アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

奴隷根性に支えられた搾取と右傾化

2010年10月10日 08時23分56秒 | 職場人権レポートVol.1
 私が発行している「ワーキングプア解放新聞」という名の職場新聞ですが、最近では「職場人権レポート」カテゴリーに所収の職場ネタだけでなく、それ以外の話題についてもなるべく掲載するようにしています。この直近の尖閣諸島・マルクス関連の記事も、当該新聞に載せて配布しました。狭義の職場ネタだけに限っていては、どうしても視野が狭くなってしまいますし、ネタも尽きてしまいますので。勿論、その場合でも、あくまでも「ワーキングプア解放」の視点は外さないようにしていますが。
 でも、そうなると今度は、読者のほうで、何がなんだか訳が分からなくなってしまうのでは、という心配も一方であります。「職場の問題を取り上げている」という事で読んでみたら、それ以外の難しい話も一杯出てくる。たとえ難しい話でも、「ワーキングプア解放」に繋がる大事な話は、今後も出来るだけ取り上げていくつもりですが、せっかくの新聞も読者に読んで貰わなければ意味が無い。それに、職場ネタは書き出せばキリが無くなる。という事で、今後は職場ネタについては、その名も「社畜作業日報」というコラム欄のページを作って、出来るだけそちらで取り上げるつもりです。

 「作業日報」というのは毎日我々が現場で記入する作業報告書で、それをブログ・新聞にも準えたものですが、その前に付された「社畜」の語が、人によっては物議を醸すかも知れません。何故敢えてそんな「嫌らしい」名前にしたか。それも偏に、職場から奴隷根性の一掃を図る為です。私の勤め先は、以前にも言ったように、某大手スーパーの物流センターで業務を請負っている、二次下請けの会社です。職場の労働強化の問題も、最終的にはスーパーの新自由主義(金儲け至上主義)的な経営方針や一次下請けによるピンハネを是正しない事には、何ら解決しない。でもそれだけが問題ではない。その元請の新自由主義やピンハネを唯々諾々と受け入れている二次下請けの「社畜・奴隷根性」の問題もあるのではないか。それら「搾取する側」と「される側」の双方の問題が一掃(それが適わないならせめて軽減)されない限り、我々はこの生き地獄から抜け出せない。この名前にはそんな思いが込められています。

 下記が、そのコラム欄「社畜作業日報」の直近の記事と図柄です。北朝鮮の後継者内定のニュースを揶揄したもので、タイトルもずばり「ロジ・ジョンイル」。但し、図柄の青字の部分は、ブログ公開用に新たに書き加えた説明書きです。部内報の職場新聞には載っていません。



 北朝鮮では次の指導者に金正日(キム・ジョンイル)三男の金正恩(キム・ジョンウン)が指名された。国の指導者を選挙ではなく世襲で決めるというのが、この独裁国家のやり方だ。しかし、それを「自由がない」とか「非民主的だ」と言って嘲笑する日本社会も、では自分たちはどうなのか。現に私の勤務先の会社も、北朝鮮と似たような有様ではないか・・・と皮肉ったのが、上記コラムの内容です。
 実際にも、北朝鮮や中国の事となるとやたら興奮するくせに、では己自身はどうかと問われれば、彼の国の独裁者と同じくらい人権意識の希薄な人が、最近とみに目に付きます。そういう人に限って、自分の事は棚に上げて、「左派・人権派」叩きのネタとして、殊更この問題を持ち出してきます。「北朝鮮・中国を見ろ、あれが社会主義の真の姿だ、何だかんだ言っても資本主義が一番良いんだ、所詮世の中は弱肉強食なのだ、それを差別とか言う奴は親北朝鮮の反日分子だ、強い奴が弱い奴を差別して何が悪い・・・」という具合に。ネットウヨクなんて、その典型でしょう。
 しかし、ではその北朝鮮・中国を批判する当人はどうなのか。一日12時間も13時間も働かされているのに、上司や会社には何も言えずに、「公務員は定時で帰れて贅沢だ」とお門違いの八つ当たりに出たり、「弱肉強食が世の習い、日本は資本主義なんだから仕方無い、それに文句を言う奴は怠け者だ」なぞと言って、そうやって自らの不甲斐なさを誤魔化しているだけじゃないか。実際に、今までもそういう人を何度も見てきました。自分が「働く機械」、モノ扱いされているのに何も言えずに、「女性は産む機械」発言の柳沢厚労相(当時)を露骨に擁護した前任地の所長などを筆頭に。

(注)尚、だからと言って、今の北朝鮮・中国を擁護する気は毛頭ありませんので。あんな国は、もはや社会主義でもなければ労働者の国でもない。私がここで問題にしているのは、あくまでも、自らを誤魔化すために北朝鮮・中国批判に便乗する、上記のような人たちです。以上、念のため。

 「日本社会が右傾化した、保守化した」と言われるようになって、大分経ちます。しかし、本当に右傾化・保守化したと言えるのか。私も、かつてはそう捉えた時期がありましたが、今は「必ずしもそうではない」と思うようになりました。何故なら、本当に「日本が右傾化した、保守化した」というのであれば、「維新政党・新風」や「たちあがれ日本」などはもっと議席を得ている筈ですし、安倍政権が退陣に追い込まれたり、麻生政権・自民党があのようなブザマな敗北を喫して政権交代に至るような事は無かった筈です。
 確かに、現象面だけを見れば、田母神俊雄(元自衛隊空幕長)の講演会が人気を呼んだり、佐藤正久(イラク派遣自衛隊の「ヒゲの隊長」)なんかが国会議員に当選したりもしていますが、それはニュースなどで取り上げられマスコミで話題になったからに過ぎません。かつての「蟹工船」「派遣村」ブームと同様の、一時の盛り上がりでしかない。前者との違いは、これら「右」のブームは、財界筋・スポンサー企業からの資金力をバックに持つ右翼・御用メディアの影響力が、「左」のそれよりも遥かに大きく、どんな小さな本屋にも「正論」「諸君」「WiLL」などの右翼雑誌が置かれているが為に、恰も「猫も杓子も右に靡く」ように思わせられている所にあるのではないか。
 その「正論」以下の雑誌にしても、かつて60~70年代に「朝日ジャーナル」や「本多勝一」「小田実」が一世を風靡したのと、同じでしかないのではないか。「全共闘運動・大学紛争」や「公害反対運動・革新自治体」華やかなりし当時も、一番力を持っていたのは、今よりも遥かに強かった自民党でした。

 その当時は、少なくとも「派遣村」や「ネットカフェ難民」の惨状はありませんでした。携帯やパソコンやコンビニもありませんでしたが、国民は、それなりに総中流時代を満喫していました。当時も、実際には、シングルマザーやパート労働者、中・高卒者や中小企業従業員、沖縄などの地方出身者や在日コリアン・外国人と、大企業社員との間の格差は厳然としてあった訳ですが、それは大多数の国民の目からは隠されていました。
 その当時から比べたら、今は誰の目にも貧困の実態が明らかになっています。これは聞いた話ですが、某大手製パン会社では、部署によっては、通常の昼勤者が夜もそのまま、翌日の昼過ぎまでぶっ通しで働かされている所があるのだとか。それだけ働いても、残業手当が出るのは10時間か20時間分までで、後はひたすら只働きなんだとか。そんな所ですから慢性的な人手不足で、勤務シフトもまともに組めず、次の休みも前日にならないと決まらないのだとか。そんなブラック会社とっとと辞めればいいのにと、普通は思うのでしょうが、もうそういう環境に染まってしまうと、逃亡するパワーも失せてしまうのだとか。(私の生協時代末期もそれに近い状態だった)
 ちなみに、その人は、正社員とパート・バイトの間にいる準社員です。パート・バイトとは違い、社会保険には一応加入し、給与も20万円前後はあるようなのですが、勤務時間が半端じゃない、でも辞めない。で、その話をした同じ会社の準社員も、自分も1日12時間以上も働かされているのに、「その昼夜ぶっ通しで働かされている人と比べたら、まだ自分はマシだ」とか、実際には昇格の望みなぞ殆どないのに「ひょっとしたら準社員から正社員に昇格できるかも知れない」と言って、辞めないのだとか。

 以上は、私が行きつけの鍼灸医さんから、患者さんの話として聞いたものです。まるで感覚が麻痺していますね。実際、鍼灸医さんがその患者さんと話をしていた時も、話がまるでかみ合わなかったそうです。その会社の名前を聞いて驚いたの何の、何と私も以前バイト面接を受けた事のある企業でした。不採用だったのか、当時二股も三股もかけて職探しをしていた私が、他に内定を得てその会社を蹴ったのか、大分前の話なのでもう忘れましたが、何にせよ採用されなくて良かった。そんな会社に採用されようものなら、それで数ヶ月無駄な人生を過ごす所でした。それどころか、下手したらその会社に殺されていたかも知れません。
 そんな会社、誰が考えてもオカシイと思うのが普通でしょうが、でも一旦そんな環境下に置かれてしまうと、それで当たり前のように思ってしまうのです。或いは、オカシイと思いながらも、抗う事の出来ない宿命であるかのように、それを受け入れてしまうのだとか。

 以上、話が少し飛びましたが、今の日本社会の右傾化・保守化現象も、案外これが本当の姿ではないでしょうか。それは決して、今までの自民党政治が支持された訳でも、安倍や田母神が支持された訳でもない。「もうこれ以上良くならない」「ひたすら今よりも、他のもっと悲惨な誰それよりも悪くならないことを祈るのみ」と現状にしがみついているだけではないか。そんな諦めと奴隷根性が、「大勢順応」とか「勝ち馬に乗る」という形に靡くのが、パッと見には、恰も社会が右傾化・保守化しているように映っているだけではないか。
 何のことは無い、北朝鮮や中国を一党独裁だと非難している日本人も、奴隷根性に囚われているという点では、彼の国の国民とも本質的には何ら変わらない。寧ろ、ストライキに立ち上がっている中国の労働者の方が、よほど元気がある。そう思うと、表面上の「右傾化・保守化」よりも、日本社会を蝕む奴隷根性の病巣のほうが、もっと根深く手ごわいのではないか。それを改めて実感させられました。

※当初の投稿(2010-10-07 23:50:24)に、更に手を加えました(2010-10-10 08:23:56)。
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Unknown (バッジ@ネオ・トロツキスト)
2010-10-08 12:53:36
>狭義の職場ネタだけに限っていては、どうしても視野が狭くなってしまいますし、ネタも尽きてしまいますので。勿論、その場合でも、あくまでも「ワーキングプア解放」の視点は外さないようにしていますが。

そうですね。身近な職場の問題や日常のくらしの問題の解決ひとつとっても、経済学や政治の世界を視野の外に置いておくことは出来ませんものね。

ただ、その場合も、果たしてマルクスの古典や既存の日本の左派政党の政策の枠内の主張だけで良いのでしょうか?間に合うのでしょうか?

現在の日本の貧困劣悪な賃金・労働条件の横行や福祉の低水準などの背景には、共産党が言うような「二つの異常」があるだけではないということが、今日、ますます多くの人の眼に明らかになって来ているのではないでしょうか?

今日の日本における非正規低賃金労働や失業の増大、低福祉や財政危機、経済の空洞化などの原因には、大国であり大市場である隣国中国での低賃金労働の放置や低い法人税水準、人民元の安値固定などの問題もあると思います。
賃金や法人税率、通貨(為替)相場の国際的ダンピング競争のことです。自国のみならず先進国の雇用や福祉、財政をも圧迫することになる「安売り合戦」の放置の問題です。
そして、こういう国際問題について、残念ながら現在の日本の左派政党も、「内政不干渉」原則をたてにして、他国に何らの働きかけもしてきませんでした。アメリカやEUの支配層でさえ「人民元の切り上げを!」ぐらいの主張はしているのにです。

こういう日本や世界の現状の中で、多くの職場の同僚に向かって問題打開のための具体的で明るい展望を指し示すことは、本当に困難なことでしょうね。
出来合いの処方箋も即戦力の医師も、今の日本には存在しないと言って過言ではないのですから。

新しい政策や綱領的立場が痛切に求められていますね。
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21世紀のアジアや世界はどうあるべきか? (バッジ@ネオ・トロツキスト)
2010-10-08 16:55:53
今年、中国がGDP総額で日本と肩を並べましたよね。
もっとも、中国は人口が日本の10倍以上ですから、一人当たりのGDP比較では中国はまだ日本の十分一以下でしょうが。

でも、この事実って、どのみち恐ろしい事態の到来を予想させますよね。

仮に現在の年率10%ベースで経済成長が続くとすると、中国は約25年後に現在の日本の10倍の経済規模の国になります。日本のお隣に日本があと10国出来上がるような事になる。
環境や資源、食料問題などは、その時いったいどうなっているのでしょうか?

また逆に、中国の経済成長のペースが鈍って成長が遅れると、少なくともあと10~15年以上は、日本も確実に中国からの低価格製品輸入ラッシュや産業空洞化(つまりは、日本の労働者の失業や低賃金)に悩まされ続けることになる。高齢化の進展の下での収入不安定の継続で、家計も国家財政も耐えられないでしょうね。

このままじゃ、どの道日本はもたないんだと思いますよ。人間も社会も環境も。

どうすべきでしょうかね?w
舵の切り替え時まで、もう、大した時間は残されていないのではないでしょうか?
時は来たりて!かな?w

返信する
左翼の主張の難しさ (プレカリアート)
2010-10-09 00:07:32
>今日の日本における非正規低賃金労働や失業の増大、低福祉や財政危機、経済の空洞化などの原因には、大国であり大市場である隣国中国での低賃金労働の放置や低い法人税水準、人民元の安値固定などの問題もあると思います。
>そして、こういう国際問題について、残念ながら現在の日本の左派政党も、「内政不干渉」原則をたてにして、他国に何らの働きかけもしてきませんでした。アメリカやEUの支配層でさえ「人民元の切り上げを!」ぐらいの主張はしているのにです。
>こういう日本や世界の現状の中で、多くの職場の同僚に向かって問題打開のための具体的で明るい展望を指し示すことは、本当に困難なことでしょうね。(バッジさん)

 そうです。大変難しいです。今日も、「劉暁波氏へのノーベル平和賞授与決定に中国政府がイチャモンつけている」というニュースが流れていますが、流石にこれには私も呆れました。まず、個人に与えられた賞であるにも関わらず、それを全て国家への侮辱としか看做せない狭量さに。そして、今回の授賞を自国の人権状況を省みる鏡として捉える事が一切出来ず、とにかく「自国は悪くない、悪いのはノーベル賞委員会とノルウェー政府だ」と、何でも他者に責任転嫁する自己中心性に。
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/101008/erp1010081805006-n1.htm

 こんな体たらくだから、靖国右翼ごときからも、いつも叩かれるのです。個人と国家の分別も出来ず、自らを省みる事も出来ないという意味では、中国も、日本の靖国右翼も、傍から見れば五十歩百歩であるにも関わらず。

 しかも、その右翼の主張は、左翼のそれよりも、非常に分かりやすいし、また受け入れやすいから、始末に終えません。ひたすら「それ見たことか、自分(日本政府・日本人)は悪くない、悪いのはアイツら(中国政府・中国人)だ」と言っていたら良いのですから。誰でも楽に批判出来るし、何の予備知識も要らない。

 これが左翼だと、差し詰め「昔は中国を侵略した帝国主義の日本が悪かった、でも今は中国もスターリン主義で新自由主義の覇権主義だ、日中両国人民はともに連帯して、帝国主義もスターリン主義も新自由主義も駆逐しなければならない」という主張になるのでしょうが、これでは職場の同僚は理解出来ません。まず言葉が難しすぎる。いきなり「帝国主義」だの「スターリン主義」だの「新自由主義」だの言われても、一体何の事か皆目分からないでしょう。
 それに加えて、「まず自らを省みた上で(過去の清算)、返す刀で相手を批判する(人権・民主主義の観点から)」という立場なので、「自らの事は頬かむりして、ひたすら相手を論う」右翼のような気楽な立場は取れない。

 そういう難しさがあります。だから、パッと見「簡単で楽」な右翼の主張の方に、みんな靡いてしまうのです。そこをどう打ち破っていくか。なかなか難しい問題ですね。

 このエントリー記事にしてからが、そうでしょう。「ロジ・ジョンイル」で、「これではウチの職場も北朝鮮と何ら変わらないじゃないか、日本は、北朝鮮や中国とは違い、自由も民主主義もあるというが、これの一体何処が自由で民主的だと言うのか?」という所ぐらいまでは分かってもらえるでしょうが、理解できるのは精々そこまででしょう。
 そこから先の、「そんな奴隷状態に甘んじている、自らの奴隷根性をまず克服せよ」という私の主張に対しては、「そんな苦労は嫌だ」となるでしょう。そして更に「奴隷状態を生み出す搾取の仕組みを変えろ」との要求に至っては、ますます「そんな苦労はなおさら嫌だ」となっちゃう。
 しかも、「ネットウヨク」とか色々「知らない言葉」も出てくる。「うえ~、難しい、そんな事より、中国人をやっつけちゃえば済む問題じゃんか」というのが、恐らく多くの同僚の本音ではないだろうか?「そうだ、アジアのプロレタリアートが連帯して、どこの国からも搾取・抑圧を一掃しなければならない」と考えてくれるのは、恐らく良くて一人か二人でしょう。
 いくら中国人をやっつけた所で、搾取の仕組み自体を変えない事には、奴隷状態もなくなる訳がないのに。
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怯懦のワーキングプア (プレカリアート)
2010-10-10 10:51:55
 学者の事はよく知らないので、また一般人の例で説明します。以下は私の職場であった話です。但し、なにぶん大分前の話なので、細部については記憶が曖昧な部分があります。
 基本16時上がりの商品仕分け作業で、一業者だけが16時(17時だったかも?)ギリギリに納品に来ました。来るか来ないか最後まで分からない業者だったので、10人ぐらいいた作業者のうち、5人ぐらいは既に更衣室に上がって着替え始めていました。終わり仕舞いの仕事なので、終礼などはありません。
 幸い最後の納品で、量も大した事なかったので、まだ作業場に残っていた残り5人ぐらいで、急いで商品の仕分けを終わらせましたが。(私はその時どっちのメンバーだったのかが思い出せません。以下の記憶があるので、多分居残った方だと思うのですが。)
 それを翌日先に上がったメンバーに言ったら、そのうちの1人が、如何にもバツが悪そうに「いや、俺も入荷するのを知っていたら残ったんだけど・・・」と言い始めたので、私の方が気を遣って「別に構わないじゃない、悪いのは入荷の有無をきちんと伝えていなかった社員なのだし、残業するかしないかも最終的には個人の自由意志なのだから」と言ってあげたのを覚えています。

 業務連絡の不備については、言わずもがなでしょう。残業の強制が出来ない事も、労基法の趣旨から明らかです。三六協定の枠内であればそれに従わなければならない旨の判例もあるようですが、それも「無条件に有無を言わさず」ではなく、個々のケースに即して判断されるべきものです。
 今回の場合は、別に先に上がったといって、別に問題になるような事例ではないでしょう。また、現場は24時間稼動なので、若し万一その商品が仕分け出来ずに残ったとしても、夜勤者にきちんと引き継げばそれで済む問題です。

 でも、最近の若い子って、そういう風に総合的に考えるのではなく、まず遠慮が先に来るのですよね。そして、ことさら「風波がたたないように」「空気を乱さないように」「出て打たれる釘にならないように」と、そればかり気にしているような。以前と比べたら、確かにそんな子が増えました。こんなのは謙遜でも美徳でも何でもない、ただの奴隷にしか過ぎないと、私は思うのですが、今はそれが当たり前になってしまったのでしょうか。

 実際、労基法のロの字も知らない奴も、職場には一杯います。前の職場で「お前はミスが多いから」とイチャモン付けられて、一週間分の給料貰えないまま退職させられても、それが違法だと全然認識出来なかった奴すら、いましたから。
 安倍内閣の時に、日本の戦後教育を「人権メタボ」と批判した文部科学大臣がいましたが、これの一体どこが「人権メタボ」なのですかね。これでは逆「人権メタボ」じゃないですか。
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