アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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大本営発表は何も戦前だけに限った話ではない

2011年08月18日 23時47分56秒 | 貧乏人搾取の上に胡坐をかくな
 8月15日は終戦記念日という事で、新聞・テレビでも色んな特集記事が組まれました。しかし、大本営発表は何も戦前だけに限った事ではなく、今も広範かつ巧妙に行われていると思います。下記の産経記事を見るにつけても、取り分けそう思います。

●代替「火力」相次ぐ故障…関電すでに13件
 http://sankei.jp.msn.com/life/news/110817/trd11081720590009-n1.htm

 産経曰く、「脱原発」風潮のせいでフル稼働を強いられた火力発電所に故障が続発しているんだそうで。「だから原発は必要だ」と産経は言いたいのだろうが、じゃあ原発はどうなのか。チェルノブイリ・スリーマイル・JCO事故は勿論の事、それら以外にも配管破断・冷却水漏れ・放射能漏れなどの事故・トラブルは数知れず。現場ではデータ改竄・労災隠しも横行してきた。その成れの果てが福島原発事故やメール・やらせ事件だった。(注)
 少なくとも火力発電の事故では、放射能被曝や放射性廃棄物処分問題は起こらない。それに引き換え原発は、一旦重大事故が起これば電力不足だけでは済まなくなる。この様に、事故のレベルが全然違うのに、それを並列で比較する事自体がおかしい。

(注)主な重大事故・事件だけでもこれだけある。(毎日新聞8/2付記事より)
  1974年 原子力船「むつ」放射能漏れ
  1979年 米国でスリーマイル島原発事故
  1986年 旧ソ連でチェルノブイリ原発事故
  1991年 関電美浜2号機で蒸気発生器伝熱管の損傷事故発生
  1995年 高速増殖原型炉「もんじゅ」でナトリウム火災事故
  1997年 旧動燃東海再処理施設アスファルト固化処理施設で火災爆発事故発生
  1999年 茨城県東海村でJCO臨界事故
  2002年 東電の原発トラブル隠し発覚
  2003年 トラブル隠し問題などで東電の全原発が運転停止
  2007年 北陸電力志賀1号機で99年の臨界事故が発覚
         福島第1・3号機でも78年の臨界事故が発覚
         中越沖地震で東電柏崎刈羽原発7基のうち
         運転中の3、4、7号機と起動中の2号機が緊急停止
  2011年 東日本大震災、福島第1原発事故発生
         菅直人首相の要請を受け、中部電力が浜岡原発の運転を停止
  
●金総書記、豪華ヨットで休暇?
 http://sankei.jp.msn.com/world/news/110818/kor11081822260001-n1.htm

 「北朝鮮では7月の水害を他所に独裁者の金正日がヨット遊びに耽っている」と産経が報道。なら、かつてホリエモンやグッドウィル会長・折口がやっていた事はどうなのか。こいつらも金正日と同様に、派遣労働者の苦境を他所に、クルージングやセスナ機での空中散歩に興じていただろうに。産経はそれを一度たりとも批判したか?
 金正日の所業を批判する以上は、ホリエモンや折口の所業も同様に批判しなければ筋が通らない。JR福知山線事故報道で、国鉄分割民営化によるJRの利益至上主義や国ぐるみの不当労働行為を何ら批判しなかった産経が、中国の高速鉄道事故についてだけ、幾ら中国当局の利益至上主義や労働者搾取を論っても全然説得力が無い。それと同じだ。

●【よくわかるニュース解説】英国暴動の背景に「不良グループ文化」? 略奪や破壊に便乗 警官も傍観
 http://sankei.jp.msn.com/world/news/110812/erp11081217460007-n1.htm

 「よくわかるニュース解説」とあるが、何が言いたいのかよく分からない。この記事では、英国でこの夏相次いだ都市暴動の背景に、若者の「不良文化」(規範意識や倫理観の欠如)を挙げている。しかし、その同じ記事の中で、「過当競争・景気低迷・人種差別・貧富の格差」が原因だとも書いている。一体結論はどっちなのか。
 実際には「人種差別」や「貧富の格差」が本当の原因なのだが、それを認めてしまうと産経が拠って立つ「新自由主義=財界目線の強欲資本主義」を否定してしまう事になる。だから、一部便乗犯の存在をことさら針小棒大に言い立てて、「倫理観欠如」に因るものと強引に決め付けているのではないか。しかし、「ノルウェーの極右白人テロは同国の多文化政策に因るもの」と暗に言いながら、片や英国の都市暴動については「若者の甘やかし」に因るものと決め付けるのは、余りにもダブルスタンダードに過ぎると思うが。

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 上記はその印象操作のホンの一例です。一般的に先進国では、建前上は「言論の自由」が存在しマスコミも発達しているので、「北朝鮮のような閉鎖的・前近代的な形での情報操作は行われない」と思われています。脱原発デモや英国の都市暴動も、「在った事の事実」だけは一応報じられますから。(但し、産経は6月11日の脱原発デモを地方版では全然報じませんでしたが)
 でも、それらも所詮は上辺だけしか報じられないし、その中では上記の産経記事のような形での印象操作が必ず行われます。それも所詮は印象操作でしかないので、突き詰めれば幾らでもボロが出てくるものですが、何の根拠もなく「日本は民主主義国で北朝鮮や中国とは違う」と漠然と思い込んでいる人も少なくないので、なかなかそのボロに気付かないのです。

 それに、そもそも民主主義や人権は、「上から与えられるもの」ではなく「下から闘い取るもの」であり、少なくとも「上が変な事をしないように下から監視・チェックしていくもの」であるにも関わらず、「上から与えられるもの」と何となく思い込んでいる日本人が余りにも多い。そんな人はまず例外なく「自分の頭でモノを考えようとしない」。そのくせ、「石原・麻生」信者や「小泉・橋下」信者に典型的に見られるように、「誰かの請売りでしかない意見」をさも「自分の意見」であるかのように思い込み、「鸚鵡返しに同じ意見を繰り返すばかり」で「全然違う意見を聞こうとしない」。
 その為、まともな議論や対話には全然ならず、強者や声のでかい者の意見ばかりがごり押しされる。そんな「多数決の横暴」を「民主主義」と勘違いしている人も多い。そういう意味では、戦前からちっとも進歩していない。だから、こんな簡単な印象操作もなかなか見破れないのです。
コメント (8)
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