SHOUTS TO THE SOUL !!   岡崎 陽

根っからのネガティブ人間。
無能、ノミの心臓が語るブログ。

短篇小説 「デジャブ」

2015年12月28日 16時32分37秒 | Weblog
デジャブって、初めて来る場所、初めて見る物なのに、すでに前に体験したかのように感じることをよく言われるけど、

俺は人を見ると思うんだ。

当然、初対面なんだけど、「ああ、こういう人いるよな」って、思うんだ。

何を根拠にそう思うのだろうか?

テレビや映画で観たキャストに似ているのだろうか?

誰か似ている人が知合いにいるのだろうか?

ただ、顔を見るだけで、以前から知っているかのように、性格とか声の質とか、癖とかが解るような気がするんだ。

そして、ちょっと、話したり、行動を共にしたりしていると、意外と遠からず予想通りなんだよな。

あるときに俺は思いもしないことを口走ってしまったことがある。

「あれ、もう体大丈夫なんですか?」当然知りもしないこと、相手は困惑した様子で俺を見る。

そして、ちょっと考えるそぶりをしたんだ。

「ええ、先月までは歩くのも困難でしたが、やっと仕事に復帰できました、でもそれをどこで?」

俺は絶句した、どこで?誰から聞いたことか?・・・いやそんな情報はどこからも得られていない。

そもそもそんなこと、何の根拠もなく俺が言ってしまったのか?全く不可解だった。

答える言葉も見つからずに絶句していると、「ああ、前担当者の彼が言っていたんですね」

俺は「ああ、そうかもしれません、失礼なこと言ってしまいました・・」



すれ違う女性を見て、「ああ、彼女は失業中で貧困が悩みなんだよな」

電車の中で前の人を見て、「あのおじさん、先日お母さんが亡くなられて、未婚のまま一人暮らしなんだよな」

何故かそんなことをまるで知っているかのように、思ってしまうんだよな。

勿論、根拠もなく、正解だなんて思わないけど、他人だから、正解も不正解もまったく知る由もないし、俺には無関係なことだ。


ただ、みんな、俺と同じような洞察力はあるものだとも思っている。

だから、自分が見透かされても恥ずかしくないように心掛けているんだ。

全ての人がそう思っているよな。

そうでなければ、世の中犯罪者だらけになってしまうように思えるんだよな。








最新の画像もっと見る

コメントを投稿