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como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

「黄金の日日」を見る!(3)

2011-01-17 23:19:41 | 往年の名作を見る夕べ
 ねえやっぱり五右衛門@根津甚八って、キムタクに似ているよね?!ね?
…そう、根津さんはたしか、この大河ドラマでブレイクをしたのでした。いまもむかしもイケメン大河っていうのは、そんなに本質変わってないですし、昔の大河ドラマがすごく格調高いかっていうと、そんなことはありません。昔もやはり、大河ドラマは娯楽でした。
 でも…。やっぱりいまどきの大河ドラマって、必要以上に感傷的な場面を入れすぎじゃね?と、こーゆー30年以上前の作品を見たりすると、思ってしまう。「第1回から3回泣けます!」だなんて、昔の大河ドラマでは考えられぬことですよ。
 このへんの話は、あてつけ視聴をしている2011年の新大河・「江」の初回と完全にかぶっているのですが、比べて思ったのは、情報処理の的確さの違い…ですかね。大河ドラマの初期というのは、物語の前提として提示すべき情報が多いので、視聴者をドラマの世界にひきこむために、周到な根回しが必要なんですよ、本当は。グダグダ泣いてる場合じゃねえよって。「黄金の日日」はまだ泣ける話なんかではありませんが、大河ドラマにつきものの「運命の出会い」とかも、描写がタイトで、見てて気持ちいいです。そのぶん、よく整理された歴史ドラマとしての情報が、きちんと頭にはいってくるし。
 という感じの、「黄金の日日」第4・第5回です。

第4話「北征前夜」

 天下布武を目指す信長とともに、新たな時代に突入した堺では、軍事・流通・経済・宗教などあらゆる面において改革が進んでいます。このころの、なんか時代がまったく未知の方向に進んでいくような高揚感って、すごいものがあったんでしょうね。
 助佐(市川染五郎)は、半年上陸禁止の禁足も解けていますが、いまだに出港待ちで、エネルギーをもてあまし、ある日、堺の町の切支丹寺に、ぐろーぼというこの世の模型があると聞きます。
 なんとかそれを見たいと思いつめた助佐は、五右衛門(根津甚八)に頼み、一緒に切支丹寺の、バーデレの部屋に忍び込みます。憧れのぐろーぼを見て興奮する助佐。ですが、部屋の什器を盗んで逃げようとする五右衛門と、そこで争いになり、他人の部屋を破壊するような乱闘におよび、(オイ…)、切支丹寺の人々に見つかってしまいます。バーデレのルイス・フロイス(アロイジオ・カンガス)、切支丹寺の寄進者である豪商の日比谷良慶(渥美国泰)、娘のモニカ(夏目雅子)。それに美緒(栗原小巻)。ああ、在りし日の夏目雅子さん。本当に本当にきれい…!
 フロイス神父は、不法侵入した助佐をとがめないどころか、「アナタモイッショニミヤコニイクネ~~」とか言って、なぜか助佐を荷物持ちにスカウト。ぐろーぼは織田信長公への献上品だから、それをもって一緒に京都に行きましょ~、というのでした。日本語もペラペラの神父さんです。
 こうして、美緒とモニカと一緒に、信長を表敬訪問するなりゆきになった助佐は、旅の途中の船の上で(でも、堺から京都にいくのになんで海路をとってるのか、ちょっと謎…)神父から、世界についてのレクチャーをたっぷり受けます。フィレンツェ、ヴェネチア、オランダなどの自由都市の話を聞き、「アナタ、フィレンツェのシニョーリオ広場のダヴィデ象に似てイルネ~」とか言われたりして。巨人ゴリアテに立ち向かうダヴィデというのが、助佐の波乱の運命を暗喩してたりするのかしらね。
 二条城の普請場で再会した信長(高橋幸治)は、強烈なキャラに磨きがかかってました。美緒とモニカにちょっかい出した足軽の首を一刀で飛ばし、平然としていたりします。高橋さん、数多の信長役者の中でも最高といわれるのも頷ける…。中高で美しい顔と、狂気と気品と剛毅が共存する感じ。パッと見て「あ、信長…」という、すごい説得力。
 信長と浅からぬ因縁をもってしまった助佐は、その後、伊勢の北畠攻めの戦の時も、信長の専属武器商人となった宗久(丹波哲郎)の供で、人足として砲艦に乗り込み、信長の華麗な戦を目の当たりにします。
 といっても、信長はまだまだ、田舎の新興勢力であり、将軍を奉じて天下布武などちゃんちゃら可笑しいといっている旧勢力が、まだまだ日本を支配しているわけですね。肝の据わらない将軍・足利義昭(松橋登)は、そういう旧勢力に擦り寄って糾合するような怪しい動きもあり、油断がならないわけです。
 そして、いよいよ信長の野望への邁進が始まるのですが、まず、将軍に恭順のため上洛を要請するも、応じようとしない、越前の朝倉義景。これを討ってしまおうという話になります。
 でも、朝倉の前には近江の浅井長政というのがいるわけで、浅井とは、朝倉とは戦はしないよという条件で同盟を結んでいるんですが、この同盟を破却してしまう。浅井は見ているしかないであろう、ということでね。
 こうして、天下を敵に回しての信長の戦、いわゆる元亀争乱が始まろうとしています。信長の武器顧問である宗久は、鉄砲を運搬する荷駄対の指揮官に、堺の町で放蕩の限りをつくしているドラ息子・兼久(林隆三)を指名します。
 べろべろに酔っ払った兼久は、オヤジへの反感もあって、ふざけた態度で断わるのですが、宗久はバカ息子を張り倒し、「信長様の戦をその目で見て、世の中がどう変わるか見定めてこい!」とケツを蹴り上げ戦場に放り出します。
 兼久が鉄砲を輸送する先は、木下籐吉郎という大将だと知った助佐は、あのひょーきんなお侍!!なんとしても会いたい!!とまたぞろ突っ走り、兼久のところにいって、オレも鉄砲運搬の荷駄隊に入れてください!と手を突いて志願します。そしたら、兼久はなんと「そんなに戦に行きたいの?んじゃお前が大将な!」といって、大将の陣羽織と両刀、指揮鞭などを助佐に投げ与えてしまうのでした。「オレの言うことが聞けないなら連れて行かないよ!」と言って…。
 ボーゼンとしながら、とんでもない成り行きで、荷駄隊の指揮官になって、ドサクサに出陣してしまった助佐…。こんなんあり?? いや、この超展開面白ーい!面白すぎるわ!!

 第5話 「総退却」

 さて、兼久(林隆三)の悪フザケで、今井の荷駄隊の隊長になってしまった助佐(市川染五郎)。とりあえず鉄砲を越前の朝倉攻めの再戦線にいる信長軍の、木下籐吉郎にとどければよいわけですが、思いがけない事態に巻き込まれてしまいます。
 鉄砲を運んでいく途中で、どうも街道の様子が変で、よくわからない伏兵の待ち伏せで閉鎖されていると、荷駄隊の斥候をやっている五右衛門(根津甚八)が報せにきます。事情はわかんないけど、もっけの幸いと兼久は、んじゃあ退却、退却な!とサッサと腰を上げるのですが、正義感の強い傭兵隊長の斎藤十郎が、かねて兼久のグータラにブチ切れ寸前になっており、「この荷駄隊の長はこの方だ!われらは長の下知に従うっ!」といきなり助佐を指差します。
 成り行きで、荷駄隊の行軍を前進か退却か、決めろといわれてしまった助佐は、戸惑いながらも「えっ…あー、じゃあ前進!ぜんたーい進めっっ!」と、反射的に前向きな返事をしてしまい、結果、今井荷駄隊は、越前まできわめて危険な行軍をすることになったのでした。助佐…。こいつ可愛い…。なんなのこの天然なキュートさ。
 いっぽう、織田信長(高橋幸治)は、天筒山城と金ヶ崎城の二城を攻め落として越前総攻めを決行しようとしております。連合するのは徳川家康。アタックチャンス!(さ、寒…)児玉清が演じています。このころの児玉さんって、ちょっとむくんだ風間杜夫みたいなイケメン(か…?)で、出てると知らなきゃすぐに本人とわからない。
 信長軍が越前国境を越えていこうというタイミングで、近江の浅井長政が裏切ったんですね。信長軍は、浅井・朝倉両軍に挟まれて、袋のネズミの仕儀に相成りました。そうとは知らずに進軍を続け、金ヶ崎城を捨てて本拠地の一乗谷に退いた朝倉勢を、一気に攻め落とすと勢いづくのですが…。
 いっぽう、助佐の荷駄隊は、信長軍より早く、背後の浅井が挙兵して信長軍の退路を断っていることに気づきます。朝倉領内に誘い込まれた信長軍は、完全に死地にはいった。もう尾張・三河連合軍の全滅はあきらか。わしらこのまま退却なっっ!…と相変わらずグータラな兼久なのですが、とりあえず、自分たちも四面楚歌の敵地にいるわけですね。この状況を打開するには、「今井と誼のある六角勢を頼って、この鉄砲を土産に差し出して助けてもらえばいい」と、この無責任な発言に、助佐がついにブチ切れます。  
「もってのほかでございます。この鉄砲は全て織田様のご注文を受けたものでございます。織田方が勝っていようと負けていようと、我らは、この鉄砲をお届けするのがつとめ。わたしは一人になってもこの銃を織田様の陣中におとどけいたします!」
 っと、こう文字にするとフラットな正義感みたいなんだけど、そういうんではなく…なんてんだろ。すごく天然素朴・一徹バカの性格として、なにしろやることはまっすぐにやり遂げるんだ!と、あと本能にやどった商人としての矜持というか、そういうものが突然、助佐のなかで覚醒した、そんな感じですね。
 ですが状況は絶望的。助佐を殺して銃を奪おうとした兼久たちを、五右衛門が撃退したものの、敵陣に荷駄とともに、助佐・五右衛門・斎藤十郎の三人だけになってしまいます。
 といっても、悪いことはできぬもの。逃げていく兼久たち一行は浅井兵の目に留まり、追撃されて皆殺しの運命に。兼久たちが盾となりオトリになってくれたかっこうで、助佐たち三人は敵陣を突破することができたのでした。
 命からがら逃げた兼久は、どことも知れぬ山里をさ迷い歩きます。力尽き、そのへんの廃屋で意識を失って、ふと覚醒したときには、暖かい火のそばで手厚く手当てされていて、そこには、あっと驚くようなうら若い美女がすわっておりました。
 この美女の名は、名取裕子です。いやー、これがきれい!妖艶!長沢まさみも逃げ出すような若くセクシーな美人で、びっくりしますよ。でもとりあえず、この女の正体はまだ謎です。
 堺の町では、今井宗久(丹波哲郎)が、美緒(栗原小巻)に、兼久の嫁になってくれないか…と、とんでもない話を持ちかけています。この荷駄隊の仕事をやり遂げれば、あれも性根を入れ替えてくれることだろう。あいつの根性が直らなければ今井の将来はあやうい。お前にはこれからも兼久と、今井家を支えてほしいのだ…と頼まれて、嫌とはいえない美緒。嫌なんですけどね。首絞めたいくらい兼久を嫌っているのですから。でも…「嫌とは言わせない」と宗久に言われてしまうと、緊縛状態に陥る美緒なのでした。
 浅井・朝倉両軍に挟まれて、いよいよ袋のネズミとなった織田軍。信長は、総退却を命じます。そして、陣営を立て直すため、自らは単騎で陣を脱出、京都を目指します。
 退却する織田軍の殿軍をつとめたのは、木下籐吉郎(緒形拳)、それに強力した明智光秀(内藤武敏)と、家康の軍でした。金ヶ崎城で朝倉の追撃を防戦しつつ、武器の少なさに歯噛みしていると、なんとそこに、今井の旗を立てて銃と弾薬をかついだ、三人の男が現れるではありませんか!
 それが助佐と五右衛門、斎藤十郎の三人だったんですね。ですが、浅井の陣地を突破してきたとは信じられん。敵の間者であろうと籐吉郎に、助佐は、あのラッキーコインをみせます。「これ、ご覧ください。いまより10年前に、木下籐吉郎という台所方のお役人が、今井の小僧に恵んでくださった永楽銭でございます!!」 あーーーっっ!!といっきに記憶が蘇り、事情がのみこめ、大感激する籐吉郎。ありがとう助佐! そして織田軍は勇気倍となって、朝倉の追撃をバタバタと倒し始めます。
 こうして、助佐と籐吉郎・秀吉の長く数奇な因縁が始まったのでありますが…。

つづきます。


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