物が有り余るほどあることを、「~が腐るほどある」なんて大げさな表現をしてみたことが子供の頃にあったけれど、今スウェーデンで「腐るほどある」ものといえばブルーベリーだ。
市内から郊外のほうへ5、6kmいったところにある針葉樹の森に入ってみると、あたり一面見渡す限りブルーベリーが実っている。そこにバケツを持って、ブルーベリー摘みをするのだ。
先週末に初めて行ったときに、一面に実っているブルーベリーを見て、今がハイ・シーズンなんだ、と思って、平日にも朝早起きして、せっせと摘んでみた。同じように森に入っているスウェーデン人をたまに見かけた。あたり一面が森で自分しかいないと思って、黙々とブルーベリーを摘んでいるところに、音もなく、どこからともなく、ふと人が現れるのにはゾッとする。
しかし、生い茂るブルーベリーをよくよく見てみると、粒の多くがまだまだ小ぶりだし、犬の散歩がてらの近所の人の話だと、9月の終わり頃まで収穫ができるというので、どうやらもうしばらく待ってみてもいいのかもしれない。
とはいえ、もう既に3リットルも摘んでしまった。これを砂糖で煮てジャム作りに挑戦。こんなことは初めてだけれど、意外と簡単に綺麗でおいしそうなジャムが出来上がった。ジャムは普段、イチゴやブルーベリーのジャムを買って食べているので、これからせっせと収穫して、一年分を備蓄しておこうかなと思っている。これで目がよくなるかな?
採れたブルーベリー。砂糖とともに火にかける。
煮汁が少しずつ出てきて、ブルーベリーが溶けていく。あまり長く煮詰めずに火を止め完成。
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この季節のスウェーデンは、ベリーのシーズンだ。ブルーベリーのほかにもリンゴン(lingon)と呼ばれるものや、svartvinbär, björnbär, hallon, hjortronなど多彩なベリーがあちこちに実っていて、個人の敷地内を除いては基本的に自由に摘んでもよいとされている。
ベリーの黄色く実るhjortronなどは、なかなか見つけられず、希少価値が高いとされている。摘んだベリーを買い取ってくれる業者がスウェーデン北部にはいくつかあるので、ベリーをせっせと摘んで、小遣い稼ぎをすることもできるのだけれど、買い取り価格がハードな労働の割りに合わず、商売でベリー摘みをするスウェーデン人はあまりいない。その代り、この季節にはバルト3国の辺りの人やポーランド人、そしてタイ人などがスウェーデンにベリー摘みにやってくる。それぞれが個人であちこちの森に入り、採ったベリーを買い取り業者に買い取ってもらって、所得を得るのだ。自転車旅行中にキャンピング上で寝泊りしながら、ベリー摘みをするポーランド人の若者に会ったことがある。タイからの人は、集団でベリー摘みの仕事を斡旋するタイ人の業者もあるようだ。
こういった外国人のいわゆる“季節労働者”の中でもタイ人がベリー摘みに一番適しているのだそうだ。腰を曲げながらベリーを摘む作業は、米を栽培する作業に似ているし、タイ人は蚊や湿地にも慣れているので、文句を言わず、せっせとベリーを摘むのだそうだ。あるタブロイド誌に、国別の季節労働者の評価が書いてあったけれど、一時間当たりの収穫量はタイ人がトップ。ポーランド人やバルト人、そしてスウェーデン人にしても、それにははるかに及ばない。インタビューされたタイ人は、お金を貯めて、タイで家を新築したい、と語っていた。
スウェーデン産のベリーには、日本を始めとする国外での需要が近年高まっている。健康食品ブームに加え、ベリーを医薬品の原料にするのだそうだ。そのため、外国からの季節労働者はスウェーデンにはなくてはならない存在だ。そのためもあってか、税制では“ベリー摘みによる季節労働所得は非課税”とされ、所得控除ができるほどだ(法律にちゃんとそう書いてある!)。
ともあれ、スウェーデンは広い。国土のほとんどが森林だ。その分、ベリーもたくさんある。ある推計によると、人間に収穫されるのは実るベリーの5%ほどで、残りの95%はそのまま腐ってしまうのらしい。私の個人的な印象だと、5%というのも過大評価で、実際、人間が収穫するのは1%にも満たないのではないかと思う。
市内から郊外のほうへ5、6kmいったところにある針葉樹の森に入ってみると、あたり一面見渡す限りブルーベリーが実っている。そこにバケツを持って、ブルーベリー摘みをするのだ。
先週末に初めて行ったときに、一面に実っているブルーベリーを見て、今がハイ・シーズンなんだ、と思って、平日にも朝早起きして、せっせと摘んでみた。同じように森に入っているスウェーデン人をたまに見かけた。あたり一面が森で自分しかいないと思って、黙々とブルーベリーを摘んでいるところに、音もなく、どこからともなく、ふと人が現れるのにはゾッとする。
しかし、生い茂るブルーベリーをよくよく見てみると、粒の多くがまだまだ小ぶりだし、犬の散歩がてらの近所の人の話だと、9月の終わり頃まで収穫ができるというので、どうやらもうしばらく待ってみてもいいのかもしれない。
とはいえ、もう既に3リットルも摘んでしまった。これを砂糖で煮てジャム作りに挑戦。こんなことは初めてだけれど、意外と簡単に綺麗でおいしそうなジャムが出来上がった。ジャムは普段、イチゴやブルーベリーのジャムを買って食べているので、これからせっせと収穫して、一年分を備蓄しておこうかなと思っている。これで目がよくなるかな?
採れたブルーベリー。砂糖とともに火にかける。
煮汁が少しずつ出てきて、ブルーベリーが溶けていく。あまり長く煮詰めずに火を止め完成。
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この季節のスウェーデンは、ベリーのシーズンだ。ブルーベリーのほかにもリンゴン(lingon)と呼ばれるものや、svartvinbär, björnbär, hallon, hjortronなど多彩なベリーがあちこちに実っていて、個人の敷地内を除いては基本的に自由に摘んでもよいとされている。
ベリーの黄色く実るhjortronなどは、なかなか見つけられず、希少価値が高いとされている。摘んだベリーを買い取ってくれる業者がスウェーデン北部にはいくつかあるので、ベリーをせっせと摘んで、小遣い稼ぎをすることもできるのだけれど、買い取り価格がハードな労働の割りに合わず、商売でベリー摘みをするスウェーデン人はあまりいない。その代り、この季節にはバルト3国の辺りの人やポーランド人、そしてタイ人などがスウェーデンにベリー摘みにやってくる。それぞれが個人であちこちの森に入り、採ったベリーを買い取り業者に買い取ってもらって、所得を得るのだ。自転車旅行中にキャンピング上で寝泊りしながら、ベリー摘みをするポーランド人の若者に会ったことがある。タイからの人は、集団でベリー摘みの仕事を斡旋するタイ人の業者もあるようだ。
こういった外国人のいわゆる“季節労働者”の中でもタイ人がベリー摘みに一番適しているのだそうだ。腰を曲げながらベリーを摘む作業は、米を栽培する作業に似ているし、タイ人は蚊や湿地にも慣れているので、文句を言わず、せっせとベリーを摘むのだそうだ。あるタブロイド誌に、国別の季節労働者の評価が書いてあったけれど、一時間当たりの収穫量はタイ人がトップ。ポーランド人やバルト人、そしてスウェーデン人にしても、それにははるかに及ばない。インタビューされたタイ人は、お金を貯めて、タイで家を新築したい、と語っていた。
スウェーデン産のベリーには、日本を始めとする国外での需要が近年高まっている。健康食品ブームに加え、ベリーを医薬品の原料にするのだそうだ。そのため、外国からの季節労働者はスウェーデンにはなくてはならない存在だ。そのためもあってか、税制では“ベリー摘みによる季節労働所得は非課税”とされ、所得控除ができるほどだ(法律にちゃんとそう書いてある!)。
ともあれ、スウェーデンは広い。国土のほとんどが森林だ。その分、ベリーもたくさんある。ある推計によると、人間に収穫されるのは実るベリーの5%ほどで、残りの95%はそのまま腐ってしまうのらしい。私の個人的な印象だと、5%というのも過大評価で、実際、人間が収穫するのは1%にも満たないのではないかと思う。
スウェーデン語-英語の辞書を見るとスウェーデン語の「ブローベァー(bla’ba:r)」はbilberry, whortleberryと訳され、その中でもアメリカ産の種をblueberryと呼ぶ、というように書いてあります。
一方、日本語-英語の辞書を見ると、bilberryはコケモモ属の植物の総称、その実、と訳されています。コケモモ属には、ブルーベリーも含まれるし、スウェーデンでは肉とともに食べるジャムとして使う赤い木の実、リンゴン(lingon、英語cowberry)も含まれるようです。
私自身、bilberryという名前ははじめて聞きましたが、これらの話を総合するに、bilberryはコケモモ属の総称としてか、あえてブルーベリーを指す場合には、とりわけアメリカ産のものをこう呼ぶのではないでしょうか。
どうですか?参考になれば幸いです。
そういえば、日本で販売されているブルーベリーには、ずいぶん粒の大きいものもあるみたいですが、もしかしたら、あれがアメリカ産のブルーベリー(bilberry)なのでしょうか?
米田様の会社では、スウェーデン産のブルーベリーはどのように販売しておられるのですか? 何か加工してからなのでしょうか? 世界的に需要が高まっており、価格が上昇している、なんて話をスウェーデンで聞きましたが、買い付け価格も上がっていますか? また、何かありましたら、何なりと聞いてやってくださいませ