幸隆の国から

歴史の跡、自然、いい湯などを訪ねて出掛けたときの記録。
また、四季折々、日々の雑感です。

そば食う旅の楽しさ

2021-09-04 | グルメ

新そばが出る頃、毎年、蕎麦の産地で行われる「新そば祭り」は、待ち遠しかったものだ。

「・・・かった」と言うのも、去年からはコロナのおかげで、どこにも出かけることが出来ずにいるからである。

中には、とても珍しいそばの打ち方があるのを知った。

ずいぶん前になるが、桧枝岐(福島県)の新そば祭りに出掛けたことがあった。

 

「裁ちそば」という独特のそば打ちで、その地の伝統的は方法なのだという。

普段我々は、そば粉に水を加え、煉り、伸ばし、たたんで、細く切って麺にしたものを食べている。

なんと、「裁ちそば」は、伸ばしたそばをたたむという工程がない。

どうするのか・・・?

大きく伸ばした麺生地を何枚も重ね、その重ねたものを、包丁で向こうから手前に引いて切る。

織物の生地を裁つようにすることから、「裁ちそば」と言われるようになったそうだが、その時初めて知った。

地元のオバちゃんたちの熟練した技に、思わず見とれてしまったことを覚えている。

まるで丸太のように太い麺棒にも驚かされた。

 

今では桧枝岐へ行くのに苦労はないが、かつては秘境とも言われていたという。

昔は、つなぎにする小麦粉が高価なため、そば粉100%で打っていたという。

そのためそばがつながりにくく、折りたたむと切れやすいので「裁ちそば」の方法が生まれたと聞いた。

 

新そば祭りでは、そんな十割の「裁ちそば」が食べ放題だった。

新そばの、挽きたて・打ち立て・ゆでたてを思う存分楽しめたのだった。