、現在はどうなっているのかは不明。)

防衛省のリンクにこのNuclear Sharing について言及されているものがありました。

「核の脅威と我が国の対応 ~中国・ロシア・北朝鮮の核の脅威を直視する~」

By 垣内翔太氏

http://www.mod.go.jp/j/publication/ronbun/21/04.pdf

ここに、

「しかし、前者の米軍の核を持ち込ませるというオプションは十二分に可能ということができる。確かに、非核三原則の「持ち込ませず」の部分を改正するなど、国内的な手続きは必要となる。

だが、ニュークリア・シェアリング等を通じて、NATO 加盟国の内のドイツやイタリア、ベルギー、オランダが米軍管理下の核兵器を自国内に備蓄し、その運搬手段となる軍用機などを保持している現状を鑑みれば、アメリカの核兵器の持ち込みについては、欧米諸国の理解が得られやすいと考えられる。

ただし、ニュークリア・シェアリングを行った場合には、国内に核兵器備蓄用の倉庫を作らねばならない上に、自衛隊にその核弾頭の運搬技術が必要となり、核兵器搭載型弾道ミサイルや戦略型原子力潜水艦、戦略爆撃機など攻撃型装備の調達が必要となる。

従って、ニュークリア・シェアリングを実施することは、NPT 条約の第一条・第二条に違反しているという見解が存在する上に、予算的に厳しく、憲法九条とそれに基づく法令解釈の部分で問題が生じる可能性が多いにあると考えられる。」

と、書かれています。(なお、これは平成21年度『安全保障に掛かる懸賞論文』優秀賞』受賞論文のようで、官僚の論文ではないようです。)

「ドイツに比べて日本が米国の属国度が高いのは、日本が一方的に米国の核の傘に守られているからで、Nuclear Sharingをして、有事に米国に協力する体制を取っていないからである」という意見も目にしましたが、それより、中国脅威論でこのNuclear Sharingを望む声もあるようです(田母神論文も、Nuclear Sharingを提唱)。

Nuclear Sharingを求める声は、今後(知らないところで)ますます高まって行くかもしれません。

(『中国脅威論』に関しては、私は「中国と米国は双子のようなもので、いくら仲が悪そうにみえても、米国が中国に対しての攻撃を支持することはない」と思っています(中国と親しい反米国に対しての攻撃はありえるかもしれません。)。

よって、『中国脅威論というものを米国があおる構図』は、胡散臭く感じています。)

ということで、動きとして世界、日本双方のNuclear Sharing には注意しなければならないと思うのですが、反面、「『核をシェア』できるのであれば、『安全保障もシェア』することができる。この『安全保障のシェア』が皮肉なことに(不平等で偽善まみれの)NPTより有効なのではないか」と考えてしまいました。

最後に、核兵器関係の記事を。

毎日新聞(2012420日)

<NATO>核兵器使用しない「消極的安保」方針導入で合意

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120420-00000018-mai-int

[ブリュッセル斎藤義彦] 北大西洋条約機構(NATO)の外相・国防相合同会議が19日閉会し、非核国に対して核兵器を使用しない「消極的安全保障」方針を導入することで合意したことがわかった。これで「核兵器なき世界」を目指す米オバマ政権の政策が欧米主要国に広げられることになった。NATOには同盟国が攻撃されれば、全加盟国への攻撃とみなして反撃する共同防衛条項があるが、今回の合意で、NATOは核兵器を安易には使えなくなる。

 フランスが大統領選間際であることから公表は控え、5月のNATO首脳会議で確認し、公表する。これまで、生物・化学兵器など大量破壊兵器でNATO側が攻撃を受けた場合、核兵器を使用して反撃することはあいまいにされてきたが、今回の合意では、基本的に通常兵器で対抗することを明確にした。

 核兵器の「消極的安全保障」政策は元々、核兵器保有国を米露英仏中の5カ国に限定する核拡散防止条約(NPT)が「不平等」であることに配慮し、非核兵器国に対し、安全を保障する考え方だ。

 09年に「核兵器なき世界」を目指すことを宣言した米オバマ政権は、10年に発表した核戦略文書「核態勢見直し」の中で、生物・化学兵器で攻撃された場合も、基本的に通常兵器で対抗することを明確にするとともに「消極的安全保障」政策を鮮明にしていた。今回のNATOの合意で、28加盟国は「消極的安全保障」政策を共有することになった。

 NATOでは、米英仏が核兵器を保有。米軍は、射程の短い「戦術核」をドイツ、オランダなど5カ国に150~240発配備している。

 米国は、核開発を進めているとされるイランと北朝鮮について、「NPT違反国」としており、消極的安全保障の恩恵を受けられない可能性は高い。ただ「脱退」を主張する北朝鮮と異なり、イランはNPT内にとどまっている。ミサイル防衛などでイランを潜在的脅威ととらえているNATOが、どうイランに軍事的反撃をすべきか今後、議論になるとみられる。

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