como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

「翔ぶが如く」を見る!(13)

2009-09-16 22:38:13 | 往年の名作を見る夕べ
このドラマは、小説「翔ぶが如く」が原作になるパートは第2部で、第1部は司馬氏のいくつかの幕末小説をコラージュ的にして構成している(「きつね馬」「最後の将軍」「幕末」「竜馬がゆく」等)のですが、この薩長同盟のパートはほとんど「竜馬がゆく」からの脚色です。なので、とても前向きで明るく、歯切れのよいドラマ運びになっていて、見ていて気持ちがいいです。
 幕末オールスターキャストっぽくなってきますが、散漫な印象やダイジェストみたいにならないのは、どんなチョイやくでもそれぞれにシッカリした存在感があるからでしょうか。竜馬の出演する話数は少ないのですが、桂小五郎との対話など、ほんとにこうだったかもしれないと想像させるような、夢があります。幕末大河はこうでなくては、ですね。なんども言いますが。
 というわけで、今回は幕末史劇の定番の大イベント、「薩長同盟」の回です。

第1-24話「新たな契り」

 薩摩に帰国した吉之助(西田敏行)を待っていたのは、薩摩の面目を立てて長州問題をうまく収拾したことでの、藩主からのお褒めの言葉と側役への昇進でした。ついては、藩重役となると独身では格好がつかないので、妻を迎えろ、と。
 これは一蔵(鹿賀丈史)と帯刀(大橋吾郎)が積極的にすすめた話なのですが、吉之助は激怒します。吉之助には、奄美大島に残した愛加那がいるし、西郷家は弟の吉二郎(村田雄浩)にまかせ、すでに吉二郎は嫁もとっているわけですから。後顧の憂いなく国事奔走するには、嫁など迎えている閑はない!と言い切る吉之助に、一蔵は、「島の女のことでも義をいわん、まことによか嫁女がおいもす」と。
 それが、岩山いと(田中裕子)だったんですね。さっそく、一蔵は妻の満寿(賀来千香子)と一緒に岩山家をたずねて、仲介の労をとりますが、いとは昔、尊皇攘夷華やかなりしころ、大久保家の前できこえよがしの中傷をしたことがあり、そのことをすごく恥じて、一蔵に前に座られただけで「あたしはもう…」メタメタに恐れ入ってしまうわけです。が、満寿に「結婚するのは吉之助サアです!」といわれて覚醒。一緒に夫たちを支え、国事のお手伝いをしましょう!という満寿の熱いアプローチに、いとは縁談を快諾するんですね。
 こうして、2週間ばかりで話が済んでしまい、吉之助といとは結婚式を挙げます。初夜に、吉之助は、愛加那とふたりの子供のことも打ち明けます。が、いとは、いずれその子たちも薩摩に呼び寄せるだろうから、母から離れる子や手放す母の気持ちをフォローできるよう精一杯頑張ります、と。「人は自分を判ってくれる人のために死ねると申しますが、あたしは旦那さんのために生きたいと思います!」と、熱血花嫁…。なにか夫婦の初夜と言うより新入社員面接のようです(笑)。
 結婚式が済むと吉之助は京都にとってかえします。すぐに京都藩邸に坂本竜馬(佐藤浩市)が訪ねてきて、いきなり言うのは「船が欲しいきに、買うてくれんかのう!」
 幕府が、第二次長州征伐を計画している。幕府なんていうものは寿命が一日延びれば一日の害があって無用有害、けんど長州を潰したらイカンぜよ!いまは幕府・薩摩・長州に天下が三分され、長州だけがひどい目にあっていて、幕府は薩摩をけしかけて戦争にもちこもうといているのだけど、それをジッと見ているものがおります。つまり、外国ですね。異国が、日本の内戦を傍観しつつ、占領のチャンスを虎視眈々とねらっている。それだというのにアホの幕府は、フランスから借款して武装を整え、外国の内戦介入を誘うようなことをしておる。徳川家一家をを守るために日本を担保に入れる気じゃ!…と、この竜馬の演説に、藩邸中が耳をすませて、いつのまにかむさぼるように聞いているんですね。
「それやき、あしは新たに一藩を起こしたい。海の藩じゃ。外国と商いしつつ、兄弟喧嘩しゆうこの国を海から守る決意。じゃきに船が要る。くれとは言わんき、軍艦を買うてあしに貸してつかあさい。借り賃も払うきに!」
 この竜馬の言葉に、スパッと決断した吉之助と一蔵は、良しごわす!すぐ藩に帰って掛け合いもんそ、と。ついでに、竜馬も薩摩につれていって紹介したいということで、竜馬は帰国する船に便乗し、薩摩に向かいます。
 帰国した一蔵たちが久光(高橋英樹)に言上したのは、今回の長州征伐は幕府と長州の私闘である、と。介入する義理は薩摩には無いので、今回は中立ということでいきたい。その旨朝廷に言上し、みとめて頂く。久光としては、「よきにはからえ」です。とにかく薩摩が国を動かすレベルで活躍していれば、なんでも嬉しいんですね。だんだんこのバカ殿キャラが可愛くみえてきたりして(笑)。
 薩摩に滞在した竜馬は、ますます薩長同盟の必要性を強く感じ、下関にいって下工作してくる、と。半信半疑の吉之助から約束を取り付け、竜馬は下関に飛びますが、時を同じくして、幕府の長州征伐軍は見切り発車ではじまってしまったんですね。将軍が華々しく出陣というイベントで盛り上げ、幕府の権威をアピールしています。出陣する家茂を見守るのが、薩摩出身の天璋院(富司純子)ってとこが複雑なんですが。…おおっ、和宮は鈴木京香じゃない。ほとんどチョイ役扱いで、ピンボケして富司純子の背景ですけど。
 そんなわけで不測の事態、薩摩の不介入をなんとか辻褄あわせするため、吉之助もあわただしく上京、下関にいくどころではなくなります。替わりに村田新八(益岡徹)をあやまりにいかせますが、下関では、顔を潰された桂小五郎(田中健)が怒髪天を突いているわけですね。薩長同盟はあわや水泡、が、そこに竜馬が、両藩をつなぐ起死回生の一手をうつのです。「わしは、亀山社中ゆう会社をつくった。ゆくゆくは薩摩・長州両藩からようけ儲け、かつ儲けさせるつもりじゃ
さて竜馬の布石とは…?

第1-25話「薩長同盟」

 吉之助(西田敏行)のスッポカシのあと、竜馬(佐藤浩市)は京都にもどってきます。ここで、竜馬のために菊の花びらの枕をつくるという、「竜馬がゆく」の名場面が挿入されて、おりょう(洞口依子)が登場。が、竜馬はおりょうを寺田屋に残し、薩摩藩邸に駆け込みます。
 いきなり薩摩と長州が胸襟を開くのは難しいので、まずはそれぞれの利害で結びつき、信頼感を養うほうがいい。長州は経済封鎖で、武器の買い入れが不可能な状態なので、竜馬が桂小五郎(田中健)に提案したのは、薩摩が武器を買い入れて亀山社中に流し、竜馬が長州に流す。そのかわり、薩摩が近い将来京都に兵団を駐屯させるときのため、長州から兵糧米を仕入れて薩摩に卸すという案。この柔軟な発想に膝をうった吉之助(西田敏行)は、すぐに話に乗ります。
 兵庫沖に四カ国の艦隊があらわれて開港をせまり、幕府にプレッシャーをかけています。幕藩体制の空中分解を防ぐため、なんとしても長州を征伐して威信を取り戻さねばならないと、慶喜(三田村邦彦)は、長州征伐を帝に奏上し、勅許は降りました。これで長州はふたたび朝敵となり、もはや対幕府の戦争に勝たないことには、滅亡するしかない瀬戸際に置かれます。
 こういう状態で、竜馬はふたたび桂小五郎を説き伏せて、薩長同盟の席に引っ張り出すことになりました。これは長州としては、のるかそるかの大博打。
「もし薩摩が約束を破りゃあ、桂はもはや国へは帰れんろう。その場で死ぬ。けんど、あしは桂一人に腹は切らせん。薩長同盟がならざったら、もはやこの先国事に奔走する甲斐はない。 その場でおまんを刺し、桂を刺し、その刃であしも死ぬ」
 この男たちの固い決意のもとに、長州陣営は命の危険を冒して京都いり。薩摩藩邸に入り、話し合いの席につきますが、同盟話はなかなか進展しません。桂小五郎は、元治以来の薩摩への怨みを延々と話し続け、場はだんだん険悪になってしまいます。どっちが先に「同盟を結ぼう」と言い出すか、我慢比べになっちゃったんですね。さきに言い出したほうが立場が悪くなると思いこみ、双方ゆずらず時ばかり過ぎます。
 桂たち長州一行は、小松帯刀(大橋吾郎)の妾宅に滞在することになり、その世話を信吾(緒形直人)がやるのですが、帯刀の妾というのが、祇園で舞妓をしていたお縫(渡辺典子)という女で、信吾はこの舞妓に一方的に恋心をいだいていたので、薩長同盟どころでないショックをうけます。ヤケ酒をのみ、ひっくりかえって、親友の弥助(坂上忍)をびっくりさせる信吾。この歴史的場面にたちあっている第二世代の信吾や弥助も目力があって、のちの日本をリードしていく基礎をつくっているようで、とてもいい感じです。
 しばらく傍観していた竜馬は、話し合いがまったく進まぬまま桂が「薩摩に頭は下げられない。藩と滅びてももういい。長州に帰る」と言い出すに及んで、ブチ切れます。「アホな。なにが藩じゃ。おんしも西郷もしょせん日本人じゃない!」と、竜馬はそのまま薩摩藩邸に駆け込み、吉之助・一蔵・帯刀を罵倒します。
「桂は意地をはりおって、長州といっしょに滅ぶつもりや。桂はこうもいうた。薩摩が生き残って戦うてくれりゃあ、天下のために幸いである! 自分は戻って幕府の大軍を迎え撃つけんど、滅ぶとも悔いはない!…わかりますろうか。桂は、長州の面目にこだわっちゅうけんど、決して天下のことを考えちゃせんわけじゃない。長州が、長州が可哀想じゃないかえ!」
 さあて、ここが「竜馬がゆく」パートのキモの場面なんですが、竜馬の感情の迸るままのこの一言で、吉之助は意地を捨て、薩長同盟はトントンとなるわけです。この神経戦で消耗した一蔵は、胃に穴が開きかけてぶっ倒れますが、一蔵にも京都妻ができて、シッポリと世話をしてくれてるんですね。おゆう(未来貴子)という人です。
 薩長同盟のために働いた竜馬は、幕府の最重要指名手配となり、ついに滞在中の寺田屋を襲われて傷を負います。有名な慶応寺田屋事件。竜馬の遭難を聞いた吉之助は、薩摩から軍隊を出す!どげんしても坂本どんな死なせてはならん!!ということで、弥助に大砲の出撃を命じるという凄いことになります。すでに大砲の第一人者に成長している理系男子・弥助が、なにげにいい味をだしてます(笑)。
 とにかく竜馬はことなきを得て、おりょうとともに、傷養生をかねた新婚旅行で薩摩に向かいます。薩摩の西郷家では、いと(田中裕子)が臨月のお腹で、大久保家の満寿(賀来千香子)と一緒におりょうを接待しますが、おりょうの天然さと薩摩女の質実さがなんとなく噛み合いません。
 やがて、幕府と長州との間に戦端がは開かれます。第二次長州征伐(四境戦争)です。将軍家茂の出陣で華々しく開戦となりますが、実は、家茂は滞在中の大坂で、ポックリと亡くなっていたんですね。ごく内々の話として大奥で聞いた天璋院(富司純子)は悲しみにくれ、さらに、家茂の死を伏せて戦争を続行するという幕府の姑息さに怒りを覚えます。
 この動乱のなか、吉之助も、生まれたばかりの長男をのこして薩摩から京都に、忙しくとって帰すことになるのですが…。

(つづきます)


4 コメント

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薩長同盟来た! (みさき)
2009-09-17 01:20:25
ここに辿りつくのをワクワクしながら、レビューを読ませていただいてました!
木戸ファン(まだ桂ですね)なので、出番があると、やはり嬉しいものです。司馬さんは桂さんに辛いので、ドラマでも良い役じゃないのかもと思いつつ・・・(笑)

「翔ぶが如く」の原作は全部読めなくて、木戸描写の部分を拾い読みしたくらいで(←分かりやすい奴)、大河も総集編を借りて見たくらいなんですが、西郷さんと大久保さんがいちいち見つめあいながら会話するのが、見ていて恥ずかしかった覚えがあります(笑)。妙に西郷にマメな大久保とか。今年みたいに中途半端に狙った描写じゃないので、全然嫌な気分にはならないんですけど。(比べるのが間違ってる)
これからますます面白くなっていくところですよね。こちらも頑張ってくださいませ。
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桂さん!! (庵主)
2009-09-17 22:02:35
みさきさん

お、桂ファンなのですか! それはそれは…
司馬さんは桂さんに辛いって、確かに(笑)。「逃げの小五郎」を読んでいると、気の毒になってきますが、それでも慶喜ほど嫌いじゃないと思いますよ(ってそこと比べるのか 笑)
ちなみにわたしは高杉晋作が好きなので、長州ものにはいつもワクワクとしてしまうのですが、この人あんまりドラマに出てきません(泣)桂さんのほうが露出は多いですよね。

>西郷さんと大久保さんがいちいち見つめあいながら会話するのが

いや、ホントそうですよ。あまりに見つめあいが熱すぎて、そこに「愛」としかいいようのないものが存在しているのを感じてしまうんですよ。
男と男の魂のドラマのボルテージが上がるあまり、おもわず腐の香りがただよってしまうというのは、大河ドラマとしては最高の領域なんではないでしょうか。「風林火山」にもちょっとそんな気配ありましたよね。
…とまあ、勝手にキャーキャーいって喜んでおるのですが。
あのマッサージ場面はすてきすぎたわ…(オイ)。
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天地人と「翔ぶが如く」 (東行)
2009-09-30 18:34:16
今日、入塾させていただきました新参者で、恐縮です。
天地人は3回目で見限り、観ておりませんが、篤姫様の影響で、この春、「翔ぶが如く」小説10巻、レンタルDVD全10巻を改めて見終えました。
したがってお仲間に入れさせていただきたく投稿しました。幕末明治維新大好き人間として
よろちくお願いします。
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ありがとうございます。 (庵主)
2009-10-03 23:12:12
東行さん

ようこそいらっしゃいました。コメントありがとうございます。
本家サイトにもおよせ頂いたみたいで、恐縮です。
篤姫関連の記事にコメントいただいたのも有難いのですが、もう終了して久しいことでもありますし、私のほうが話題にできるテンションではないので…(汗)。
したがいまして、申し訳ありませんが、去年以前の過去記事については、こちらからは一律ノーコメントとさせていただきたいと思います。ご容赦ください。
宜しかったら、翔ぶが如く関連のスレッドのほうにもご参加くださいね。お待ちしております。
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