レバノンの危機も、国連安保理の停戦要求決議が履行されることにより、徐々に落ち着きを取り戻しつつあるようだ。レバノンという国は、1970年代後半から80年代前半にかけて内戦を経験し、さらに1982年にはイスラエルが侵攻するなど、戦禍が絶え間なかったという。(オスカー外国映画賞にもノミネートされたスウェーデンの映画『Zozo』(2005)がうまく描いている)しかし、平和が訪れた後は少しずつ復興して行き、レバノンの人口を構成する様々な民族(シーア派・スンニ派・キリスト教徒、ドゥルース人、etc)の融和も徐々に達成されていったという。その結果、今回の紛争が始まる前の段階では、アラブ諸国の中でも比較的発展した国に生まれ変わっていたのだった。内戦中にスウェーデンに難民と逃れていた人々のうち、数多くの人が祖国に再び戻り、生活の基盤を築いていたという。
しかし、20年以上に及ぶこの復興の成果の多くが、たった1ヶ月の紛争のために失われてしまった。かつて瓦礫の山を前に、国を復興させる決意をし、それを成し遂げてきた人々。今また、同様の瓦礫の山を目の前にし、何を思うのだろうか…?
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停戦が実現されつつあるとはいえ、予断は許されない。そもそもこの紛争の契機は、レバノン南部を占拠していた民兵集団ヒズボラがイスラエル兵を襲撃し、人質に取ったことだったのだ。ヒズボラの勢力が強いこれらの地域には、レバノン政府の手も事実上届いていなかった。停戦要求決議にはイスラエル側の撤退と、ヒズボラの武装解除、レバノン南部でのレバノン政府の統治回復が含まれているが、それがきちんと履行されなければならない。つまり、イスラエルがちゃんと撤退しても、その空白にヒズボラがまた蔓延るようでは、振り出しに戻ってしまう、ということだ。
そのため、国連による平和維持軍の派遣が急務とされる。国連としては15000人の要員をできるだけ早くレバノン南部に展開させたい意向。仏・独・伊・西・ベルギーなどとともにスウェーデンも機械化歩兵・工兵部隊、地雷除去部隊、空輸部隊などを派遣する動きで、国防軍の内外から志願者の招集を準備している。ただ、最終的にゴーサインがスウェーデン政府から出るのは、治安状態と平和維持軍としての任務の内容がはっきりしてからだという。つまり、国連軍の任務として武装集団ヒズボラの武装解除が含まれた場合に、強制力を行使するとなれば、武装集団との戦闘に巻き込まれる可能性もあるからだ。
他方、スウェーデン政府は人道・経済面での復興を促進すべく、「レバノン復興の国際会議」をストックホルムで8月末日に開催することもすでに打ち出している。(アフガニスタンでの戦争が終わった後に、日本が同様の復興会議を誘致している。) もちろん、総選挙を前に、政権党が、外交政策面での力強さをアピールしたい意図が見えるにしても、やはり、積極的なイニシアティブだと思う。
しかし、20年以上に及ぶこの復興の成果の多くが、たった1ヶ月の紛争のために失われてしまった。かつて瓦礫の山を前に、国を復興させる決意をし、それを成し遂げてきた人々。今また、同様の瓦礫の山を目の前にし、何を思うのだろうか…?
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停戦が実現されつつあるとはいえ、予断は許されない。そもそもこの紛争の契機は、レバノン南部を占拠していた民兵集団ヒズボラがイスラエル兵を襲撃し、人質に取ったことだったのだ。ヒズボラの勢力が強いこれらの地域には、レバノン政府の手も事実上届いていなかった。停戦要求決議にはイスラエル側の撤退と、ヒズボラの武装解除、レバノン南部でのレバノン政府の統治回復が含まれているが、それがきちんと履行されなければならない。つまり、イスラエルがちゃんと撤退しても、その空白にヒズボラがまた蔓延るようでは、振り出しに戻ってしまう、ということだ。
そのため、国連による平和維持軍の派遣が急務とされる。国連としては15000人の要員をできるだけ早くレバノン南部に展開させたい意向。仏・独・伊・西・ベルギーなどとともにスウェーデンも機械化歩兵・工兵部隊、地雷除去部隊、空輸部隊などを派遣する動きで、国防軍の内外から志願者の招集を準備している。ただ、最終的にゴーサインがスウェーデン政府から出るのは、治安状態と平和維持軍としての任務の内容がはっきりしてからだという。つまり、国連軍の任務として武装集団ヒズボラの武装解除が含まれた場合に、強制力を行使するとなれば、武装集団との戦闘に巻き込まれる可能性もあるからだ。
他方、スウェーデン政府は人道・経済面での復興を促進すべく、「レバノン復興の国際会議」をストックホルムで8月末日に開催することもすでに打ち出している。(アフガニスタンでの戦争が終わった後に、日本が同様の復興会議を誘致している。) もちろん、総選挙を前に、政権党が、外交政策面での力強さをアピールしたい意図が見えるにしても、やはり、積極的なイニシアティブだと思う。
アメリカとイスラエルが手を組んでいるという話もありますが、多量の武器を輸出している米国が世界で戦争を起こしたがるのは、武器を使うことと、復興時にインフラの再構築などを援助することによる、自国の経済的利益を考えてのことでは?なんて思ってしまうこともあります。