キキ便り

アメリカ便り、教員・研究者生活、シンプルライフ、自閉症児子育てなど

アメリカで子育てしながら、博士号取得を目指している人のために:その1

2007-12-29 03:04:53 | 博士課程で学んで
将来子育てをしながら院で勉強したいと考える人のために、ちょっと体験をまとめてみます。個人的な体験でお役に立つかわかりませんが、1つでも参考になればうれしいです。

私の場合、子ども二人を育てながら、1999年より大学院に戻りました。二人が未就学の頃は、1学期に1コマというスローペースで進め、それから引越しも度重なったので、ずいぶん長く院に在籍するに至りました。

息子が自閉症児だということも、院での学びをスローにした一因です。小学校に入る頃まで、障害児を対象としたプレスクールに通わせたり、行動療法、言語療法、作業療法を試してみたり、障害児のお友達のプレイグループに参加させてもらったり、忙しく生活してきました。でも考えてみれば、こういう体験を通して出会った人々や学んだことは、私たちの人生のたからものです。

日本でもそうですが、アメリカの大学院では、その教育の質や学生への要求度にかなり差があります。最初に所属した院は、どちらかというとTeaching University(教育にウェイトを置く大学)部類の大学で、レポートやリサーチペーパーなどはそれ程高い水準を求められていなかったこともあって、日本から移住したばかりの私にはちょうど良かったんだと思います。オットの仕事が変わったことで新たな地に引越し、次に在籍した院は、Research University(研究にウェイトを置く大学)でした。またこの院は、その専門分野では全米でも名が知られていることもあって、レベルの違いを実感しました。

子育てしながら院に通って気になるのは、子どもの保育や教育です。最初の大学は、院の授業がすべて夜間、開講されていることもあって、オットに子どもを見てもらうことができました。次の大学は、大学院レベルでも日中開講されている授業が多かったので、上の子が小学校に上がるまで待ちました。その後、下の娘を大学付属園に9時から3時まで預け(丸1日預けると保育料も高く、私たちの財政状況では難しかったので)、フルタイムの学生生活が始まりました。

日本と大きく違うと感じるのは、極端な言い方をすれば、保育の質をお金で買うことです。アメリカのいわゆる保育園やプリスクールは、保育者の質が一般的に低く、私が在住してた州では、高卒でなくとも結核検査にひっかからなければ保育者として働けるのです。となると、大学を卒業していたり、保育を専攻しているような保育者が集まるところでは、お給料もそれに応じて高くなり、その結果保育料が高額になってしまうのです。

アメリカでは、いろいろな保育施設を見てきました。子どもをゆさぶって叱りつける園、母乳では手間隙がかかるから粉ミルクを持ってきてほしいと親に命令する園、子どもはおもちゃを口に入れたりして衛生管理が大変だからとその数を減らす園。そういう内情を見てきた者とすると、空きさえあれば、どこにでも子どもを預けるというわけにはいかないのです。

しっかりした園に子どもを預けることができると、親も安心して院の勉強に励むことができます。そして、信頼関係を築いていくことによって、時々融通も利くようになり(多少咳をしてても、子どもを預かってくれるなど)、子育ての相談をしたりなどもしやすくなります。保育の質の低い園では、保育者が学期の途中でも仕事をやめる割合が高かったり、保育者自身がストレス過剰の生活を送っていることが多いため、サポートを受けることが困難になります。そして何よりも、子どもに与える影響が心配になりますよね。

ということで、保育サービスの質を考慮すると、地元にどういう保育施設があるかよくリサーチしてから、院での学びを始めるタイミングを考えてはどうでしょう?
コメント (1)
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