薫 風 ~KUNPOO~

初夏に薫る爽やかな風に思いをよせ、YukirinとKaorinが日々の出来事などを綴るページです。

指揮者の名盤

2007-07-31 | 本  棚
■ 本間ひろむ『指揮者の名盤』平凡社新書。ブックオフで奥さんが買ってきた本を奪って、こっそりとナナメ読み。50人のマエストロを聴く、との副題がついている。

■ 19世紀生まれの巨匠フルトヴェングラー、トスカニーニから、クラシックブームを導いたカラヤンやバーンスタイン、そして小澤征爾など、世界の有名指揮者のこれだけは聴いておきたい、という名盤CDの紹介も載っている。

■ 指揮者(を含め天才音楽家)に共通するキーワードは“セルフィッシュ”。ホロヴィッツやバーンスタインが自らの気まぐれによって来日公演をドタキャンしたり、ムーティが演奏を終えしばし余韻に浸っている最中に観客が突然拍手を始めたらのにへそを曲げて舞台の袖へ引っ込んでしまったり・・・。カタカナで書くとなんとなく焦点がぼやけてしまうが、要は“わがまま”ということだね。

■ やたら怒鳴り散らすような指揮者につきあわされるオーケストラの団員もさぞ大変だろうとも思うけど、小澤征爾をボイコットしたNHK交響楽団の例もあるから、どっちもどっちか。

■ それにしても朝比奈隆が、京大法学部を出ていったんは阪急電鉄に就職するも音楽の道をあきらめきれず、京大文学部に再入学し美学を学びながら指揮者となったとは知らなかった。そんな彼の経歴が、あの鋭い眼光を生み出したのだろうか。音楽の専門教育を受けておらず、またオペラなどの下積みの経験もないから、曲のレパートリーは少ないのだという。

■ 本書で紹介されていたCDの中で見直したのが、フルトヴェングラーによるベートーベン交響曲第九番(合唱付き)。以前、お世話になった信州大学の先生からクリスマスプレゼントにといただいたものだが、1951年のモノラル録音と音源が古いので、正直あまり聴いていなかったのだ。でも、改めてよく聴いてみると、地の底からこみ上げてくるような勢いというか、響きというか、なにか生命の息吹きというものを感じる。実際にライブで聴いたらさぞ感動したことだろうな、と思う。

■ 最近はおちおちコンサートにも出かけられないが、またゆっくりとすばらしい演奏を聴きに行きたいものだ。当面は、グラス片手に我が家のコンサートホールで我慢するしかない。