アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

ピンチとチャンスは紙一重

2007年11月10日 08時26分54秒 | 二大政党制よりも多党制
 テロ特措法・お笑い大連立の話題は、ここで一旦まとめます。とりあえずは、大連立の話は立ち消えになったので。但し、水面下では大連立を模索する動きは依然として続いているし、給油新法との絡みもあるので、今後もこの手の話はどんどん出てくると思います。引き続き警戒が必要です。

 今回の大連立は、誰が見ても小沢の愚策です。テロ特措法との関係一つとっても、追い詰められていたのは小沢・民主党ではなく福田・自民党だったのですから。小沢は福田を適当にあしらいながら、悠然と次の衆院選に臨めばそれで良かったのです。また、民主党の方でも、小沢がそんな得体の知れない連立話を持ち帰ってきたとしても、そんなモノは自民党につき返してやれば、それで良かったのです。それでたとえ小沢が民主党を抜けたとしても、です。

 民主党が参院選で大勝したのは、あくまで「反自公」を鮮明にしたからであって、小沢はその単なる象徴にしか過ぎません。確かに、小沢が抜ける事によるダメージは、民主党にとっては小さくは無いですが、それでも「反自公」の裏切りによる取り返しのつかない大ダメージと比べたら、充分回復可能なものです。民主党は、かつての社会党が、自社さ連立政権誕生と引き換えに、何故かくも凋落してしまったのかを、改めて考えるべきです。

 問題は、何故小沢や民主党がそうしないで、むざむざ敵に塩をくれてやるような愚策に走ったのか、という事です。それは、政財界中枢からの意向を無視できなかったからです。小沢民主党が如何に「反自民」や「反ネオコン・反ネオリベ」を鮮明にした所で、当の民主党自身が「ネオコン・ネオリベ」からの企業献金や政党助成金で支えられているので、それに逆らう事など出来なかったのでしょう。

 そういう意味では、今回の大連立劇は、自民党が民主党の足元を見て、「ピンチをひとまずチャンスに変える事が出来た」という事が出来るかもしれません。しかし、そのチャンスも、所詮は「ピンチの上に咲いた徒花」でしかありません。
 自民党政治と国民生活との間にある根本矛盾が解消されない以上、衆院与党議席の「虚構の多数」に見られるような、政界と民意との間の乖離・ねじれ現象も解消されません。テロ特措法・給油新法や、消費税17%、後期高齢者医療制度、ホワイトカラー・エグゼンプションなどの悪法導入メニューが目白押しの状況の中では(その総仕上げが憲法改悪)、今後もそれらがピンチとなって大連立志向勢力の上に襲い掛かってくるでしょう。そんな中にあって、今回の大連立劇を通して、福田・小沢・自民・民主の本質が、予想以上に早くはっきりした形で曝け出されてしまいました。これは、我々国民にとっては、ピンチではなく寧ろチャンスであると言えます。

 勿論、そのチャンスの上に徒に胡坐をかいているだけでは、チャンスはピンチに転じてしまいます。今回の大連立劇が立ち消えになった後は、自民党は一転して民主党を貶めにかかるでしょう。勿論、この10年間に渡る小選挙区制・保守二大政党論の浸透と、北朝鮮問題などの影響などによって、民主党を離れた票がそう簡単には革新野党に行かない事も、政府・与党・財界は当然織り込み済です。
 政府・与党・財界にとって一番良いのは、有権者の意識が「自民も民主もどっちもどっち」のレベルに止まったまま、それが政治革新の方向には向かずに、「所詮何をしても無駄」とか「下見て暮らせ傘の下」という方向に向かい、膨大な棄権層となって滞留しまう事です。ひょっとしたら、それこそが今回の連立劇の「本当の狙い」なのではないでしょうか。そう仕向けてさえおけば、自分達はいくらでも悪政のしたい放題が出来ますから。
 それどころか、必要に応じて、これらの棄権層の「下見て暮らせ傘の下」的な意識を世論操作で適度に煽り、彼らをB層や「草の根ファシスト」として政府・財界御用の尖兵に仕立て上げる事すら出来るのです。そうして散々利用した挙句に、お役ゴメンになれば適当な所で切り捨てればそれで良いのですから。

 しかし、自民・民主・政府・財界が総がかりになって如何に策を弄した所で、自民党政治と国民生活との間にある根本矛盾は解消されません。それが解消されるのは、真の革新勢力が、自公や民主に取って代わる時しかありません。但し、それを言うは易く行なうは難し、です。真の革新勢力が、自公や民主に取って代わる代案を、民衆に分りやすい形で如何に提示出来るか。全ては其処にかかっています。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« パキスタン非常事態宣言とテ... | トップ | この際、民主党解体まで突き... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

二大政党制よりも多党制」カテゴリの最新記事