アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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人よりトイレのスリッパの方が大事なのか

2010年06月17日 07時58分45秒 | 職場人権レポートVol.1
 職場の何気ない風景からも、その会社の気風や「仕事観」「人間観」が、図らずも偲ばれる場合がよくある。そして、それは取りも直さず、日本社会全体の縮図でもあったりする。

 
 トイレのスリッパに番号付けるより、他にもっとやる事が一杯あるだろう。人間よりトイレのスリッパの方が大事なのか。
 要するに「中身」よりも「見てくれ」が全てなのだ。幾らトヨタのリコールが大問題となり、中国ホンダやフィリピン・トヨタの工場で労働者ストが頻発し、日本国内でも、「派遣切り」で労働者が解雇され、不払い残業・偽装請負・産地偽装などの違法・脱法行為が横行しようとも、「決算書の数字さえ良ければOK」「グローバル競争に勝ち残れさえすれば全て好し」「後は野となれ山となれ」・・・今の企業の上層部が、こんな新自由主義・株主資本主義の考えにどっぷり浸っている限り、前述の「見てくれさえ取り繕えば」の体質も、絶対になくならないだろう。

 
 標語ばっかり幾ら掲げても誤配や破損は減らない。こんな「欲しがりません勝つまでは」の行き着く先が、第二次大戦中の旧日本軍による特攻・玉砕作戦の悲劇ではなかったのか。そんな精神論では問題は解決しない。「腹が減っては戦も出来ぬ」という言葉もある。まず必要人員の確保が先だろう。
 でも現実は「人は増やさないが、スローガンは盛んに掲げる」。これでは昔の日本軍部や今の北朝鮮のやり方と何ら変わらない。実際、政府や財界は、「人材開発」「人材育成」という言い方で、「人材」と言う言葉を最近盛んに使うようになったが、本来「人」は「材(財)=モノ」なんかではない筈だ。にも関わらず、平気でそんな使い方が出来るのは、本音では人間を機械の部品としてしか見ていないからだ。いずれにしても「人権」とは無縁の発想だ。

 
 労働者は消耗品ではない。時間通りに仕事を終わらせたかったら作業人員増やせ。
 配送便の出発時間もあるので、作業終了時間は守らなければならない。でも、いくら物量が増えようとも、人は増やさない。業務改善も、金のかからない小手先の範囲でしかやらない。となると、後は精神論で、ひたすら作業のスピードアップを図るしかない。
 しかし、そもそも人間は機械ではない。ビリーズ・ブートキャンプじゃあるまいし、毎日、短距離走のスピードでマラソンさせるような働かせ方をさせられたのでは、体がもたない。1日8時間以上働いているのに、昼休み以外はぶっ通しで立ち仕事なぞ、まるで「蟹工船」じゃないか。普通どこの会社でも小休止の時間ぐらいあるものだ。

  
 人はさんざん減らしておきながら、ゴチャゴチャ細かい事ばかり言うて来るな。
 一々「どこそこの店にはどの備品を使え(使うな)」とか言う位なら、旧式の備品を早めに処分するなり他に転用するなりして、「静音ドーリー使用厳守」「赤カゴ使用禁止」で全店統一すれば良いのに。
(注)「静音ドーリー」というのは、左上写真の説明書きや右上写真にあるような、青枠や赤枠のアルミ製台車の事。これに肉のスライスや魚の切り身、カット野菜や惣菜盛り合わせなどのパック・トレーが入ったケースを載せて店に出荷する。鉄製の旧式ドーリーとは違い、車輪がゴムタイヤ製で使用中もキイキイ音がしないので、この様に呼ばれる。
 
  
 何でもハンディ・ターミナル(注:右上写真のバーコード読み取り機)を通せば良いというものではないだろう。
 宅配品のような多種少量商品ならいざ知らず、カゴ車に数十ケースも積んである、たった1種類のヨーグルトにまで、いちいち1ケース毎にハンディ通していたのでは、いつまでたっても検収作業が終わらない。
 そもそも、こんな同じ製造ロットの商品を、直ぐに剥がれ落ちるようなシールに記された仮のバーコードで、ケース毎に区別した所で、一体どれだけの意味があるのか。日々の入出荷数や在庫量の把握なら、従来の紙とボールペンでの検品で充分だ。品質管理なら製造ロット(製造日・製造工場)の違いの方が遥かに重要だろう。売上管理ならPOSでなければ到底無理だ。これでは、宅急便での管理システムを、ただ単に形だけ真似たにしか過ぎない。
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体力も怒りも我慢の限界に近づきつつある (プレカリアート)
2010-06-20 07:10:44
 来月から更に仕事がきつくなります。(1)この間の新店オープンに伴う仕分け店舗数の増加、(2)バイトが2名退職、(3)夏休み商戦開始、主にこの3つの影響で確実に物量増が予想されるにも関わらず、会社経営が赤字で元請にピンハネもされているという理由で、毎日の出勤人数が来月も減らされたまま据え置かれる事になったからです。今、職場はこの話題で持ちきりです。
 この出勤調整の影響が、既に随所に現れています。夜勤作業の遅れに昼勤作業の遅れが加わり、更に夜勤→昼勤と、遅れが雪だるま式に膨れ上がってきています。遅れを出しながらも、どうにか形だけ仕事を終わらせているのが実情ですが、もうそれも限界に近づいています。昨日なんて昼食を食べれたのは午後2時前です。

 そんな中で、昨日はたまたま私とバイト・チーフの「団塊オヤジ」(5月21日付「奴隷根性の一掃に向けて」に登場)が残業でした。2人になると、どうしてもこの間の労働条件悪化の話題に話が及びます。時間ギリギリまで作業に追われ、立ち話もままならない中でも、2人とも、自然と怒りがポンポン口をついて出てきます。
 私は、「会社がここまで俺らをモノ扱いする以上は、俺らも、ただ馬車馬のように働くのではなく、もっと割り切るべき所は割り切らなあかんのと違うか?そもそも、資本家と労働者は基本的立場が違うんやから」と、オヤジに思い切って言いました。そうしたらオヤジも「そうやな、その通りや」と返して来ました。

 このオヤジの反応は私の想像以上でした。それを見て、このオヤジにも、昨日ついに、当該エントリー記事の内容をそのままワードに落として印刷した文章を読ませ、私が地域労組に加入した事も言いました。オヤジも、それに対して直接どうこうは言いませんでしたが、概ね好意的な反応を示してくれたように思います。
 職場には、相変わらず大きな変化はありませんが、地下では、確実にマグマが煮えたぎって来ているのは確かです。
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ブログ記事をビラ代わりに使う (プレカリアート)
2010-06-27 17:52:15
>このオヤジにも、昨日ついに、当該エントリー記事の内容をそのままワードに落として印刷した文章を読ませ、私が地域労組に加入した事も言いました。(上記2010-06-20 07:10:44付コメント)

 この「団塊オヤジ」以外にも、既に現時点で3名の同僚バイトに、私自身の地域労組加入の事実を告げ、当該「ワード・ビラ」を配布しています。
 その3名のうちの1人で、最近も仕事の件(それも多分に労働条件絡みの)で所長と衝突した事もあり、最も労組加入の脈がありそうなバイトに、この「ビラ」の感想を聞いてみた所、やはり「溜飲が下がった」「スーッとした」との、好意的な感触を得る事が出来ました。

 そこで、この彼には、まず私と同じ地域労組への加入を勧めておきました。いきなり職場で労組結成まで話を持っていくには色々抵抗があっても、自分自身が加入するだけなら、別段そんなに難しい話ではない。現にこの私自身も、実際の労組活動と言えば、この前の歓迎会に参加し、月額1200円の労組費を払っているだけで、謂わば「掛け捨ての保険に入っている」位の感覚でいます。
 ただ、それだけでも、何の保障も無かったルンペン・プロレタリアートの頃とは違い、少なくとも自分自身については、たとえ会社側が何か言ってきた場合でも、対等の立場で団体交渉に持ち込めます。そういう意味では、何をされてもされるがままでしかなかった以前とは、確実に違う。
 そういう事を彼にも言って、加入する気になったらいつでも私の所に言ってくるように、言っておきました。

 まずはここから始めていくつもりです。職場の実情については、既に他にも問題にすべきネタが幾つかあり、追々それもこのブログに取り上げていくつもりです。そのブログ記事の一つ一つが、後に会社と何かあった時に、有力な証拠となります。
 また、職場の中にこの「ビラ」を配布する事で、職場の同僚の意識を徐々に高めていく、という狙いもあります。私が当該記事=「ビラ」の中で、わざわざ中国ホンダのストの事に言及しているのも、自分たちに加えられている搾取が、グローバル資本主義・新自由主義の在り様とは切っても切り離せない事を、絶えず自覚してもらう為です。そうでないと、今のご時世、これをそのまま放って置いたら、排外主義やネオナチなどの変な方向にも行きかねませんから。

 しかしこれも余り過ぎると、「ビラ」の内容を職場の同僚が理解できなかったり、何かの党派の宣伝のようにも取られかねません。それは私の本意ではありません。
 また、ブロガーの立場から言わせて貰うと、余りこの職場ネタばかりに拘泥したくは無いのです。何故なら、自分たちにとっては焦眉の問題であっても、一般読者にとっては余りにも話題がローカル過ぎて、いささか取っ付き難いのは否めません。それはアクセス数の推移からも伺えます。

 その辺の兼ね合いもあって難しい部分はありますが、少しづつ協力者の輪を広げていこうと考えています。
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