スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

ゴットランド島の「政治ウィーク」 (2)

2008-07-16 08:32:17 | スウェーデン・その他の政治
「政治ウィーク」の一週間、各党は以下の順番で屋外演説を行った。

6日(日) 自由党
7日(月) 中央党
8日(火) 社会民主党
9日(水) キリスト教民主党
10日(木)環境党
11日(金)保守党(穏健党)
12日(土)左党

どの党も党首が夕方7時から30分程度の演説を行った(土曜日の左党は午前中) 。自分の党の政策マニフェストを、レトリックを交えながら聴衆に訴えていくという感じだ。

小さな党は、自分たちの得意な政策領域を持っており、自由党は学校教育と原発、中央党は中小企業・起業家支援と環境政策、環境党はもちろん環境政策、左党は税制・民営化反対などを中心に強調しながら、演説を展開していく。

これに対し、大所帯であり、与野党それぞれの第一党である社会民主党保守党は、社会保障政策や税制、外交、国際平和などより幅広い分野について、自分たちの政策主張を展開していた。

ただ、それぞれの党の政策主張はこの「政治ウィーク」に限らず、これまで様々な場所で繰り返されてきたので、メディアも一般の人々も既に大体把握している。だから、あまり驚くような内容はほとんどない。しかも、今年は次回の総選挙まであと2年もあるので、与野党双方に目立った動きはなかった。

そうはいっても、たまに世論を驚かせて支持率を伸ばそうと挑む党が、いきなり予期しなかった政策提言を行ったりする。特に連立の影に隠れてしまいがちな小さな党が、他の党にはない自分たちのプロフィールを強調しようとする傾向がある。

今回であれば、今までそんなこと一言も言ったことがなかったキリスト教民主党が「バルト海のタラの乱獲を防ぐ措置を取るべき」という主張を自党の政策に盛り込んでいた。問題認識もアイデアも別に目新しいものでは全くない。スウェーデン近海やヨーロッパにおける漁獲資源の枯渇は以前から問題視されており、特に環境党が「抜本的な措置を取るべき」と数年も前から訴えていたのである。また、自由党も中道右派連立の各党間の協約を破って「原発の増設を!」などと訴えていた。

――――――
今年のビックリは、社会民主党党首モナ・サリーンの演説の前に、あるコメディアンを起用して、スタンドアップ・コメディーをさせたこと。私も以前から好きなコメディアンで、彼のまくし立てた20分間は会場から笑いが絶えなかった。社民党を讃えるのではなく、むしろ皮肉を交えながら面白おかしく批判して、最後に「社民党よ! 党のアイデンティティを失ってはいけないよ!」と釘を刺していたのが重要な点だったと思った。


早口で喋るので、手話通訳も大変!

そして、モナ・サリーンの長い、長ーい演説。その前のコメディーが面白かっただけに、こちらの本編のほうは、ちょっと退屈だった。

しかし、彼女は最後に40年前にこのイベントをスタートさせたオロフ・パルメを讃え、今は亡き彼の代わりに、彼の妻を壇上に招き、花束を渡したのだった。3000人を超える観客で溢れていた会場は拍手喝采!!!


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