アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

「武器を持たすな 希望を持たせろ」―9.13戦争法案に反対する関西大行動の記録

2015年09月15日 22時27分19秒 | 戦争法ではなく平和保障法を


 9月13日に大阪の靭(うつぼ)公園で開催された戦争法案反対の集会とデモに参加してきました。これはその時の記録です。
 当日は、大正区のエイサー祭りに立ち寄ってから靭公園に来たので、集会開始時刻に間に合うか不安でしたが、何とか定刻の16時前に会場に到着する事が出来ました。
 会場付近ではホームレス支援雑誌「ビッグイシュー」の街頭販売が行われていました(写真左上)。9月1日号の「ビッグイシュー」は戦争法案反対特集号です。雑誌の裏表紙を掲げると、そのまま「NO WAR!」のプラカードとして使用できるようになっています。私も一冊購入しました。

 集会は16時きっかりに始まりました。まず最初に、主催グループを構成する各団体の紹介がありました(同じく右上)。各団体の名称は次の通りです。
 (1) SEALDs KANSAI(シールズ関西=自由と民主主義を守る関西学生緊急行動)、(2) T-ns SOWL WEST(ティーンズソウル・ウエスト):高校生の団体。名称は「Teens Stand up to Oppose War Law(戦争法案に反対するために立ち上がった10代)」の略。(3) Gra×Ri(ぐらり):障害者の団体。(4) しーこぷ(滋賀):会の名称はShiga(滋賀)、Constitution(憲法)、Peace(平和)の頭文字から取ったそうです。(5) SAY NO WAR Demo(セイノーウォーデモ、京都)、(6) NON STOP KYOTO(ノンストップ京都)、(7) 泉州サウンドデモ(大阪)、(8) SADL(サドル=民主主義と生活を守る有志)、(9) 戦争法案に反対する神戸デモ実行委員会(兵庫)、(10) 戦争法案に反対するNARA青年の会(奈良)、(11) WAVEs(ウェイブズ、和歌山)。



 そして、各団体からの挨拶(あいさつ)。その中でも、とりわけ印象に残った挨拶を、ここに紹介しておきます。
 まず、SEALDs KANSAI(シールズ関西)―「なぜ、他国の戦争に介入する事が平和を守る事になるのか?なぜ、日本の防衛が手薄になるのも承知の上で、米軍の肩代わりをしなければならないのか?」
 Gra×Ri(ぐらり)―「戦争になれば障害者や少数派の人権が真っ先に抑圧される。そうさせない為にも、おかしい事はおかしいと、はっきり声を上げて行かなければならない」
 T-ns SOWL WEST(ティーンズソウル・ウエスト)―「今、高校3年生として受験勉強に専念しなければならないが、奨学金をもらわなければ進学できない可能性もある中で、卒業後の返済免除と引き換えに自衛隊に勧誘され、命を差し出さなければ勉強もできないような世の中にはしたくない」(左上写真。右上写真もティーンズソウルの高校生)

 その後、会場に駆けつけて下さった野党の現・前国会議員の紹介へと続きます。民主党の尾崎さんや尾辻かな子さん、共産党の清水ただしさん。遅れて共産党の倉林明子さんも、京都での昼の戦争法案反対集会が終わった後、駆けつけて下さいました。いずれの議員さんも、この戦争法案について、政府は「平和安全法制」、マスコミは「安保法案」と呼んでごまかしていますが、「日本を取り巻く環境が厳しさを増していると政府は言うが、自衛隊機のスクランブル(緊急発進)回数はむしろ東西冷戦時代よりも減っている」「この法案の真の狙いは、日本を守る為なんかではなく、財政赤字で今までみたいに軍備に金をつぎ込めなくなった米国の代わりに、地球の裏側まで自衛隊を派兵させる所にある」という事を仰っていました。



 今回の戦争法案反対デモには高校生や10代、20代の若者も多数参加しています。「それな、とりま(とりあえず)廃案」のプラカードなどは完全に今の高校生のノリです(左上)。それに混じって、お馴染みの「アベ政治を許さない」(右上)や、沖縄の辺野古新基地建設反対のプラカードを掲げている人も多数おられました。



 「安保法案(戦争法案)に反対する学者の会」を代表して山口二郎・法政大学教授がアピール(左上)。「デモでは政治は変えられない」とほざく「冷笑」政治家の橋下徹・大阪市長には、「いくら国会で民主主義が形だけの物になろうとも、市民がいつでも民主主義を蘇(よみがえ)らせてやる」と(左上写真)。この橋下や安倍の「上から目線」で「弱肉強食」の「独裁政治」に対しては、高校生からも「なめんなよ!」(右上)、「CHANGE THE PRIME MINISTER(首相を変えろ=安倍退陣)」との強い怒りのメッセージが。



 17時デモ出発の予定が熱気あふれる挨拶で延びて17時半に。後ろを振り返るとまだまだ長蛇の列が。後で聞くと、今回の大阪のデモには主催者発表で2万人もの人々が参加したそうです。公園を出ると、沿道からは主催グループの一つ、SADL(サドル)のサウンドカーから声援が。



 デモはいよいよ御堂筋に出て、ゴールの難波元町公園を目指します。次第に陽も落ちて街灯やネオンの灯がともり出します。上空にはマスコミの取材ヘリが轟音(ごうおん)を立てて飛び交っていました。会場にもマスコミの取材陣が多数押しかけて来ていました。にも関わらず、NHKも民放も夜のニュースでは全然取り上げず、翌日の朝刊にも13日のデモの事はほとんど載っていませんでした。載っても三面記事扱い。まともに取り上げているのは「しんぶん赤旗」と「日刊ゲンダイ」ぐらいではないか。海外メディアは、ニューヨーク・タイムスもル・モンドもAFPも、大々的に取り上げているのに。信じられないでしょうが、これが今の日本の民主主義の実態です。
 最近、デモに参加する若者が増えていますが、それ以外にも、中高年や赤ん坊を乳母車に乗せたママさんもいます(右上)。地域も大阪だけでなく関西一円から参加しています。



 私は前から二番目ぐらいのT-ns SOWL(ティーンズソウル)の人達と一緒に歩いていました。
 「戦争法案絶対反対!強行採決めっちゃムカつく!憲法守らん総理はいらん!武器を持たすな希望を持たせろ!I say 憲法 You say 守れ!憲法(主催者)守れ(参加者)!」。
 高校生はコールもアップテンポで、昔の労働組合などのデモでのシュプレヒコールしか知らない私にとっては、ついていくのが精一杯。この後に続く英語のコールに至っては、最後まで聞き取れませんでした。
 でも、こちらのコールの方が、はるかに元気が出ます。アドリブのコールも次々に飛び出します。
 「ほんま自民党感じ悪いわ!うちらの未来に自民党はいらん!今度は俺らが言う事聞かせる番だ!国民なめんな!」
 ただ、やはり「I(主催者) say 憲法 You(参加者) say 守れ!」のコールの仕方については、「デモ慣れ」していない参加者もいるのですから、コール集に載せて配布するだけでなく、ちゃんと事前に説明やリハーサルも必要だったのではないかと思います。



 すっかり陽も落ち、街は夜のとばりに包まれます。報道(PRESS)関係者の方でしょうか、背中のリュックに「CAMERA AGAINST FASCISM」(カメラはファシズムに抵抗する)のステッカーが(左上)。デモのニュースを流さず政府や警察の言い分だけをそのまま垂れ流す御用マスコミの中にも、良心的な人は確かにいる。その夜のとばりの中にひるがえる、T-ns SOWLの黄色いのぼり(右上)。



 デモは大丸の横を通り過ぎ、やがて道頓堀のグリコの看板が見える所までやって来ました。ゴールはもう目前です。



 サウンドカーからは女子高生による感動的なスピーチが。「国会や選挙だけが政治ではない!高校生や子供もこの国の立派な主権者だ!(奨学金返済などの借金棒引きと引き換えに、自分や友達の命をお国の為に差し出さなければならないような)『経済的徴兵制』なんかによって殺されて堪るか!」
 弁士には女子高生だけでなく中学三年生の男子も登場し、たどたどしい言葉ながらも、先の女子高生と同じ事を懸命に訴えていました。正に「武器を持たすな希望を持たせろ!」。

 これには後日談も少しあります。この様子をツイッターに流した後、数人のネトウヨ(ネット右翼)が絡んで来ました。いわく「経済的徴兵制なぞある訳ないだろう」「文句を言う暇があるなら返済義務のない新聞奨学生でもやれ」と。
 しかし、「経済的徴兵制」はデマでも何でもありません。現に米国がそうなっています。米国も形式上は徴兵制ではなく志願制ですが、黒人などの失業青年が、学費援助や市民権付与などの「甘いエサ」に釣られて軍隊に入隊し、イラクやアフガニスタンなどの戦地に飛ばされ、そこで精神を侵され、数十万人もの兵士がPTSD(心的外傷後ストレス障害)患者となって帰ってきています。今やイラク帰還兵の2割がPTSDを患っていると言われてます。その人たちは、もはや進学や就職の夢も断たれ、一生を障害者として過ごさなければならないのです。(参考資料1参考資料2

 政府は、「今回の戦争法案が成立しても、武力行使の新3要件で海外派兵には歯止めがかけられているから大丈夫。憲法9条違反ではない」と言っていますが、とんでもありません。「新3要件」と言っても、ものすごく表現が抽象的で、どのようにでも政府に都合よく解釈できるものばかりではないですか。
 その裏では、防衛省が「インターンシップの形で、企業が新入社員に自衛隊への体験入隊を研修で義務付け、予備役としても活用したらどうか」という提言までしているのですから。そうして、実際は「徴兵制」に近いような事を考えておきながら、あくまでも形だけは「志願制」にとどめておいて、もし自衛隊員や民間人が海外で戦死するような事態になっても、「あくまでも本人の志願による戦死であって徴兵ではない」と、国は言い逃れするつもりなのです。これは、もはや自衛隊員だけの問題ではありません。国民全体に関わる問題です。(参考資料
 そんな重大な事を安倍政権は強行採決でゴリ押ししようとしているのです。

 「新聞奨学生でもやれ」と言い放つに至っては、もはや論外です。「新聞配達しながら勉強もできる」というのは建前だけで、実際は早朝の朝刊配達と午後からの夕刊配達を終えれば、勉強する時間なぞほとんど無いのが現実です。第一、外国では貸与型(ローン)ではなく給付型(返済義務なし)の奨学金がほとんどで、高等教育の学費が無料の国が大半なのに、なぜ日本だけが、進学するのにも借金まみれにならなければならないのか?それで、国が正社員のリストラを後押しし、派遣への置き換えを推進する政策を取っておきながら、正社員になれなかった奨学生を自己破産に追い込むような真似をしているのに、なぜそれを問題にせずに、個人の意欲や能力の問題にすり替えるのか。大方「自分には金もコネもあるから関係ない」とでも思っているのだろう。ネットでシールズの悪口を言うしか能のない、武藤貴也とかいう右翼で拝金主義者で色情狂いのバカ議員のように。もう「ウヨクお花畑」と言うしかない。



 私はゴール手前の南海難波駅前でデモを抜けましたが、私が抜けた後も、続々と後ろの参加者がやって来ました。デモの先頭集団がゴールの公園に着いた時に、最後尾はまだスタート地点の靭公園で待機していたそうです。9月13日は御堂筋は完全にデモ隊で埋まりました。これでもマスコミはニュースに取り上げず、「橋下徹が引退表明を反故(ほご)にして、また次の選挙に出るか出ないか」といった話題や三面記事でお茶を濁そうとするのでしょうか。
 私が帰る時に、通行人の中に「デモ隊が道路を占領して迷惑だ」と喚いている奴が一人いましたが、「そんなに文句があるなら安倍に言えよ!」と思いました。元はと言えば、全て安倍の強行採決のせいでこうなったのじゃないか。デモ隊ももちろん、通行の確保の妨げにならない範囲で、表現の自由を行使してはいるのですが、そこはやはりデモですから、通行人に負担を強いる事もあろうかと思います。しかし、それを言うのであれば、「通行の邪魔」程度では到底済まない「人殺し」や「テロ」のリスクを国民に強いる安倍にこそ、もっと抗議をすべきでしょう。それをせずにデモ隊にばかり八つ当たりするのは、お門違いも甚だしいと思います。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 外国人労働の建前と本音 | トップ | 今年のエイサー祭りは渡船に... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

戦争法ではなく平和保障法を」カテゴリの最新記事