彼は去年、肺炎をこじらせて、高熱による脳の疾患を患い、精神を壊したと聞いた。
部屋で1日中テレビを見て・・・いや観ていない、その視点は定まっていなかったようだ。
しかし、笑い、泣き、時にはひれ伏すようにうなだれているのを見て
家族は彼を精神病院に入院させた。
入院半年後、友人である俺は彼を見舞いに病院を訪れた。
彼はよだれをたらし、にやけながらテレビの前に座っていた。
俺は無言で彼の肩に手を置き、ほんの数分その状態で彼を観察した。
小刻みに肩を震わせている。
服の上からでも骨ばった体は痩せていることがわかる。
フケが付いている襟足は汚れ、病院の不潔感がうかがえた。
彼は俺の存在に気付かないようだ。
俺はこの場にいる理由が思いつかず彼に背を向けた。
その時、彼は小さな声で・・そう俺だけに聞こえるほどの小さな声で、「・・・もう帰るのか?・・・」
確かにそう言った。
俺が振り返ると、彼は俺を凝視して、小さく親指を立てた。
「ここは天国だ、俺の作ってきたわずらわしいしがらみから、解放された。
俺を追い詰める会社も、勝手に俺の稼ぎをすべて食い尽くす家族や、やかましい雑踏そして、不安な将来・・
それらの全てから解放された俺は今、至高の人生を謳歌している。」
そう、彼は病人を装うことで自由を手に入れた。
部屋で1日中テレビを見て・・・いや観ていない、その視点は定まっていなかったようだ。
しかし、笑い、泣き、時にはひれ伏すようにうなだれているのを見て
家族は彼を精神病院に入院させた。
入院半年後、友人である俺は彼を見舞いに病院を訪れた。
彼はよだれをたらし、にやけながらテレビの前に座っていた。
俺は無言で彼の肩に手を置き、ほんの数分その状態で彼を観察した。
小刻みに肩を震わせている。
服の上からでも骨ばった体は痩せていることがわかる。
フケが付いている襟足は汚れ、病院の不潔感がうかがえた。
彼は俺の存在に気付かないようだ。
俺はこの場にいる理由が思いつかず彼に背を向けた。
その時、彼は小さな声で・・そう俺だけに聞こえるほどの小さな声で、「・・・もう帰るのか?・・・」
確かにそう言った。
俺が振り返ると、彼は俺を凝視して、小さく親指を立てた。
「ここは天国だ、俺の作ってきたわずらわしいしがらみから、解放された。
俺を追い詰める会社も、勝手に俺の稼ぎをすべて食い尽くす家族や、やかましい雑踏そして、不安な将来・・
それらの全てから解放された俺は今、至高の人生を謳歌している。」
そう、彼は病人を装うことで自由を手に入れた。
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