我々ZEVEXは、日本EVクラブの催事をお手伝いする時は「日本EVクラブ京都支部」を名乗る。活動の中心は関東のZEVEXだが、本部は京都にあるので「京都支部」なのだ。
1998年の入会だから、思えば日本EVクラブとのお付き合いも11年になる。
そんな「日本EVクラブ」が、来週の火曜日11月17日に、東京の日本橋から大阪の日本橋までを、途中でバッテリーに充電すること無く走り切るアタックを行う。
http://www.jevc.gr.jp/news.php?id=70
アタックに使用するマシンは、EVクラブがコンバートしたミラのEV。乗用車ではなく、4ナンバーの商用車ミラだ。
(4ナンバーの5速MTだから、L275Vというモデルか?アタック当日には、派手なラッピングがされるらしい)
このアタック、上手く行けば560kmを無充電で走ることになるので、去る10月27日にテスラ・ロードスターを使ってオーストラリアで樹立された、501kmという電気自動車の公道無充電走行世界記録を塗り替えることになる。ギネスにも申請しているらしい。
もっとも、「そんなに走ってどうするの?」とサブタイトルに有るように、この旅の本当の目的は電気自動車の連続走行可能性を示すことではない。何回説明しても、1充電の航続距離を問題にしてああだこうだ言う不勉強な人達(特にメディア)に対して,「じゃあガソリン車と変わらない航続距離を電気自動車で走ってやるわ!!」という舘内代表お得意のイヤミだ。手間のかかったイヤミではある、周囲のスタッフは大変だ。
「400km500km走れてこそ車だ」というテーゼに対して、「じゃあ560km走れる電気自動車が出たら買うんだな!?」というアンチテーゼを示すことで、自動車に求められる必要充分な資質とはなにか?を、バイアスを外したバランスの取れた眼で見つめ直す機会を創造することが、このアタックの核心だ。
(後席は外されているが、荷室としてはオリジナルより広いくらいだ。560km走れるからと言って「荷室がバッテリーで一杯」なんてことはない)
ZEVEXのアドバイザーでもある、日本EVクラブ技術員の薄井武信ビルダーがコンバートしたこのマシン、モーターはS200系ハイゼットに搭載されていたPM同期(定格14kW、MAX35kW)を積む。PM同期だから回生が使えるが、我々のARK-2号ほどギンギンには回生ブレーキは効かない。S200系ハイゼットEVが販売されていた当時はバッテリーが鉛だったので、あまり大きな回生電流は受け切れなかった為だろう。ガソリン車から乗り換えた人に違和感を与えないことを目的に、アクセルを戻した時に抵抗感を出した、というのが実情のようだ。つまり、制動時のエネルギーを回収して航続距離を伸ばすことは、残念ながらそんなに大きくは期待できない。560kmの連続長距離走行を可能にするのは、もっぱら搭載バッテリー電力量の大きさ、マシンの高効率化、ドライバーの腕、ルート選択、根性、に拠る。
搭載するバッテリーは三洋電機さんのリチウムイオン。時間率は聞いていないが、総電力量は74kWhらしい。軽自動車にPM同期を積んでコンバートすると、実走行電費は110~130Wh/km程度になるから、電費走行に長けたドライバーが運転すれば、560kmは充分狙える距離だ。バッテリーSOC10以下まで追い込んで良しとするならば恐らく大丈夫な距離だが、そんな三洋電機さんが冷や汗をかくような運用は、EVクラブはしないだろう(と思う)。
(床下からチラリと見えるのがリチウムイオンのバッテリー。240.5Vの74kWh。構成はちょっと複雑で、大きくはバッテリーバンクを8バンク搭載している。各バンクはモジュール5Sの構成で、そのモジュール内部で更に13Sのセル列が並列に組まれている)
このミラを支える足回りは、タイヤが省エネルギー性能に優れた新発売のトーヨータイヤの「ECO WALKER」、ホイールはRAYSの鍛造ワンピース「SUPER ECO」、アブソーバーはエナペタル(ビルシュタイン)の組み合わせになる。
スタート場所は東京日本橋の「日本橋COREDO」前、11月17日(火)の朝3時と少々早い。大阪日本橋へのゴール予定は同日15時30分。
走行中の様子はネットで同時進行動画配信もされるらしい。
http://www.jevc.gr.jp/
世界記録の更新を期待したい。
もちろん鈴木他の関西在住ZEVEXメンバーは、大阪日本橋にお出迎えに赴くつもりだ。