スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

風刺画の作者殺害に懸賞金

2007-09-17 04:01:10 | スウェーデン・その他の社会
ムハンマドの風刺画論争のことを書いた。騒ぎは沈静化したかに見えたが、ここへ来て新たな展開となった。

土曜日、イラクのアルカイダを名乗る集団が、風刺画の作者であるLars Vilksと風刺画を掲載したオーレブロー市の地方紙Nerikes Allehandaの編集長を名指しし、彼らを殺害した者にそれぞれ10万ドルと5万ドルの懸賞金を与える、とビデオ映像の中で発表したのだ。Lars Vilksの首を切った場合にはさらに5万ドルが与えられるという。

現在、スウェーデン公安警察(Säpo)がその信憑性について分析中だ。しかし、どこまで真面目に受け止めていいのか、判断が難しいという。

また同じビデオの中で、スウェーデンの主要企業Ericsson、Volvo、Ikea、Scania、Electroluxを名指しし、これらもテロの標的にする、と言っている。これらの企業は、中東地域にある会社の施設の警備を強化するとともに、従業員には会社のロゴ付の服で表を歩かない、など、目立たぬ行動を取るよう指示してある、という。かわいそうなことに、これらの会社は自分たちとは全然関係ないことに巻き込まれてしまったのだ。

イスラム教徒といっても、ほとんどはテロなどとは無関係だ。ただ、一部の過激派組織が、ちょっとした機会をも利用して「イスラム教」対「キリスト教」という対立構造を煽ろうとしているようだ。アルカイダを名乗る集団がイラクやアフガニスタンでテロ活動を繰り返しているが、彼らの活動地域で自分たちの名声や人気を高めたり、新たな加入者を勧誘するためには「外の世界に大きな外敵がおり、自分たちの社会が危機に瀕している」ことを煽る必要がある。一種のナショナリズムと同じメカニズムだ。

スウェーデンにある2大イスラム教組織は、この殺害脅迫を強く批判し、脅迫を出している集団にアラビア語で、脅迫を取り消すよう、求めている。

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